松浦の万葉
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松浦の万葉︵まつらのまんよう︶は日本最古の歌集万葉集の和歌約4500首のうち唐津・東松浦に関係する30首のことである。主に玉島川の歌や佐用姫を偲んだ歌が主体[1]。726年︵神亀3年︶に山上憶良が筑前国守、728年︵神亀5年︶に大伴旅人が太宰帥に任命されたことが大きく影響している[2]。
鏡山の松浦佐用姫像
鏡山︵佐用姫︵佐用比売︶伝説︶に関する歌。
(一)松浦縣佐用比売の子が領巾振りし山の名のみや聞きつつ居らむ
●︵山上憶良 巻5・868︶
(二)遠つ人松浦佐用比売夫恋に領巾振りしより負へる山の名
●︵大伴旅人 巻5・871︶
(三)山の名と言ひ継げとかも佐用比売がこの山の上に領巾を振りけむ
●︵大伴旅人 巻5・872︶
(四)万代に語り継げとしこの嶽に領巾振りけらし松浦佐用比売
●︵大伴旅人 巻5・873︶
(五)海原の沖行く船を帰れとか領巾振らしけむ松浦佐用比売
●︵山上憶良 巻5・874︶
(六)行く船を振り留みかね如何ばかり恋しくありけむ松浦佐用比売
●︵山上憶良 巻5・875︶
(七)音に聞き目にはいまだ見ず佐用比売が領巾振りきとふ君松浦山
●︵三島王 巻5・883︶
玉島川に関する歌[編集]
玉島川や松浦川に関する歌。 (一)漁する海人の児どもと人はいへど見るに知らえぬ良人の子と ●︵大伴旅人 巻5・853︶ (二)玉島のこの川上に家はあれど君を恥しみ顕さずありき ●︵大伴旅人 巻5・854︶ (三)松浦川川の瀬光り鮎釣ると立たせる妹が裳の裾濡れぬ ●︵大伴旅人 巻5・855︶ (四)松浦なる玉島川に鮎釣ると立たせる子らが家路知らずも ●︵大伴旅人 巻5・856︶ (五)遠つ人松浦の川に若あゆ釣る妹が手本をわれこそ巻かめ ●︵大伴旅人 巻5・857︶ (六)若鮎釣る松浦の川の川波の並にし思はばわれ恋ひめやも ●︵大伴旅人 巻5・858︶ (七)春されば吾家の里の川門には鮎児さ走る君待ちがてに ●︵大伴旅人 巻5・859︶ (八)松浦川七瀬の淀はよどむともわれはよどまず君をし待たむ ●︵大伴旅人 巻5・860︶ (九)松浦川川の瀬早み紅の裳の裾濡れて鮎か釣るらむ ●︵大伴旅人 巻5・861︶ (十)人皆の見らむ松浦の玉島を見ずてやわれは恋ひつつ居らむ ●︵大伴旅人 巻5・862︶ (11)松浦川玉島の浦に若鮎釣る妹らを見らむ人の羨しさ ●︵大伴旅人 巻5・863︶ (12)君を待つ松浦の浦の娘女らは、常世の国の天娘女かも ●︵吉田宣 巻5・865︶ (13)帯日売神の命の魚釣らすと、御立たしせりし石を誰見き ●︵山上憶良 巻5・869︶ (14)百日しも行かぬ松浦路今日行きて、明日は来なむを何か障れる ●︵山上憶良 巻5・870︶鏡山に関する歌[編集]
神集島に関する歌[編集]
神集島に関する遣新羅使の和歌。 (一)帰り来て見むと思ひしわが屋外の秋萩薄散りにけむかも ●︵秦田麿 巻15・3681︶ (二)天地の神を祈ひつつ吾待たむ早来ませ君待たば苦しも ●︵娘子 巻15・3682︶ (三)君を思い吾が恋ひまくはあらたまの立つ月毎に避くる日もあらじ ●︵遣新羅使 巻15・3683︶ (四)秋の夜を長みにかあらむ何そここば眠の寝らえぬも独り寝ればか ●︵遣新羅使 巻15・3684︶ (五)足姫御船泊けてけむ松浦の海妹が待つべき月は経につつ ●︵遣新羅使 巻15・3685︶ (六)旅なれば思ひ絶えてもありつれど家にある妹し思ひがなしも ●︵遣新羅使 巻15・3686︶ (七)あしひきの山飛び越ゆる雁がねは都に行かば妹に逢ひて来ね ●︵遣新羅使 巻15・3687︶松浦舟に関する歌[編集]
松浦舟に関する歌。- さ夜深けて堀江漕ぐなる松浦船楫の音高し水脈早みかも
- （作者不詳 巻7・1143）
- 松浦舟さわく堀江の水脈早み楫取る間なく思ほゆるかも
- （作者不詳 巻12・3173）
脚注[編集]
- 引用
- ^ “万葉集にみる松浦佐用姫”. 唐津市. 2019年11月21日閲覧。
- ^ “万葉集と松浦地方”. 唐津市. 2019年11月21日閲覧。
- 参考文献
- 唐津市文化復興財団『松浦の万葉』。
関連項目[編集]
●万葉集 - 松浦の万葉が収録。
●松浦 - 松浦の万葉の舞台。
●唐津市 - 同。
●玉島川
●佐用姫
●鏡山 (佐賀県)
●神集島
