異郷訪問譚

異郷訪問譚︵いきょうほうもんたん︶とは、現世の地上世界、神話であれば葦原中国から、それ以外の異郷を訪れる話である。よく知られている例としては、伊邪那岐命の黄泉国訪問、浦島子、大穴牟遅神の根国訪問譚、火遠理命の綿津見宮訪問譚、神功征韓譚、舌切り雀がある。異界訪問譚とも呼ばれる。

構造的特徴

物語の前半のテーマが後半では逆の順序で出現し、後半では前半の否定ないし対立という形をとる構造︵裏返し構造と呼ばれる︶が多くみられる。ただし、この構造は、異郷訪問譚に限定されるものではない。

出典

(一)^ 勝俣隆﹃異郷訪問譚・来訪譚の研究―上代日本文学編﹄ 和泉書院、2009年、ISBN 978-4-7576-0535-0

(二)^ 勝俣隆﹁伊邪那岐命の黄泉国訪問譚の解釈 : 黄泉国の存在位置と黄泉比良坂の位置関係を中心に﹂﹃長崎大学教育学部紀要. 人文科学﹄第72巻、長崎大学、2006年3月、1-15頁。 

(三)^ 石原昭平﹁浦島説話の異郷‥富・長寿・悦楽の国﹂﹃日本文学﹄第23巻第9号、日本文学協会、1974年9月、57-64頁、ISSN 0386-9903、NAID 110009977997。 

(四)^ 勝俣隆﹁異郷訪問譚の意味‥大穴牟遅神の根国訪問譚を中心に﹂﹃国語と教育﹄第28巻、長崎大学、2004年2月、82-93頁、NAID 110000987670。 

(五)^ 稲田浩二﹃日本昔話通観 第28巻﹄ 同朋舎出版、1988年、ISBN 4-8104-0712-8

(六)^ 大林太良﹁異郷訪問譚の構造﹂﹃口承文芸研究﹄第2号、日本口承文芸学会、1979年1月、1-9頁。 

(七)^ 依田千百子﹁韓国の異郷訪問譚の構造﹂﹃口承文芸研究﹄第5号、日本口承文芸学会、1982年、47-57頁。 

(八)^ 大喜多紀明﹁アイヌ口承テキストに見られる裏返し構造‥異郷訪問譚によらない事例﹂﹃北海道言語文化研究﹄第14号、北海道言語研究会、2016年3月、45-72頁、ISSN 1882-6296、NAID 120005750728。 

関連項目

●貴種流離譚

●折口信夫