デジタル大辞泉 「ち」の意味・読み・例文・類語 ち[五十音] 1五十音図タ行の第2音。硬口蓋の無声破擦子音﹇tʃ﹈と母音﹇i﹈とから成る音節。﹇tʃi﹈ 2 平仮名﹁ち﹂は﹁知﹂の草体から。片仮名﹁チ﹂は﹁千﹂の全画から。 [補説]﹁ち﹂は、古くは歯茎の無声破裂子音﹇t﹈と母音﹇i﹈とから成る音節﹇ti﹈であったが、室町時代末にはすでに﹇tʃi﹈と発音されていた。 ち[語素] [語素]指示代名詞の下に付いて、方角・場所・時間などの意を表す。「こち(此方)」「いずち(何処)」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「ち」の意味・読み・例文・類語 ち【ち・チ】 (一)〘 名詞 〙 五十音図の第四行第二段︵タ行イ段︶に置かれ、五十音順で第十七位のかな。いろは順では第八位で、﹁と﹂のあと﹁り﹂の前に位置する。現代標準語の音韻では、舌先と硬口蓋との間で調音される無声破擦音 tʃ と母音iとの結合した音節 tʃi にあたり、これを清音の﹁ち﹂という。これに対して、﹁ち﹂に濁点をつけた﹁ぢ﹂は、tʃ と同じ調音点における有声破擦音 dʒ と母音iとの結合した音節 dʒi にあてられる。これを﹁ち﹂の濁音という。ただし、標準語では dʒi は破裂を伴わない ʒi と全く混同されており、﹁ぢ﹂と﹁じ﹂との間に発音上の区別はない。﹁ち﹂﹁ぢ﹂はそれぞれ﹁ゃ・ゅ・ょ﹂を伴って拗音の tʃa, tʃu, tʃo; ʒa, ʒu, ʒo を表わす。﹁ち﹂の字形は﹁知﹂の草体から出たもの、﹁チ﹂は﹁千﹂を用いたものである。ローマ字では、﹁ローマ字のつづり方﹂︵昭和二九年内閣告示︶に、第一表に ti tya tyu tyo︵濁音は zi zya zyu zyo︶をあげ、第二表にいわゆるヘボン式の cha chi chu cho・ja ji ju jo と、いわゆる日本式の di dya dyu dyo とをあげている。 ち 〘 造語要素 〙 指示代名詞について、方角・場所などを表わす。「おち(遠)」「こち(此方)」「いずち(何方)」など。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「ち」の意味・わかりやすい解説 ち 五十音図第4行第2段の仮名。平仮名の﹁ち﹂は﹁知﹂の草体から、片仮名の﹁チ﹂は﹁千﹂からできたものである。万葉仮名では﹁知、智、地、陳、致︵以上音仮名︶、千、市、血、茅、乳︵以上訓仮名︶﹂などが清音に使われ、﹁遲、治、地、恥、尼、泥︵以上音仮名のみ︶﹂などが濁音に使われた。ほかに草仮名としては﹁︵地︶﹂﹁︵千︶﹂﹁︵遲︶﹂﹁︵致︶﹂などがある。 音韻的には/ci/で、歯茎と硬口蓋こうこうがいの中間と舌との間で調音する無声破擦音﹇tʃ﹈を子音にもつ。濁音は、東北、出雲(いずも)地方や四国、九州の一部などを除いて、ザ行のジと合一して﹇dʒ﹈を子音とする。表記上は主として﹁じ﹂を用いるが、連濁や同音連呼の第二音濁音化の場合には﹁ぢ﹂を用いる︵﹁はなぢ︵鼻血︶﹂﹁ちぢむ︵縮む︶﹂︶。 ﹇上野和昭﹈ 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内のちの言及 【釣針】より …魚を釣るための針。〈つり〉〈はり〉〈ち〉などともいう。各部の名称を図に示す。… ※「ち」について言及している用語解説の一部を掲載しています。 出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」