太田全斎

太田 全斎︵おおた ぜんさい、1759年︵宝暦9年︶- 1829年7月16日︵文政12年6月16日︶︶は、江戸時代後期の儒学者・漢学者・音韻学者。全斎は号。名は方︵ほう︶。字は叔亀。折衷学派に属する。諸子百家研究・語学研究など多方面で業績を残した。

生涯

備後福山藩藩士の家に生まれる。折衷学派の山本北山に師事する。1788年から備後福山藩に出仕、1823年に致仕、1829年に死去。

主な著書

●﹃韓非子翼毳﹄ - ﹃韓非子﹄の注釈書。制作に十余年の歳月を費やした大著。貧困のなか家族とともに木活字を作って自費出版した。その内容は今日でも高く評価されている。
●﹃韓非子翼毳﹄服部宇之吉校訂、冨山房︿漢文大系﹀、1911年、普及版1984年。ISBN 978-4-572-00070-5

●﹁韓非子翼毳跋文国訳嘗試﹂土屋紀義訳、﹃参考書誌研究﹄36、国立国会図書館、1989年。doi:10.11501/3051287

●﹃墨子考要﹄

●﹃呂氏春秋折諸﹄

●﹃漢呉音図﹄ - 独自の音韻論を展開する。日本語の音韻・五十音・仮名遣い・字音仮名遣いを扱う。

●﹃音徴不尽﹄

●﹃同窠音図﹄

●﹃音図口義﹄

●﹃諺苑﹄ - 俗語語彙集。

●﹃俚言集覧﹄ - ﹃諺苑﹄の増補改訂版。江戸時代の口語研究の重要資料。

●﹃契利斯督記﹄ - 日本のキリスト教史の重要史料。江戸時代初期の初代宗門改役・井上政重が、後任の北条正房に与えた引き継ぎ書を、全斎がまとめたもの。転びキリシタンのジュゼッペ・キアラ︵岡本三右衛門︶の調書を含む。

書簡

●﹃太田全斎書簡集﹄浜野知三郎編、文祥堂書店、1933年。著作権切れ︵NDLJP:1101896︶

関連項目

●東条義門 - 音韻学の門弟

●木活字版

●日本語#研究史

脚注

(一)^ ^abcd高橋昌彦・朝日日本歴史人物事典﹃太田全斎﹄ - コトバンク

(二)^ ^abc沼本克明・小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)﹃太田全斎﹄ - コトバンク

(三)^ ﹃三島中洲と近代 其六﹄二松学舎大学、2018年。http://www.nishogakusha-u.ac.jp/library/pdf/kankobutu_07.pdf。 

(四)^ 釜田啓市﹁稲束猛の韓非子講義﹂﹃懐徳堂センター報﹄、大阪大学大学院文学研究科・文学部 懐徳堂センター、2007年、115f。 

(五)^ 金子和正・小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)﹃木活字版﹄ - コトバンク

(六)^ 中村未来 著﹁﹃韓非子﹄――法治理論の集大成﹂、湯浅邦弘編 編﹃教養としての中国古典﹄ミネルヴァ書房、2018年。ISBN 9784623082759。 

(七)^ 平凡社 百科事典マイペディア﹃俚言集覧﹄ - コトバンク

(八)^ ^abc平凡社 世界大百科事典﹃契利斯督記﹄ - コトバンク