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雄蕊

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 [] []; : stamen[1]; anther[2]; filament[3]1221; androecium, pl. androecia[1][4][5]
1b. モモバラ科)の多数の雄蕊(中央に雌蕊
1c. トウモロコシイネ科)の雄蕊

; [6][5]

[]

2. : 1 = 2 = 3 = 4 = 

[4][5][7][8][9][10]2

[]


[4][5][8][9][10]3a, b3ce; laminar stamen[11][4][9]3c3d, e[9][11][12][4][8][11][12]3b[11][6][6]
3a. ワスレグサ属ツルボラン科)の雄蕊の花糸は細長い。
3b. ジュンサイハゴロモモ科: スイレン科と同じスイレン目に属する)の花: 雄蕊の花糸は細長い。
3c. スイレンスイレン科)の雄蕊: 花の外側(左)から内側(右)へ、花糸は花弁状から糸状のものへ連続的に移行する。
3d. アンボレラアンボレラ科)の雄花: 雄蕊の花糸は葉状。
3e. オオヤマレンゲモクレン科)の花: 雄蕊の花糸は扁平。

12[9][11]退[9]

[4][8]4a; 4b; 4c[4]

; sessile stamen[4][4]4d

""""[4]4e[13]
4a. ムラサキツユクサツユクサ科)の花: 雄蕊の花糸から長い毛が多数生じている。
4b. ゲッケイジュクスノキ科)の花: 花糸に蜜腺がついており(右矢印)、葯は弁開する(左矢印)。
4c. オオウメガサソウツツジ科)の雄蕊: 花糸の基部は翼状に広がっており(ピンク色)、葯は孔開する(矢印)。
4d. カシグルミクルミ科)の雄花 (4) の雄蕊は無柄。
4e. トウゴマトウダイグサ科)の"雄花": 雄蕊の"花糸"が多数に分枝しているように見える。

[編集]

5. ユリ属(ユリ科)の葯の横断面: 葯隔を挟んで2個の半葯からなり、各半葯には2個の花粉嚢(星印)が含まれる。

葯隔

葯隔

5. ユリ属ユリ科)の葯の横断面: 葯隔を挟んで2個の半葯からなり、各半葯には2個の花粉嚢(星印)が含まれる。

[4][7][2][14]2; theca, pl. thecae[14][15]; connective[2]bithecal[16][4][7][14]512pollen sac;  microsporangium;  anther locule[4][7][17]514tetrasporangiate[16]

223[4]1[4]monothecal, bisporangiate[16]21[18] Arceuthobium11[18]

[6]

[]


2[4][14]5, 6a沿

[4]6b[4]6c21[4]6c[4]6d6e
6a. ユリ属ユリ科)の雄蕊: それぞれ2個の半葯の間が葯隔が見える。
6b. クルマバツクバネソウシュロソウ科)の花: 雄蕊の葯隔先端が細長く伸びている。
6c. イブキスミレ(スミレ科)の花の断面: 雄蕊の葯隔先端部は褐色膜質の構造となり雌蕊の花柱を取り囲んでいる。また下部の雄蕊の葯隔からは突起が生じて花弁の距(後方への突出部)の中へ伸びている。
6d. アキギリ属シソ科)の雄蕊: 長い葯隔 (e) を挟んで2個の半葯 (lf, ls) が離れている (f は花糸)。
6e. アキギリ属(シソ科)の花の断面: 葯が上がった (左) 状態と下がった状態 (右)。

[]




沿沿adnate[4][8][19]7a



innate[4]7b



basifixed[4][8][5][20]7c



; versatile[4][8][5][20]7d


7a. 沿着葯をもつ雄蕊
7b. ハコネシロカネソウキンポウゲ科)の雄蕊は内着葯をもつ。
7c. カタクリユリ科)の雄蕊は底着葯をもつ。
7d. ユリ属ユリ科)の雄蕊は丁字着葯をもつ。

葯の向き[編集]


[4][21][4][6]

extrorse anther[4][7][22]8a



laterorse anther;  equifacial anther[4][7][23]8b



introrse anther[4][7][24]8c



1133123[4]8d
8a. アケビアケビ科)の雄花は外向葯をもつ。
8b. ヒメフウロフウロソウ科)の花は側向葯をもつ。
8c. スイレンスイレン科)の花は内向葯をもつ。
8d. オコテア属(クスノキ科)の花において、外側の6個の雄蕊は内向葯、内側3個の雄蕊は外向葯をもつ。

