ブレーンバスター
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/dd/Ryze_suplex_on_Hooker.jpg/220px-Ryze_suplex_on_Hooker.jpg)
ブレーンバスター︵英語: Brainbuster︶は、プロレス技の一種である。日本名は脳天砕き︵のうてんくだき︶。
かつてはブレーンバスターをパイルドライバー、バックドロップ、ジャーマン・スープレックスと並ぶ四大必殺技と形容することもあった。[要出典]
概要[編集]
多くの派生技が存在するが基本的な形は、相手を逆さまに抱え上げて後方へ投げ、相手の背面をマットへ叩き付けるというものである。 しかし、最初に考案された形のフォームは現在の基本形とは異なり、相手を上下逆さまの状態で落下させて相手は背中の上部で受け身をとるという形であった。しかし、危険だったため、改良がなされて背面全体で受け身をとる形に変化して、それが定着して現在に至っている。背面から落とす技であるのに﹁ブレーンバスター﹂、﹁脳天砕き﹂という名称なのは、その名残である。 しかし、1990年代前半に弧を描いて相手を投げるのではなく、より垂直に近い角度で落とす形が再び、使用されはじめ、すでに﹁ブレーンバスター﹂、﹁脳天砕き﹂の名称が定着していた背面から落とす形と区別するため、垂直落下式、元祖、オリジナルの単語をブレーンバスター︵脳天砕き︶の技名の前に付けて呼ぶようになった︵なお、厳密には垂直落下式と元祖︵オリジナル︶は若干違いがある。詳細は後述の﹁起源﹂を参照︶。 日本以外では考案時のフォームが使用されなくなり、背面から落とすフォームが使用され始めたとき、混同を避けるために背面から落とす形の方をバーティカル・スープレックス︵Vertical Suplex︶と呼んで明確に区別している。起源[編集]
開発者はキラー・カール・コックスとされる[1]。アメリカ南部でコックスと抗争していたディック・マードックも名手として名を馳せた。両者共に頭部を下にした体勢から垂直に落とすスタイルのブレーンバスターを使用していた。 なお、現在のプロレス界で垂直落下式ブレーンバスターと呼ばれている技は垂直に近い角度で落とす点で共通しているものの厳密にいえば、コックスやマードックが使用していたものとはフォームなどが若干異なる。彼等のブレーンバスターの特徴は自身は完全に倒れ込まず、尻餅をつくような体勢になりながら相手をマットに落とす点にあり、これに対して近年使用されている垂直落下式は受身をとり易く改良されたものである。このため、コックスやマードックが使用したブレーンバスターおよび、それとほぼ同型のものを﹁元祖ブレーンバスター︵オリジナル・ブレーンバスター︶﹂と呼んで現在は一般化している垂直落下式と区別する場合もある。例として小橋建太はコックスらと同型のブレーンバスターを﹁リアル・ブレーンバスター﹂と称して通常のものと使い分けている。また、テレビゲームなどでも同様の例がある︵詳しくは後述の﹁追記﹂を参照︶。 一方、相手を背面から投げ落とす形のブレーンバスターの開発者はサイクロン・ネグロであるとされる。垂直落下式は危険性が大きいが反り投げ式は見た目が派手でマットに叩きつけたときの音も大きく、なおかつ安全であるなどの理由から、この方式が広く普及したといわれている。この反り投げ式ブレーンバスターは、多くのレスラーが得意技として用いた。現在では、この形のブレーンバスターで決着がつくことはほとんどなく、試合序盤から中盤で出される繋ぎ技や痛め技として用いられている。かけ方[編集]
両フォームに共通だが、技を掛ける際に受け手と掛け手の組み方が全く同じになるため、相手に投げ返されることもある。 背面から投げ落とす形 立っている相手の正面に立ち、相手を前屈みにさせ︵レスリングでの﹁がぶり﹂の体勢︶て相手の頭部を自分の腋に抱え込み、もう片方の腕で相手のタイツを持って、相手の身体が逆さまになるように真上に持ち上げる。ここから自ら後ろに倒れこみ、相手の背面をマットに叩きつける。 垂直に近い角度で落下させる形 相手を逆さまに抱え上げるまでは同じである。そこから相手をリングに対してほぼ垂直になるよう抱えた状態のまま、自ら後方へ倒れ、同時に相手の背中の上部をマットへ叩き付ける。 また、前述の通りコックスやマードックの使用した元祖の形は、落とすときに違いがあり、自分が後方へ倒れるのでなく尻餅を着くような姿勢となりながら相手の背中の上部をマットへ叩き付ける。返し方[編集]
