コンピュータ(読み)こんぴゅーた(英語表記)computer

翻訳|computer

精選版 日本国語大辞典 「コンピュータ」の意味・読み・例文・類語

コンピュータ

 

(一)   ( [] computer ) 
(一)[](1969︿)


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンピュータ」の意味・わかりやすい解説

コンピュータ
こんぴゅーた
computer


electronic computer


コンピュータの歴史

自動計算機

一連の計算を自動的に行う自動計算機の考えは、1821年ごろイギリスの数学者バベジによって初めて手がけられた。バベジは、まず、差分に基づいて関数表を作成するための差分機関を手がけ、ついで1834年、現在のデジタルコンピュータの先駆けをなす解析機関の製作を始めた。この自動計算機は、(1)数を蓄える装置(ストア)、(2)蓄えられた数値間の計算をする装置(ミル)、(3)機械の動作を制御する装置、(4)入出力装置からなり、今日のコンピュータとまったく同じ構成になっている。すべて機械部品が用いられたが、時代の技術的制約のために実現までには至らなかった。1991年、ロンドンの科学博物館(The Science Museum)ではバベジ生誕200年を記念して、1847年から1849年にかけてバベジが設計した差分機関No.2の設計図を基に差分機関を製作し、稼動させることに成功している。

 最初の自動計算機は、ハーバード大学のエイケンHoward Hathaway Aiken(1900―1973)がIBM社の協力を得て製作し、1944年夏に完成したリレー式計算機MARK-Ⅰ(マークワン)であるとも、ドイツのツーゼKonrad Zuse(1910―1995)が1941年ごろに完成させたリレー式計算機Z3(ゼットスリー)であるともいわれている。

[土居範久]

最初の電子計算機

使John Presper Eckert Jr.19191995ENIAC()1946188001500使1500.000210()0.00280.02419751019766Colossus()194312使1500使

 ENIAC194761964219716ENIACJohn Vincent Atanasoff19031995Clifford Berry191819631940ABCENIACABCENIACABCENIAC

 MARK-()ENIAC


ノイマン型コンピュータ

1945619441ENIAC1944EDVAC()1951EDSAC()Maurice Vincent Wilkes19132010EDSACEDVAC1949EDSAC1949Frederic Called Williams19111977MARK-1948EDSACIASBINAC()WhirlwindILLIAC()JOHNIAC()


商品としてのコンピュータ

世界最初の商品としてのコンピュータは、エッカートとモークリーが開発したUNIVAC-Ⅰ(ユニバックワン)である。エッカートとモークリーが設立した会社(エッカート・モークリー・コンピュータ・コーポレーション)を買収したレミントン・ランド社(現、ユニシス社)により、1951年に1号機がアメリカ国勢調査局に納入されている。これは事務用の計算を目的としたもので、2000語の容量をもつ水銀遅延回路と、数本の磁気テープを入出力装置として備えていた。その後、同社、IBM社をはじめ、数多くの会社で製造され、販売されている。

[土居範久]

日本での発達

日本で初めて製作された自動計算機は、1952年(昭和27)工業技術院電気試験所(現、産業技術総合研究所つくばセンター)で製作されたリレー式計算機ETL-MARK-Ⅰ(マークワン)である。本格的なエレクトロニックコンピュータの計画は、東京大学と東京芝浦電気(現、東芝)との共同によるTAC(タック)で、1953年ごろから始められたが、当初難航し、完成は1959年であった。実際に日本で最初に稼動したエレクトロニックコンピュータは、富士写真フイルム(現、富士フイルム)の岡崎文次(おかざきぶんじ)(1914―1998)によって製作されたFUJIC(フジック)で、1956年3月に完成した。FUJICは現在、東京の国立科学博物館に所蔵されている。電気試験所では、トランジスタを使ったコンピュータの研究が行われ、1956年ETL-MARK-Ⅲ(マークスリー)、ETL-MARK-Ⅳ(マークフォー)が相次いで製作された。日本では、このほかに、東京大学の後藤英一(1931―2005)によって発明されたパラメトロンを用いたコンピュータが、日本電信電話公社(現、日本電信電話株式会社)電気通信研究所のMUSASINO-1号(1957年完成)を初めとして、東京大学高橋秀俊(たかはしひでとし)(1915―1985)研究室、日立製作所、日本電気などで製作された。同じころ、慶応義塾大学でも創立100周年を記念してトランジスタを用いたコンピュータKCC-1が開発されている。その後、日本独自の技術あるいはアメリカの製造会社との技術提携などによって、次々と新しいコンピュータが製作されている。

[土居範久]