葯の裂開[編集]

葯の裂開様式の模式図
9a. 縦裂
9b. 横裂
9c. 孔開
9d. 弁開

[4]

longitudinal dehiscence[4][25]9a, 10ac

2

transverse dehiscence[4]9b



poricidal dehiscence, porous dehiscence[4][26]4c, 9c, 10d, e

 (poricidal anther, porous dehiscent anther) 

; valvular dehiscence[4]4b, 9d, 10f

valvular anther, porous dehiscent anther
10a. ユリ属ユリ科)の縦裂した葯の横断面: 半葯中の2個の花粉嚢間の隔壁は崩壊している。
10b. 縦裂した葯
10c. シロイヌナズナアブラナ科)の縦裂した葯(処理画像)
10d. ツツジツツジ科)の花: 葯は孔開葯する(葯の先端に孔がある)。
10e. ナス属ナス科)の孔開葯(葯の先端に孔がある)
10f. ゲッケイジュクスノキ科)の花: 葯は弁開している。

数と配置[編集]


1

1[8]11[12][27]
11a. シキミマツブサ科)の花は多数の雄蕊をもつ。
11b. モクレン属モクレン科)の花は多数の雄蕊がらせん状に配列している。
11c. セイヨウオモダカオモダカ科)の雄花は多数の雄蕊をもつ。
11d. タカネヒナゲシケシ科)の花は多数の雄蕊をもつ。
11e. バラ属バラ科)の花は多数の雄蕊をもつ。
11f. ネムノキマメ科)の花は多数の雄蕊をもつ。

 3, 4 51uniseriate2biseriate (whorled)[5][8][28]312a412b512c2312d412e512f124212g1: 
12a. チューリップユリ科)の花は6個の雄蕊をもつ。
12b. ヤマモモソウアカバナ科)の花は8個の雄蕊をもつ。
12c. ミミナグサ属ナデシコ科)の花は10個の雄蕊をもつ。
12d. グラジオラスアヤメ科)の花は3個の雄蕊をもつ。
12e. クルマバソウアカネ科)の花は4個の雄蕊をもつ。
12f. アカバナルリハコベサクラソウ科)の花は5個の雄蕊をもつ。
12g. オオイヌノフグリオオバコ科)の花は2個の雄蕊をもつ。

[29]

[]


1[4]

[]



[]


; adelphous stamen[4][5]1

; monadelphous stamen[4][5][8][30]

113a, b filamental tube

; diadelphous stamen[4][5][8][31]

1213c6321091

; polyadelphous stamen[4][32]

133; triadelphous stamen[4][5][33] 13d5; pentadelphous stamen[4][8][34] 
13a. ハイビスカスアオイ科)の単体雄蕊
13b. ツバキツバキ科)の花は単体雄蕊をもつ。
13c. ソラマメ属マメ科)の雌蕊(上)と雄蕊群(下): 雄蕊は9本が合着し上側の1本のみ独立している(二体雄蕊)。雌蕊はこの筒の中を通っている。
13d. セイヨウオトギリソウオトギリソウ科)は多数の雄蕊が基部で合着して三体雄蕊を形成する。

葯どうしが合着[編集]


; syngenesious stamen; synandrium, pl. synandria; synangium, pl. synangia[4][5][8][35]14ac

[]


; synandreous stamen[4]1[4]14d, e522[4]
14a. キク科の集葯雄蕊
14b. タンポポ(キク科)の花: 中央の雌蕊の花柱を取り囲む集葯雄蕊
14c. ヒマワリ(キク科)の筒状花: 集葯雄蕊(黒い部分)から花粉が噴出している。
14d. ベニバナサワギキョウキキョウ科)の花: 中央が合体雄蕊
14e. ペポカボチャウリ科)の合体雄蕊

雄蕊の異類合着[編集]



[]


[4]epipetalous[4][5][36]15a, b

 (epitepalous) [4]15c

1epsepalous[4]15d
15a. ヒレハリソウムラサキ科)の花冠を切り開いたもの: 雄蕊が花冠に合着している(花冠上生)。
15b. イチゲコザクラサクラソウ科)の長花柱花(左)と短花柱花(右)の断面: いずれも雄蕊(1)が花冠に合着している(2は柱頭)。
15c. スズランキジカクシ科)の花の断面: 雄蕊が花被基部に合着している(花被上生)。
15d. ヤナギバグミグミ科)の花は単花被花であり、雄蕊が花被(しばしばとよばれる)に合着している(萼上生)。

