性比
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性比の種類[編集]
●一次性比-受精時の性比。 ●二次性比-生まれたときの性比。出生時性比とも言う。人の場合、これを一次性比とすることもある。 ●三次性比-繁殖可能年齢に達した個体における性比。 ●実効性比︵英: operational sex ratio、OSR︶-ある時点で繁殖可能な個体の性比。三次性比から妊娠中、育児中などの個体をのぞいたもの。より正確には一繁殖シーズン中のオスとメスの繁殖機会の比。実効性比に偏りがあるとき、繁殖機会を巡って競争が起きる。性選択の研究で重要である。 ●安定性比 -ある生物の性比が長期的に見て大きく変動しない場合、その時の比率を安定性比という。多くの生物では約1:1が安定性比だが例外も多い。1:1が安定性比であることを特にフィッシャー性比とも言う。フィッシャーの原理[編集]
詳細は「フィッシャーの原理」を参照
フィッシャーの原理とは多くの生物で安定した性比がなぜ1:1になるか、究極的な理由を説明した理論である。
ウィリアム・ハミルトンは﹃異常な性比(1967)﹄でフィッシャーの原理を次のように説明した。
親の繁殖コストが、子の性がオスメスどちらでも等しい場合に‥
(一)オスがメスよりも少なく生まれる集団を想定する
(二)新たに生まれたオスは、新たに生まれたメスよりも多くの配偶者を獲得でき、そのためより多くの子をもうけられると予測できる。
(三)したがって、遺伝的にオスの子をより多く産む親は、平均以上の孫を獲得できる。
(四)したがって、オスをより産みやすい遺伝子は広まり、次第にオスの割合が増加する。
(五)性比が1:1に近づくほど、オスを多く産む性質の有利さは次第に弱まる。
(六)この例はオスとメスを入れ替えても成り立つ。また一夫一妻でも、一夫多妻でも、配偶システムにかかわらずこの議論は成り立つ。1:1で性比は均衡する。
現代風に言えば、1:1の性比は進化的に安定な戦略である。もし子の性によって親の子育てのコストが異なるなら、子の性比は偏ると予測できる。