出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
島民の言語であるヤップ語はオーストロネシア語族の一員であるが、中核ミクロネシア語とは系統上一線を画し、正確な系統上の位置づけは不明である。伝統的島民の生計は女性の耕作によるタロイモ、ヤムイモと男性による漁労に依存している。カロリン諸島の母系制社会の領域にあるが、ヤップの基本的生活単位は狭い範囲の父系的拡大家族で、それは特定の屋敷と結合している。他方、母系氏族は、夫方居住婚であるのでその成員は各村に分散している。ヤップの政治・社会体系を支配しているのは身分的階層秩序で、ヤップ島は百数余の村落に分割されていて、村そのものに階級があり、上層階級(ピルン)の村と下層階級(ミリンガイ)の村に二分される。
北部のカギール地区の村は、宗教的権威を背景に、東方離島のウルシー環礁を経て、チューク諸島(トラック諸島)近くのノモヌウィト環礁に至る広大な海域における貢納・交易網を支配した。この島では儀礼的に貴重品を交換することを通じて、社会関係が維持されている。このような儀礼的貴重品である石貨と貝貨は、現在も人々の間で生き生きと交換されている。
[牛島 巖]
『牛島巖著『ヤップ島の社会と交換』(1987・弘文堂)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
※「ヤップ島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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