●組まれた際に踏ん張り、逆にブレーンバスターを仕掛ける。とくに巨漢レスラーが軽量級レスラーを投げようとして逆に投げられたり、2人がかりで巨漢レスラーを投げようとして逆に2人まとめて投げられるなどといった、お約束的なムーブも生まれている。 ●空いた片腕で相手の腹をパンチして逃れる。 ●頂点まで持ち上げられたあと体を軽く捻って脱出してバックドロップ、ジャーマン・スープレックス、スリーパー・ホールドなどで反撃する。 ●藤原喜明は脇固めで切り返していた。 ●PACは上空で相手のロックを抜け出して、そのまま体を空中で前方へと半回転してウラカン・ラナで切り返していた。 ブレーンバスターをこらえたあと両者が組み合ったまま力比べに移行する様はファンに古くから好まれている見せ場の1つである。バリエーション[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/72/Suplex_de_bandera.jpg/220px-Suplex_de_bandera.jpg)
派生技[編集]
リバース・ブレーンバスター 背後から相手を仰向けにのけ反らせ、相手の首を脇に抱えるように組み付き︵立った状態でのドラゴン・スリーパーのような形︶、そこからブレーンバスターと同じ体勢で相手のタイツを片腕で掴んで持ち上げ、そのまま後方へ投げて、前面から相手をマットへ叩き付ける。エル・サムライが得意としており、雪崩式や垂直落下式も使う︵ただし、垂直落下式の場合は﹁リバースDDT﹂と呼んでいる︶。 ジャック・ハマー ブレーンバスターの体勢で抱え上げ、パワースラムやアバランシュ・ホールドのように自分の体を相手に浴びせるようにして、体重をのせながら相手を背面からマットへ叩き付ける。ジャガー横田が考案し、ゴールドバーグのフィニッシャーとして知られた。前述のブレーンバスター・スラムが原型とされる。 他にもGammaがガンマ・スラッシュ、ブルー・ウルフがモンゴル・ハマー、浜亮太がリョータ・ハマーとして使用している。 ライスシャワー ブレーンバスターの体勢で相手を抱え上げ、相手の首をつかんだまま自らは尻餅をつき、同時に相手の体を肩を支点に後方へ反転させ、尻餅の衝撃で相手の後頭部辺りを肩へ打ち付ける。いわばブレーンバスターからネックブリーカーへ移行する複合技である。肩に負担がかかるため、完全な形で成功させるのは難しいが、成功すれば相手の首に大きなダメージを与えられる技。 朝日放送﹃探偵!ナイトスクープ﹄の中で依頼者︵依頼者が米屋の店員だったため、それに因んだ技名を依頼者が考えた︶が考案した。完成した暁には小橋建太が実際に試合で使用する予定だが、上記の通り非常に高難度の技であり小橋本人も番組内で﹁充分な練習が必要﹂と語っている。 ゴー・フラッシャー 潮崎豪のオリジナル技。 ブレーンバスターの体勢で相手を抱え上げ、前方へ放り投げて、ネックブリーカー・ドロップの様にして体重を浴びせながらマットへ背中から叩き落とす。類似技[編集]
フロント・ネックチャンスリー・ドロップ フロント・ネックロックの体勢から、相手を後方へ反り投げる技。日本ではサンダー・ザボーが初公開し、後にアントニオ猪木もアントニオ・ドライバーとして使用した。ブレーンバスターは、レスリングの基本的な投げ技として知られるこの技からの派生技とする説があるが、開発者であるキラー・カール・コックス本人が否定している。 フィッシャーマンズ・スープレックス ブレーンバスターホールドを放つ際、相手の片脚の膝裏から脹脛の辺りを抱えて投げる。別名、網打式原爆固め。主な使い手は、小林邦昭。若手レスラーがフィニッシュとして使うことも多い。カート・ヘニングはWWF時代、自分のギミックをもじって﹁パーフェクト・プレックス﹂と称して使用。 