小池藤五郎
小池 藤五郎︵こいけ とうごろう、1895年1月30日 - 1982年11月4日︶は、日本近世文学の研究者。狂歌人でもあった。
山東京伝、曲亭馬琴などの読本を専門とし、﹃南総里見八犬伝﹄岩波文庫版の校訂者として知られる。黄表紙研究者の小池正胤は息子。
生涯[編集]
山梨県北巨摩郡更科村︵現韮崎市︶生まれ。 実家は富裕な名主の家系で、甲斐国のみならず江戸の文人との交流のある環境であった[1]。曽祖父に当たる小池伝右衛門富章︵号は勝山、文雅園︶は国学・漢学に通じ、狂歌師として﹁白水亭亀丸﹂の号を持っていた[1]。小池家には﹃南総里見八犬伝﹄が肇輯から初版本がそろっており[2]、近郷唯一の﹃八犬伝﹄として親戚・知人や家来筋の人々にも愛読されたというが、1898年︵明治31年︶の洪水で書庫とともに流され失われたという[3]。 1928年東京帝国大学国文科卒業、東京高等学校教授、東洋大学教授、1953年﹁徳川時代大衆文学の主軸である赤本、黒本、青本の研究﹂で東洋大文学博士。1960年都留文科大学教授、1964年立正大学教授、1974年定年。東京音楽大学教授。狂歌師として、大倉喜八郎の﹁和歌廼舎鶴彦﹂を襲名した。[4]著書[編集]
- 『山東京伝の研究』岩波書店 1935
- 『八犬伝物語』小学館 1944
- 『校長先生の眼鏡』産業経済新聞社(サンケイ新書) 1955
- 『山東京伝』吉川弘文館(人物叢書) 1961
- 『文学概論 肩のこらない文学のあらまし』学芸図書 1961
- 『愛書家のつぶやき』桃源社 1961
- 『好色物語』桃源社 1963
- 『新資料による西鶴の研究』風間書房 1966
- 『興(狂)歌の味わい方作り方 わらい三昧』学芸図書 1967
- 『政治総裁職松平春嶽幕末覚書』人物往来社 1968
編纂[編集]
- 『海軍技術戦士』山海堂出版部 1944
- 『皇国生産魂』山海堂 1944
- 『陸軍工員魂 血と汗の記録』山海堂出版部 1944
校訂[編集]
- 『南総里見八犬伝』全10冊 曲亭馬琴 岩波文庫 1937-1941