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血流

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

血流(けつりゅう、: blood flow)とは、血液流れのこと。血行(けっこう)とも呼ばれる。

概要[編集]

血液の流れは非常に複雑であり、学問的にはヘモレオロジー(血液レオロジー)などの分野で研究されている。


()漿()[1]

漿漿91.5%7%1.5%漿[2]

78μm515μmn

CassonQuemada

[3]


ヒトの血流流速と血管の全断面積との関係[4]
 血管の種類   全断面積   流速(cm/s) 
大動脈 3–5 cm2 40 cm/s
毛細血管 4500–6000 cm2 0.03 cm/s[5]
上下大静脈 14 cm2 15 cm/s


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[]


[6]

PI[]


[7]Pulsatility index, PI[8]

[]


[9]Darcy's law[10][11]



: 
F = blood flow 血流 (m*s-1)
P = pressure (Pa)
R = resistance 抵抗 (m-1)
ν = fluid viscosity 流体の粘度 (Pa·s)
L = length of tube チューブ長(m)
r = radius of tube チューブ半径(m)

2番目の式で示されるように、チューブの半径によって劇的に抵抗は変化する。こうした原理で、寒さなどで血管がわずかに収縮すると極端に血流が低下することになるわけであるし、入浴などして血管の半径がわずかに大きくなると血流は一気に増えるわけである。また、 血管形成術ではバルーンカテーテルによりわずかに半径を大きくすることで血流を増大させることが可能になるのである。

計測[編集]

血流計で測ることができる。超音波血流計やレーザー血流計などいくつかタイプがある。

また、位相コントラストMRI、 超音波計測を応用したVector Flow MappingやEcho PIVを用いて血流をベクトルとして可視化する手法も研究されている。

位相コントラストMRI[編集]

MRIの一手法である位相コントラスト法を用いた血流可視化計測手法。傾斜磁場によって生じるプロトンの位相差が流体の速度と比例することを利用し、2方向ないしは3方向の傾斜磁場で撮影された画像を合成することで血流速度の空間的な分布をベクトルとして可視化する手法である。3次元的に撮影されたものを特に4D Flow MRIと呼ばれ、3次元の血流ベクトルを実測できる唯一の手法である。

Vector Flow Mapping (VFM)[編集]

カラードプラとスペックルトラッキングを重ねあわせ、計測面内での流量保存を仮定して血流を可視化する手法である。板谷慶一らによって開発された。Echo PIVのように造影剤を使わないため非侵襲に簡便に計測することができる。[12]
原理としてはカラードプラで計測されるプローベからのビーム方向血流速度に加え、ビーム直交方向の血流速度を計算により求めることで2次元のベクトルとして血流を可視化する。
心室内では下記のアルゴリズムでビーム直交方向の血流速度が求められる。[13]

  1. 心室の内腔の計測断面内を四角形の網目状に分割する。
  2. 超音波の計測面で面外への流入出が無いという仮定のもと、心臓の壁に隣接した網目で流量保存則を計算する。上下の辺の流入出はカラードプラから既知であり、壁の隣接する辺の流入出はスペックルトラッキングの壁の速度から算出可能であり、残った1辺の流入出が計算される。
  3. 心臓壁から順に内側に(2)の計算を繰り返すことで全体のビーム直交方向速度が計算される。

Echo PIV[編集]

血管内に造影粒子を注射し、個々の粒子の動きをトラッキングする手法である。低流速領域で高い精度で解析が可能とされる一方、Bモードのフレームレートの制限から高速な血流で精度を保つことが難しく心室内では42cm/sを超える血流の計測が困難となる。

血行不全[編集]




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(一)^ 2003 

(二)^ Gerard J. Tortora, Bryan Derrickson (2012). The Cardiovascular System: The Blood. Principles of Anatomy & Physiology, 13th. John Wiley & Sons, Inc.. pp. 729732. ISBN 978-0470-56510-0 

(三)^  [?][][]

(四)^ Gerard J. Tortora, Bryan Derrickson (2012). The Cardiovascular System: Blood Vessels and Hemodynamics. Principles of Anatomy & Physiology, 13th. John Wiley & Sons, Inc.. p. 816. ISBN 978-0470-56510-0 

(五)^ Elaine N. Marieb, Katja Hoehn. (2013). The Cardiovascular System:Blood Vessels. Human anatomy & physiology, 9th ed.. Pearson Education,Inc.. p. 712. ISBN 978-0-321-74326-8 

(六)^ Gerard J. Tortora, Bryan Derrickson (2012). The Cardiovascular System: Blood Vessels and Hemodynamics. Principles of Anatomy & Physiology, 13th. John Wiley & Sons, Inc.. p. 816. ISBN 978-0470-56510-0 

(七)^ Stücker, M.; Bailer, V.; Reuther, T; Hoffman, K.; Kellam, K.; Altmeyer, P (1996). Capillary Blood Cell Velocity in Human Skin Capillaries Located Perpendicularly to the Skin Surface: Measured by a New Laser Doppler Anemometer. Microvasc Research 52 (2): 188192. doi:10.1063/1.1754319. PMID 8901447. 

(八)^ Gerard J. Tortora, Bryan Derrickson (2012). The Cardiovascular System: Blood Vessels and Hemodynamics. Principles of Anatomy & Physiology (13th ed.). John Wiley & Sons, Inc.. p. 817. ISBN 978-0470-56510-0 

(九)^ H. Darcy, Les Fontaines Publiques de la Ville de Dijon, Dalmont, Paris (1856).

(十)^ Kirby, B.J. (2010). Micro- and Nanoscale Fluid Mechanics: Transport in Microfluidic Devices.. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-11903-0. http://www.kirbyresearch.com/textbook 

(11)^ Bruus, H. (2007). Theoretical Microfluidics 

(12)^ VFM411220131111126-32 

(13)^ ;;  2016 

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