佐左木俊郎
佐左木 俊郎︵ささき としろう、1900年︵明治33年︶4月14日 - 1933年︵昭和8年︶3月13日︶は、日本の小説家。農民︵百姓︶の辛さ、愚かさ、悲しさ、したたかさ、美しさを、じっと見据えつづけた作家である。宮城県の農家出身。鉄道員、小学校の代用教員などののち新潮社に入り、﹃文学時代﹄などを編集。加藤武雄に兄事し、新興芸術派に属して猟奇小説、探偵小説などを書き、農民文芸会に属し活動したが早世した[1][2]。
川端康成は、﹁農民文学﹂﹁農民小説﹂の旗手の佐左木の夭折を惜しみ、不当に扱われた作家として、その才能の﹁尊さ﹂を評し[2][3]、﹁︵農民作家で︶見るに足る作品活動を示してゐたのは、芸術派では、実に佐左木氏たゞ一人だつた﹂とし[2]、﹁嘉村礒多氏の全集が出るのに、佐左木俊郎氏の農民小説は忘れられかかつてゐる。世間は盲千人だ﹂と述べた[3]。
著書[編集]
- 『黒い地帯』(新興芸術派叢書) 新潮社 1930年4月
- 『熊の出る開墾地』(現代暴露文学選集) 天人社 1930年
- 『都会地図の膨脹』(短篇小説集) 世界の動き社 1930年8月
- 『街頭偽映鏡』(猟奇短篇集) 赤炉閣 1931年
- 『仮面の輪舞』(日本小説文庫) 春陽堂 1932年8月
- 『狼群 新作探偵小説全集 第4』 新潮社 1933年
- 『新琴似兵村史』 新琴似兵村五十年記念会 1936年
- 『北海道の話題』 北方出版社 1937年
- 『佐左木俊郎選集』 英宝社 1984年4月 - 以下新版
- 『恐怖城』(春陽堂文庫)春陽堂 1995年8月
- 『熊の出る開墾地』(佐左木俊郎生誕100年記念事業実行委員会編) 英宝社 2000年7月
- 『熊の出る開墾地』(現代暴露文学選集) 本の友社 2000年1月
- 『黒い地帯』(新興藝術派叢書) ゆまに書房 2000年3月
- 『恐怖城 猟奇の街』(お風呂で読む文庫) フロンティアニセン 2005年5月
- 『平林初之輔 佐左木俊郎』 山前譲編 光文社文庫ミステリー・レガシー 2020年
- 『佐左木俊郎探偵小説選Ⅰ』 竹中英俊・土方正志編(論創ミステリ叢書)論創社
- 『佐左木俊郎探偵小説選Ⅱ』 同上、2020年8月-2021年3月