乙女座 (呉市)
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乙女座 | |
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情報 | |
用途 | 資料館 |
旧用途 | 芝居小屋(劇場)、映画館 |
設計者 | 不詳 |
構造形式 | 木造 |
竣工 | 1937年(昭和12年) |
所在地 |
〒734-0302 広島県呉市豊町御手洗 |
座標 | 北緯34度10分47.1秒 東経132度52分2.8秒 / 北緯34.179750度 東経132.867444度座標: 北緯34度10分47.1秒 東経132度52分2.8秒 / 北緯34.179750度 東経132.867444度 |
文化財 | 指定なし |
乙女座︵おとめざ︶は、広島県呉市豊町御手洗にある建築物。1937年︵昭和12年︶に芝居小屋︵劇場︶として建築され、その後映画館として使用された。2002年︵平成14年︶に復元されて資料館の江戸みなとまち展示館︵えどみなとまちてんじかん︶となっている。御手洗のメインストリートである相生通りに南面している。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6b/Mitarai_Tomoda_House_2021-08_ac.jpg/220px-Mitarai_Tomoda_House_2021-08_ac.jpg)
乙女座の経営者だった鞆田家住宅
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f3/Otomeza_%28Mitarai%29_02.JPG/220px-Otomeza_%28Mitarai%29_02.JPG)
舞台
外観は木造モルタル仕上げであるが、内部は伝統的な芝居小屋の様式を有している。花道や奈落などの舞台装置や、2階の桟敷席も備えられている[2]。
歴史[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6b/Mitarai_Tomoda_House_2021-08_ac.jpg/220px-Mitarai_Tomoda_House_2021-08_ac.jpg)
戦前[編集]
1937年︵昭和12年︶時点の豊田郡御手洗町には劇場がなかったことから、鞆田稔町長が私財を投じて劇場の乙女座を建設した[1]、1937年︵昭和12年︶11月に開館した[2]。 名称は鞆田の母親である鞆田トメに因んでいる。鞆田家は明治期に躍進した廻船問屋であり、鞆田稔の父親も御手洗町長を務めている。明治初期に蛭子町に建てられた鞆田家住宅︵鞆田邸、鞆幸︶はなまこ壁が目立つ建物である[3]。乙女座は映画の上映、芝居や大道芸の興行、青年会の社交場などとして使用された[4]。戦後[編集]
1955年︵昭和30年︶の﹃全国映画館総覧 1955年版﹄には開館年が掲載されていないが、経営者は鞆田稔、定員は350の映画館だった[5]。1958年︵昭和33年︶の﹃映画便覧 1958﹄によると、経営者はやはり鞆田稔、定員もやはり350で邦画を上映する映画館だった[6]。 1953年︵昭和28年︶頃から1965年︵昭和40年︶頃まで、大工の築山克己が映写技師助手をしていたという[7]。夏場は19時頃から2本立または3本立で上映し、上映終了時間が23時を過ぎることもあった[7]。1953年︵昭和28年︶公開の映画﹃君の名は﹄は観客が多かった[7]。1960年代初頭まで映画館として親しまれた[8]。映画産業の斜陽化後には大長みかんの選果場に転用された[4]。青年団の演劇やダンスパーティ会場として使用されることもあったが[2]、長らく空き家となっていた[4]。復元[編集]
1994年︵平成6年︶7月4日には﹁呉市豊町御手洗﹂が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。地元住民の強い要望を受けて、2002年︵平成14年︶4月14日には復元工事が完了[1]。こけら落としとして住民による芝居・唄・踊りが披露され、劇場には200人近くが集まった[1]。その後は資料館として[2]一般公開されている。 2008年︵平成20年︶11月18日に開通する豊島大橋の記念イベントに合わせて、11月30日には御手洗演芸大会が開催され、御手洗節・寸劇・舞踊などが行われた[2]。この際には消防法上の利用用途を資料館から劇場に変更し、自動火災報知機や避難誘導灯を新設した[2]。﹃朝日新聞﹄は御手洗演芸大会を﹁約40年ぶりに興行が復活﹂と報じている[2]。 2009年︵平成21年︶6月10日には太平洋戦争を主題とする映画﹃真夏のオリオン﹄の特別試写会が行われ、約半世紀ぶりに乙女座で映画が上映された[8]。呉市立豊小学校と呉市立豊中学校の児童生徒全員が映画を鑑賞し、出演した俳優の堂珍嘉邦や吉田栄作がティーチインを行った[8]。 2010年1月11日、豊町観光協会などが成人の日に合わせて﹁懐かしの無声映画上映会﹂が開催された[9]。﹃チャプリンの酔いどれ天国﹄、﹃キートンの警官騒動﹄、﹃血煙高田の馬場﹄の3作品が上映され、弁士兼映写技師の井上陽一が声を付けた[9]。戦後間もない時期まで乙女座では無声映画が上映されていた[9]。 2014年︵平成26年︶には広島県土木局営繕課によって、乙女座が﹁ひろしま たてものがたり﹂のベストセレクション30︵“訪れたい”と思わせる魅力ある建物︶に選定された[10]。2019年︵令和元年︶12月8日には乙女座で重伝建選定25周年記念シンポジウムが開催された[11]。2020年︵令和2年︶11月14日・11月23日には﹁日本博 せとうち音回廊﹂の一環として、コトリンゴと奇妙礼太郎によるコンサートが行われた[12]。建築[編集]
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入口
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入口の上部
利用案内[編集]
- 入館料 - 一般200円、高校生120円、小中学生80円
- 休館日 - 火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
- 開館時間 - 9時00分~17時00分
- アクセス : JR呉線広駅からバスで「御手洗港」下車後徒歩1分
脚注[編集]
(一)^ abc﹁あの乙女座がよみがえる!﹂﹃みたらい通志﹄2002年9月号、第10号
(二)^ abcdefg﹁40年ぶりに乙女座興行 呉・御手洗、30日に演芸大会﹂﹃朝日新聞﹄2008年11月5日
(三)^ 鞆田邸 ひろしま観光ナビ
(四)^ abc乙女座 呉市
(五)^ ﹃全国映画館総覧 1955年版﹄時事通信社、1955年
(六)^ ﹃映画年鑑 1958年版 別冊 映画便覧 1958﹄時事通信社、1958年
(七)^ abc﹁泣いて、笑って 夢のあとさき。昭和、乙女座、懐古録。﹂﹃みたらい通志﹄2002年9月号、第10号
(八)^ abc﹁﹃真夏のオリオン﹄きょう試写会 呉・御手洗の乙女座、半世紀ぶり映画上映﹂﹃朝日新聞﹄2009年6月10日
(九)^ abc﹁懐かしのチャプリン・キートン・阪妻 無声映画を復活11日、呉の乙女座﹂﹃朝日新聞﹄2010年1月8日
(十)^ ﹁魅力ある建築﹂ベストセレクション30︵審査部門︶ ひろしま たてものがたり
(11)^ 重要伝統的建造物郡保存地区選定25周年記念シンポジウム 呉市、2019年12月10日
(12)^ 広島・呉で日本博﹁せとうち音回廊﹂ 大崎下島の御手洗で開催へ 広島経済新聞、2020年11月11日
参考文献[編集]
- 『呉の魅力・お宝90選』呉市、2013年