雌蕊との合着[編集]


epigynoecious[4]16a116b

column; gynostemium, pl. gynostemia1[4][37]16c, d
16a. センリョウセンリョウ科)の花は花被を欠き、雄蕊(白い構造)が雌蕊に合着している。
16b. オオバウマノスズクサウマノスズクサ科)の雄蕊は花糸を欠き、中央の雌蕊を取り囲んで合着している。
16d. サギソウラン科)の蕊柱(中央の三角形部分): オレンジ色の部分が葯、三角形中の緑色の部分が柱頭。両脇の白い突起は仮雄蕊が合着したもの。

異形雄蕊[編集]


1; heteromorphous stamen[4]11

[]


1

didynamous stamens

42[4][5][8]17a, b

tetradynamous stamens

64[4][5][8]17c24

; pentadynamous stamens

105[4]17d, e255
17a. ジギタリスオオバコ科)の二強雄蕊
17b. キバナオトギリソウシソ科)の二強雄蕊
17c. セイヨウアブラナアブラナ科)の四強雄蕊
17d. カタバミ属カタバミ科)の五強雄蕊
17e. ヒメフウロフウロソウ科)の五強雄蕊

仮雄蕊[編集]


 [];  []; ; staminode; staminodium, pl. staminodia[4][5][8][38]antherode11
18a. シロモジクスノキ科)の雌花: 仮雄蕊をもつ。
18b. イタドリタデ科)の雌花: 仮雄蕊をもつ。
18c. アメリカヒイラギモチモチノキ科)の雌花: 仮雄蕊をもつ。

[4]18ac[4]

[4]19ac6321[39]19a122[40]19c
19a. ツユクサツユクサ科)の花: 3個の仮雄蕊の仮葯は黄色く目立つ。
19b. ウメバチソウニシキギ科)の花: 雄蕊が2輪あり、内輪の5個は多分岐して先端に腺体がある仮雄蕊となる。
19c. ハナミョウガショウガ科)の花: 赤筋がある構造が合着した仮雄蕊(唇弁)。

[39]19a[41]

内部構造[編集]

20a. ユリ属ユリ科)の花粉形成中の葯の横断面: A = 花粉母細胞、B = 減数分裂中の細胞、C = タペート細胞 (タペート組織の外側は中間層)
20b. ユリ属の成熟した葯の横断面: 最外層の表皮は薄く、その内側の内被細胞壁に縞状の肥厚が見られる。花粉嚢内に花粉粒が存在する。

153[11]

1[18]20b1endothecium[18]20b湿middle layer20a[18]20b

12tapetal cell tapetum[18][42]20[18]2

; secretory, parietal[18][42]



; amoeboid, invasive[18][42]

 periplasmodium

[]


A, B, C, D, E 調ABC[43]BCE

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ または3裂した1個の雄蕊

出典[編集]



(一)^ ab( 1990, p. 301)

(二)^ abc( 1990, p. 292)

(三)^ ( 1990, p. 115)

(四)^ abcdefghijklmnopqrstuvwxyzaaabacadaeafagahaiajakalamanaoapaqarasatauavawaxayazbabbbcbdbebfbgbh (2001). .  . . pp. 26, 4256. ISBN 978-4896944792 

(五)^ abcdefghijklmnop( 2013, pp. 14091410)

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(七)^ abcdefg( 2013, p. 1403)

(八)^ abcdefghijklmnop,  & 西 (1986). . . . pp. 2526. ISBN 978-4896944792 

(九)^ abcdef (1979). 2) . . . pp. 1720. ISBN 978-4785358068 

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(19)^ ( 1990, p. 240)

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(22)^ ( 1990, p. 42)

(23)^ ( 1990, p. 239)

(24)^ ( 1990, p. 164)

(25)^ ( 1990, p. 312)

(26)^ ( 1990, p. 132)

(27)^ Kabeya, Y. & Hasebe, M.. . .  . 2023812

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(31)^ ( 1990, p. 171)

(32)^ ( 1990, p. 270)

(33)^ ( 1990, p. 206)

(34)^ ( 1990, p. 51)

(35)^ ( 1990, p. 256)

(36)^ ( 1990, p. 106)

(37)^ ( 1990, p. 309)

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(40)^ "". (). 2023812

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(42)^ abc( 2013, p. 878)

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参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]