精選版 日本国語大辞典 「リジン」の意味・読み・例文・類語 リジン (一)〘 名詞 〙 ( [英語] lysine [ドイツ語] Lysin )[ 異表記 ] リシン 必須アミノ酸の一種。化学式C6H14O2N2 ほとんどすべてのタンパク質の構成アミノ酸として、広く生物界に存在する。精製すると針状または板状の結晶になる。︹日本家庭大百科事彙︵1927‐31︶︺ 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「リジン」の意味・わかりやすい解説 リジンりじんlysine 塩基性α(アルファ)-アミノ酸の一つで、リシンともいう。略号はLysまたはK。L-リジンはタンパク質を構成するアミノ酸の一つで、ほとんどすべてのタンパク質に含まれているが、とくにヒストン、アルブミン、筋肉タンパク質に多く含まれている。ヒトにとっては必須アミノ酸(ひっすあみのさん)の一つで、体内では合成できない。微生物ではアスパラギン酸から、酵母ではアセチル補酵素Aとα-ケトグルタル酸とから、10段階ほどの変化を経て合成される。分解も種によって非常に異なり、カビや酵母ではグルタリル補酵素Aを経てアセチル補酵素Aに分解する。リジンの5位︵カルボキシ基の炭素を1と数えて5つ目の炭素︶がヒドロキシ化されたヒドロキシリジンとD-ガラクトースとの間のO-グリコシド結合は糖鎖︵グルコースやガラクトースなどの糖が鎖状に連なった物質︶がタンパク質に結合する様式の一つである。リジンのε(イプシロン)-アミノ基のアセチル化がおきるとタンパク質の機能が変化する。 化学式はNH2(CH2)4CH(NH2)COOHで、分子量146.19。水で結晶化させると、針状結晶となる。分解温度は224.5℃で、水によく溶け、アルコールには溶けにくく、エーテルには溶けない。 なお、リシンricinはアルブミンに属する毒性タンパク質で、トウゴマの種子︵ヒマ子(し)︶に含まれる。 ﹇降旗千恵﹈ 栄養 リジンは動物性タンパク質には多いが、穀類タンパク質には少なく、不足しやすいアミノ酸である。このため小麦粉製品にリジンの強化が勧められている。リジンの末端のアミノ基は糖と反応しやすく、食品を褐変させる。他の化合物と結合したリジンは栄養上有効でなくなるので、非有効性リジンとして区別される。 ﹇宮崎基嘉﹈ ﹃船山信次著﹃アルカロイド――毒と薬の宝庫﹄︵1998・共立出版︶﹄ [参照項目] | アスパラギン酸 | アセチル化 | アセチル補酵素A | アミノ基 | アミノ酸 | アルブミン | 塩基 | グルタル酸 | 酵母 | トウゴマ | ヒストン | 必須アミノ酸 | 補酵素A 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リジン」の意味・わかりやすい解説 リジンlysine 塩基性のα-アミノ酸の一種。略号 Lys 。化学式H2N(CH2)4CH(NH2)COOH 。L体はほとんどすべての蛋白質にその構成成分となって含まれている。ことにヒストン,アルブミン,筋肉蛋白質などに多く含まれるので,これらの加水分解物から分離される。針状晶か板状晶。融点 224~225℃。小麦粉に加えると,その栄養価値を高めるといわれる。DL体の一塩酸塩の融点 235~236℃,二塩酸塩の融点 188~190℃。D体は DL-リジンを化学的に,または酵素でラセミ分割して得られる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
百科事典マイペディア 「リジン」の意味・わかりやすい解説 リジン リシンとも。化学式はH2N(CH2)4CH(NH2)COOH。代表的な塩基性アミノ酸。L-型はタンパク質を構成するアミノ酸の一つ。哺乳(ほにゅう)類の必須アミノ酸の一つで,穀物には含有量が少ないため,特に家畜用飼料への需要が大きく,発酵法または酵素法により大量に生産されている。→関連項目必須アミノ酸 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報