フィッシャーマンズ・バスター 投げ捨て式フィッシャーマンズ・スープレックス。獣神サンダー・ライガーが考案し、垂直落下式も使用する。女子プロレスラーのハーレー斉藤も使用。 スタガリン・ブロー ブレーンバスターの体勢から、右手で相手の右足の膝裏をすくうように四の字型にロックし抱え上げてから落とす、変形のフィッシャーマンズ・バスター。井上亘のオリジナルホールド。 フェイス・バスター ブレーンバスターの体勢から、前方へ倒れ込み、相手を前面からマットへ叩き付ける。リッキー・マルビンがプリドゥーラクの名称で使用。ちなみに、フェイス・バスターはブレーンバスターの体勢から仕掛ける形の他に、パイルドライバーの体勢からかける形のものもある。 垂直落下式DDT 橋本真也の得意技として有名な技。フォームは垂直落下式ブレーンバスターと酷似しているが、落とす際のステップが異なり、垂直落下式ブレーンバスターとは区別されている。追記[編集]
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●ハーリー・レイスは自身の試合前にブレーンバスターが使われることを嫌がり、﹁自分以外、ブレーンバスターの使用禁止﹂とするよう全日本プロレスに訴えたことがあった。ダイナマイト・キッドはブレーンバスターに加え、レイスが大一番の時に使用していたダイビング・ヘッドバットも得意技としていたことから、同時期に全日本プロレスで活躍していたレスラーの中でも特に影響を被ったという。プロレス界では古くから﹁トップレスラーと同じフィニッシュ・ホールドは使わない﹂という暗黙の了解が存在していたとされているが、この一件は、その極端な例の1つとして伝えられている。
●ジョニー・バレンタインやブラックジャック・ランザも﹁ブレーンバスター﹂と呼ばれる技を使用していたが、バレンタインの技はエルボー・スタンプ、ランザの技は拳によるブレーン・ドリルであり、この項で述べられる投げ技のブレーンバスターとは別の技である。
●1981年4月17日、東京スポーツに阿修羅・原が雪崩式ブレーンバスターの公開練習をしている記事が出ているのを目にした木村健吾︵現‥木村健悟︶は新日本プロレスの鹿児島県立体育館大会において、見よう見まねで藤波辰巳に雪崩式ブレーンバスターを仕掛けようとしたが空中で藤波に切り返されて、そのままフォール負けを喫して失敗に終わった[3]。4月18日、原は国際プロレスの後楽園ホール大会において、スティーブ・オルソノスキーに雪崩式ブレーンバスターを成功させて正真正銘の初披露になった。
●2002年から2003年の闘龍門JAPANの3WAY6人タッグマッチではセコンドやレフェリーも巻き込んで総勢10人以上のレスラーが合体低空式ブレーンバスターの掛け合いを行い、﹁世界一長いブレーンバスター﹂と呼ばれていた。毎回、ドン・フジイが誤ってタッグパートナーのCIMAらとは反対側から組んで投げられるのがオチであった。この世界一長いブレーンバスターは現在もDRAGON GATEで行われることがある。
●テレビゲーム﹃ファイヤープロレスリングシリーズ﹄の一部作品にはキラー・カール・コックスやディック・マードックが用いた独特のモーションを再現した﹁元祖ブレーンバスター﹂が登場している。
●漫画﹃ろくでなしBLUES﹄の主人公である前田太尊が新入生の海老原昌利から学校の体育館でタイマン勝負を受けたさい、最後に勝負を決めたのが太尊が繰り出した﹁元祖ブレーンバスター﹂だった。また、勝負後に海老原から﹁変な形のブレーンバスターっすね…﹂と呟かれたが太尊は﹁マードックを真似しただけだ﹂と返している。
●LUNA SEAのJは楽曲﹃ROSIER﹄の間奏で英語詞で歌うところがあり、ライブでは、その部分を歌った後、マイクスタンドにブレーンバスターを仕掛けていた。
脚注[編集]
- ^ “キラー・カール・コックスの元祖ブレーンバスター”. 昭和プロレス研究室. 2018年10月16日閲覧。
- ^ “Scott Irwin”. Online World of Wrestling. 2018年10月16日閲覧。
- ^ 週刊プロレス 2010.06.23号