コンピュータの分類

世代による分類

コンピュータの基本的な論理素子であるAND(アンド)素子、OR(オア)素子、NOT(ノット)素子はいずれも、電気を通すか通さないかというスイッチが基本となっている。このスイッチ機構として真空管を用いたものを第1世代のコンピュータ、トランジスタを用いたものを第2世代のコンピュータという。トランジスタを用いた論理素子をいくつも数ミリメートル角の中に集積した集積回路ICを用いたものが第3世代のコンピュータである。集積度をさらにあげた高密度集積回路LSIを用いたものを第3.5世代とよんだり第4世代とよんだりする。現在は、さらに集積度をあげることが試みられており、そのような回路を超LSIあるいはVLSIとよぶ。現在は超LSIが使われている。超LSIであっても、単に、LSIとよぶことが多い。

 一般には、1958年ごろまでが第1世代、1959~1964年ごろまでが第2世代、1965~1977年ごろまでが第3世代、1978年ごろから第3.5世代とか第4世代とよばれるものになり、現在は第4世代である。

[土居範久]

第5世代コンピュータ

応用分野が拡大するにつれて、ノイマン型のコンピュータでは処理しきれないような問題も多数出てきた。そのような問題を処理するには、ノイマン型のコンピュータの機能的な限界を超えるようなコンピュータである必要がある。そのような機能としておもに推論機能を、時期として1990年代を考えたものが第5世代のコンピュータといわれていたもので、いいだしたのは日本である。通商産業省(現、経済産業省)のきもいりで1979年から2年間、第5世代調査研究委員会によって調査研究が行われ、1982年に、そのための機構として新世代コンピュータ技術開発機構ICOT(アイコット)が発足した。ICOTは、人工知能分野で多くの業績をあげ、1994年にその役割を終えた。

[土居範久]

価格による分類

250004000250004000100040001000


その他の分類

1965DEC()12PDP-881216243264使

 LSI

 icon80ALTO()19601970PARC()LANUNIXWindows NT


スーパーコンピュータ

その時代においてもっとも高速な演算を行うように設計された科学技術計算専用のコンピュータをスーパーコンピュータという。日米間では1990年の日米スーパーコンピュータ合意により演算速度が100GFLOPS(ギガフロップス)以上のコンピュータをスーパーコンピュータとしたが、文部科学省では2005年に演算速度が1.5TFLOPS(テラフロップス)以上のコンピュータをスーパーコンピュータと定めた。しかし、時代はすでにPFLOPS(ペタフロップス)級の時代になっており、2012年6月時点で世界最高速のスーパーコンピュータはアメリカのローレンス・リバモア研究所に設置されているIBM社の「Sequoia(セコイア)」で16PFLOPSである。

 昔にさかのぼるとIBM社のSTRETCH(ストレッチ)、ユニバック社のLARC(ラーク)に始まり、イリノイ大学のILLIAC‐Ⅳ(イリアックフォー)、クレイリサーチ社のCRAY(クレイ)‐1、Y‐MP、シンキングマシンズ社のCM‐1、CM‐2、CDC社のSTAR(スター)‐100、EAT10、テキサス・インスツルメント社のASC、日本電気のSX‐1、SX‐2、SX‐3、日立製作所のS810、S820、富士通のVP100、VP1000、VP2000などがある。

 1990年代には、ベクトル型を得意とする日本のスーパーコンピュータが世界制覇をしたが、アメリカが政府主導でスカラー型のマイクロプロセッサーを多数搭載した超並列型のスーパーコンピュータの開発に力を入れ、形勢は逆転した。2002年に開発された日本のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」は、ベクトル型のマイクロプロセッサーである日本電気製のSX-5を5120個搭載した超並列ベクトル計算機で、理論演算速度は40TFLOPS(Linpack(リンパック)で35.8TFLOPS。Linpackとはアメリカ・テネシー大学のドンガラ博士Jack Dongarra(1950― )らが開発したCPUの計算性能を比較する目的でつくられた大規模な連立一次方程式の演算回数を計測するプログラム)、2004年までは世界最高速であったが、2007年には20位にまで下がった。2007年6月時点で世界最高速であったアメリカのIBM社の「BlueGene/L(ブルージーンエル)」はスカラー型のマイクロプロセッサーであるPowerPCを13万1072個搭載した超並列スカラー計算機で、Linpackで280.6TFLOPSであった。

 日本では、2006年度からベクトル型とスカラー型のマイクロプロセッサーを搭載した混合型の超並列計算機「京(けい)」を完成させる国家プロジェクトが文部科学省の下で開始され(開発主体は理化学研究所)、2012年6月に完成、同年9月から共用を開始した。京の演算速度は10PFLOPSで、2012年6月時点ではアメリカのSequoiaに次いで世界第2位となっている。アメリカでもPFLOPS級のスーパーコンピュータの開発がさらに進められており、国家の威信をかけた日米の開発競争が激しくなってきている。スーパーコンピュータ開発の真の目的は、軍事利用および幅広い産業や科学技術研究での利用であるが、特段日本では、シミュレーションによる科学・工学上の飛躍的な進展が期待されている。

[土居範久]

