テブナンの定理
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テブナンの定理︵テブナンのていり、英: Thévenin's theorem︶は電気回路に関する定理で、複数の直流電源を含む電気回路に負荷を接続したときに得られる電圧や負荷に流れる電流を、単一の内部抵抗のある電圧源に変換して求める方法である。
電圧源、電流源、抵抗のみを含むどんなブラックボックスでもテブナン 等価回路に変えることができる
右の図で、回路網の出力端子A–B間の開放電圧を Vth, 端子A–B間から見た回路網の内部抵抗を Rth, A–B間に接続する負荷の抵抗値を RL, 負荷に流れる電流を IL, 負荷を接続したときの端子A–B間の電圧を VLとすると、次の関係が成立する。
なお、回路網の内部抵抗を求める場合、電圧源は短絡、電流源は開放して考えればよい。ただし、電圧・電流源に内部抵抗が存在する場合は当然、考慮しなければならない。
概要[編集]
名称について[編集]
1883年にフランス郵政・電信省の技術者、レオン・シャルル・テブナンにより発表され、﹁テブナンの定理﹂と呼ばれていたが、それより前の1853年にドイツの物理学者、ヘルマン・フォン・ヘルムホルツにより発表されていたことが、1950年にドイツの物理学者ハンス・フェルディナント・マイヤー (Hans Ferdinand Mayer) により英文[1]で指摘されたため、ヘルムホルツ-テブナンの定理 (Helmholtz–Thevenin's theorem) とも呼ばれる。また、ヘルムホルツが最初の発表者であることを尊重する立場から、数学︵ベクトル解析︶におけるヘルムホルツの定理と区別して、﹁ヘルムホルツ等価回路﹂と呼ばれることもある。 日本では等価電圧源表示︵とうかでんあつげんひょうじ︶、また交流電源の場合に成立することを1919年︵1922年、1923年︶に発表した鳳秀太郎の名を取って、鳳–テブナンの定理︵ほう–テブナンのていり︶ともいう。この別称に関して、東京工業大学の教授だった川上正光は著書と雑誌[2]で早稲田大学の教授だった黒川兼三郎の発意によるものと述べているが、これは思い違いであり、正しくは東北帝国大学の教授だった抜山平一の発意及び助教授だった渡辺寧の改称によるもの[3][4][5]となる。脚注[編集]
(一)^ H. F. MAYER (February 1950). Letters to the editor. “Leon Charles Thévenin”. Electrical Engineering (AIEE) 69 (2): 186. doi:10.1109/EE.1950.6434169.
(二)^ 川上正光﹃基礎電気回路I線形定常編(1)﹄ 1巻︵改版︶、コロナ社︿電子通信学会大学講座13﹀、1967年、134頁。ISBN 4339000795。OCLC 47515988。"* 鳳は故東京大学教授鳳秀太郎先生のことである.この定理は米,英,仏では Thévenin の定理というが,鳳先生も独立にその著書に書かれているので,故早稲田大学教授黒川兼三郎先生の発意で,わが国ではこのように呼ぶことが多い."。
川上正光﹃基礎電気回路﹄︵旧版、初版︶コロナ社︿電気通信学会大学講座13﹀、1960年、76頁。OCLC 33732058。NDLJP:2463838。"* 鳳は故東京大学教授鳳秀太郎先生のことである.この定理は外国では Thévenin の定理というが鳳先生も独立にその著書にかかれているので故早稲田大学教授黒川兼三郎先生の発意でわが国ではこのようによぶことが多い."。
川上正光 ほか﹁討論会 回路網研究の歴史﹂﹃電子通信学会誌﹄第53巻第2号、1970年2月、170-178頁、NDLJP:2342443/75“川上 鳳テブナンの定理という呼び名は,日本人もやったということを表わすために,早稲田大学の故黒川教授が提唱されたと聞いております︵古賀先生の話では鳳先生はこの定理を,重ねの理の応用として講義された由です︶.”
(三)^ 拔山平一、渡邊寧﹁交流ポテンシオメーターの研究並に補償交流ポテンシオメーター交流カーレントメーター﹂﹃電氣學會雜誌﹄第46巻第451号、1926年2月、153-161頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.46.153“鳳敎授 Thévenin の定理”
(四)^ 中尾徹夫 訳﹁二三の一般的共振關係とテヴナンの定理の吟味﹂﹃通信工學邦文外國雜誌﹄第7号、電氣通信学會、1933年10月、693-695頁、NDLJP:1591206/404“* 譯者附言‥拔山博士は本定理に “鳳-テヴナンの定理” と命名して居られる。”
(五)^ “鳳秀太郎と﹁鳳–テブナンの定理﹂の実用的応用” (PDF). 一般社団法人 電気学会. 第14回 でんきの礎 (2021年3月9日). 2022年7月23日閲覧。 “拔山教授,渡邊助教授による共著論文に係る﹁Thévenin – 鳳氏定理。大正十四年七月﹂と題された理論︵電氣通信法研究室研究記錄︵1925︶大正十四年度︶”