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江戸荒物︵えどあらもの︶は、上方落語の演目の一つ。
あらすじ[編集]
東京産の瀬戸物が良く売れるというので、隠居に江戸弁を教えてもらった男が、﹁東京荒物﹂の看板を掛けて商売を始める。もっとも教えてもらった江戸弁は﹁おいでなされませ。﹂とか﹁おう、阿魔、しばち︵火鉢︶にし︵火︶がねえじゃねえか。し︵火︶をもってきな。﹂ぐらいですこぶる怪しい。
店に帰って、嫁はんに江戸弁を言っても皆目通じない。あまつさえ、本当の江戸っ子が来て﹁ベランメー﹂の口調をまくし立てられ、頭が真っ白になってタダで売ってしまう。
﹁ホンマの江戸っ子が来るとは思わなかったで、もう江戸弁やめたろかしらん。﹂と弱気になっているところに田舎出の娘が何かを買いに来る。これまたひどい田舎訛りで訳がわからない。ようよう聞きただしていると縄を買いに来た事がわかる。﹁何じゃ。縄かいな。あ。縄売りきれてんねやがな。﹃縄がおまへん﹄いうのを江戸弁で断ったろ。﹂と思ったがとっさに浮かんでこない。﹁大阪でおまへんいうの江戸ではない言うとったな。せやからありますの反対やさかいに、ああ。縄はないます。ないます。﹂﹁あれ、今から縄綯うてたら間に合わんがのう。﹂
上方落語では珍しく江戸弁が出て来る噺である。時間もかからず、笑いも多い軽いネタなので、上方では2代目露の五郎兵衛、2代目桂枝雀など演じ手が多い。