日本の大型コンピュータ

1961RCA196219631964︿退IBM1971MACOS()COSMO()IBM退退

 3OEM


ハードウェア


CPU1LSIMPUMicro Processing Unit


入力装置

穿()穿()穿穿


出力装置

穿()穿使


主記憶装置

コンピュータを作動させるプログラムを格納している記憶装置。メインメモリーともいう。外部記憶装置からのデータや処理結果を一時的に記憶する作業記憶場所としても使用される。コンピュータでは、演算は、一般に二進法を用いて行われる。二進数字1字が、コンピュータで扱う最小単位で、これを1ビットbitの情報という。文字や数値は数ビットまとめて表現する。ビットの集まりをバイトbyteという。ただし、普通には、1バイトというと8ビットをさす。そして、データや命令を扱いやすいように、何ビットかをまとめて処理の基本単位とする(基本単位を構成するビット数はコンピュータによって異なる)。主記憶装置は、これらの基本単位の記憶場所をたくさん集めたもので、各記憶場所には番地(アドレスaddress)とよばれる一連番号がつけられている。命令やデータは一つあるいはいくつかの基本単位を用いて記憶されるが、それを一般に語(ワードword)という。

[土居範久]

演算装置

()gateAND()OR()NOT()NAND()NOR()XOR()

 1ABSChalf-adder21DEFTRfull-addern

 flipflop1register


制御装置



 

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

(8)

 (4)(5)1(4)(5)1


外部記憶装置

よく使う情報をファイルとして保存しておいたり、コンピュータの処理の過程で補助的に使ったりする記憶装置で、磁気ディスク記憶装置(ハードディスク)、フロッピーディスク(FD)、光磁気ディスク装置(MO)、CD-ROM、DVD-ROM、磁気テープ記憶装置、ストリーマー、USBメモリーなどがある。以前は、磁気ドラム記憶装置、カセットテープなども使われた。

[土居範久]

ソフトウェア

プログラム



 

 


プログラミング



 綿使

 debug


オペレーティングシステム

使

 

 

 使使使使使使

 使使使


操作方式



 使

 

 


インターネット

インターネットとは、地球的規模で相互につながれたコンピュータのネットワークで、インターネットプロトコル(IP)を用いてつながれた複数のコンピュータ・ネットワークをつなぐネットワークである。インターネットの起源は、1969年アメリカ国防総省の高等研究計画局(ARPA。現、DARPA)が開始したARPANET(アーパネット)である。カリフォルニア大学、スタンフォード研究所など全米4か所の接続で始まり、以後利用機関が拡大されていった(ARPANETは1990年に終了)。日本におけるインターネットの起源は、東京大学、東京工業大学と慶応義塾大学とを1984年に結んだJUNET(ジュネット)である。JUNETは、その後急速に発展し、1987年にはWIDE(ワイド)となった(JUNETは1994年10月に停止)。1989年にCERN(セルン)(ヨーロッパ原子核研究機構)でティム・バーナーズ・リーTim Berners-Lee(1955― )らによって開発されたWWW(World Wide Web)を簡単に扱えるMosaic(モザイク)という名のブラウザ(情報を検索し、画面に表示するソフト)が1993年にアメリカのイリノイ大学にあるNCSA(国立スーパーコンピュータセンター)でマーク・アンドリーセンMarc Andreessen(1971― )らによって開発され、無償で公開されたことから急激にインターネットの利用者が増え、現在もなお増え続けている。ネットスケープ・ナビゲーターNetscape Navigatorはマーク・アンドリーセンらが起業しMosaicを発展させたものであり、また、インターネット・エクスプローラーInternet ExplorerはMosaicのコードをもとにマイクロソフト社が開発したものである。現在では、インターネット上にはさまざまなサービスが無料あるいは有料で提供されており、Google(グーグル)やYahoo!(ヤフー)など高速なサーチエンジンも開発されたことからインターネットの利用はもはや日常的になっている。『情報化白書』によると2006年末の日本のインターネットユーザー数は8754万人(総務省「通信利用動向調査」)、世界では10億8000万人(米eMarketer社「Worldwide Internet Users」)となっている。

[土居範久]

人間とのかかわり合い

加速度的な変化

1950調


利用形態

使ATMDVDSuica()PASMO()IC使使

 GIS使使ICRFIDRadio Frequency Identification


産業界の変化

ICT使1980OA使ERPEnterprise Resource Planning

 使

 19601980使CAIcomputer assisted instructionCMIcomputer managed instruction

 ()()CAD()CAM()CD-ROMDVD-ROM使使使


高度ユビキタス社会の到来

JR便使使使IC使便

 



 2 1982 14 198219822020002002200520062007196519681969197219731975197619771986198719871992199320052006BCN20072008200920102011

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンピュータ」の意味・わかりやすい解説

コンピュータ
electronic computer

 
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パソコンで困ったときに開く本 「コンピュータ」の解説

コンピュータ

電子計算機のことです。電子的な計算でソフトウエアを動かすものはすべてコンピュータだと考えていいでしょう。またウィンドウズ8では、使っているパソコン自身を示す名称としても使われます(8・1では「PC」)。
⇨ソフトウエア

出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本パソコンで困ったときに開く本について 情報

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