デジタル大辞泉
「ロラン」の意味・読み・例文・類語
ロラン︵Claude Lorrain︶
﹇1600~1682﹈フランスの画家。生涯の大半をローマで送る。宗教的主題をもつ風景画を制作、外光と大気の微妙な変化を巧みに表現し、のちの風景画家に大きな影響を与えた。
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ロラン
(一)[ 一 ] ( Claude Lorrain クロード━ ) フランスの画家。その生涯の大半をローマで過ごし、宗教的・歴史的人物を点景として配した風景画を制作。その様式は、フランス、イギリスのその後の風景画に大きな影響を与えた。︵一六〇〇‐八二︶
(二)[ 二 ] ( Romain Rolland ロマン━ ) フランスの小説家、思想家。トルストイの思想的影響の下に出発、人類への愛、理想主義の信念に基づき、創作や平和運動に活躍した。ベートーベンの研究もある。代表作は﹁ジャン=クリストフ﹂﹁魅せられたる魂﹂。一九一五年ノーベル文学賞受賞。︵一八六六‐一九四四︶
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ロラン
Claude Lorrain
生没年:1600-82
プッサンと並んで,フランス17世紀の古典主義風景画を完成した画家。別名クロード・ジュレClaude Gellée。後代のターナーや,イギリス・ロマン派,印象派に多大な影響を与えた。ナンシー近く,シャマーニュの農家に生まれた。1612年に木彫家の兄に従ってドイツのフライブルクに出る。13年ころローマに赴き,風景画家タッシAgostino Tassi︵1580-1644︶のもとで,ついでナポリのドイツ人画家ワルスGoffredo Waelsのもとで,それぞれ絵画の手ほどきをうける。25年ナンシーにもどり,カルメル会教会のフレスコ画を手がけ,27年ふたたびローマにもどった後は,ここに定住。33年アカデミア・サン・ルカの会員となり,教皇ウルバヌス8世,スペインのフェリペ4世ら多くの顧客にめぐまれた。作風は,まずタッシの影響からはじまり,ナポリ時代に,その風光明美な港湾の姿に強い印象をうけ,これがその後一生,彼の風景画を支配することとなる。後期マニエリスムの画家A.エルスハイマーやP.ブリルのスタイルが,彼の建築モティーフの表現方法に反映している。40-60年代には,古典古代の神話主題や宗教上の主題を,ローマ近郊でのデッサンを基礎にして,豊かな自然感情をおりこんで描出し,成熟期を迎える。当時のローマでは,北方オランダの風景画とは異なった,量塊性の強い重厚な自然の再現が好まれた︵プッサンやS. ローザがその代表︶。プッサンと比べて,ロランの作品は,空の広がりと海上に照りはえる太陽の光に特色がある。36年以降,自作をデッサン化して収録した目録︽真理の書︾を残している。
→風景画
執筆者‥木村 三郎
ロラン
Romain Rolland
生没年:1866-1944
フランスの作家。ブルゴーニュ地方,クラムシーの中産階級の旧家に生まれる。エコール・ノルマルで歴史学を専攻。︽リュリとスカルラッティ以前のヨーロッパ・オペラの歴史︾︵1895︶で文学博士号を取得。母校で芸術史を,次いでパリ大学で音楽史を教えた。文壇へは︽狼︾︵1898︶,︽ダントン︾︵1900︶,︽7月14日︾︵1902︶などの史劇作品でデビューしたが,これらの︿民衆演劇﹀の試みは成功しなかった。︿英雄とは思想や力で勝利した者ではなく,心によって偉大であった者のことである﹀という人道主義的ヒロイズム観に立って︽ベートーベン︾︵1903︶,︽ミケランジェロ︾︵1906︶,︽トルストイ︾︵1911︶など一連の伝記を著した。またインド思想への共感から︽ガンディー︾︵1923︶,︽ラーマクリシュナ︾︵1929︶なども書いた。しかし,ロランの最高の作品は大河小説のさきがけとなった︽ジャン・クリストフ︾10巻︵1904-12︶である。ひとりの天才的作曲家の生涯を描きつつ,創造力と真摯,勇気,熱誠,そして人間愛をうたいあげた。第1次大戦中,中立国スイスにあって,真理と正義と愛の名において反戦平和を説いた諸論文は︽戦火を越えてAu-dessus de la mêlée︾︵1915︶にまとめられた。大戦後,とりわけ30年代には反戦反ファシズムの立場からソビエト社会主義への傾斜を深めたが,このような思想遍歴は小説︽クレランボー︾︵1920︶,︽魅せられたる魂L'âme enchantée︾︵1922-33︶のうちにたどることができる。1916年ノーベル文学賞受賞。
執筆者‥加藤 晴久
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ロラン
フランスの作家。高等師範学校,パリ大学で音楽史を教えながら文筆活動に入る。初めは戯曲で︽ダントン︾︵1900年︶ほかの革命劇など。演劇は力と光明を与える娯楽とする考え方は︽民衆演劇論︾にまとめられた。︽ベートーベンの生涯︾︵1903年︶,︽ミケランジェロの生涯︾などで偉大な精神の持主を描き,魂の英雄主義を掲げる。この思想から長編︽ジャン・クリストフ︾を書き作家としての地位も確立する。論文︽戦いを越えて︾︵1915年︶以後,反ファシズム,反戦の立場を明確にし,ソビエト社会主義に傾斜。長編︽魅せられた魂︾︵1922年―1933年︶では女性を主人公にしつつロシア革命とインドの無抵抗主義に同時にひかれる作者の思想的立場が語られる。この時期に︽愛と死の戯れ︾などの革命劇,インド思想に共感し︽ガンディー︾やヒンドゥー教研究書などを書いた。その後,︽ベートーベン,偉大な創造の時期︾︵1928年―1945年刊︶を完成させた。1915年ノーベル文学賞。
→関連項目ジューブ|人文主義|新村猛|豊島与志雄|ヘッセ
ロラン
フランスの風景画家。シャンパーニュ地方シャアーニュ生れ。本名クロード・ジュレ。若くしてローマに行き風景画家アゴスティーノ・タッシ︹1565-1644︺に学び,一時フランスに帰ったが,1627年以後ローマに定住。歴史や神話に取材した壮大な構図の作品が多く,風景の光の微妙な効果や大気の表現にすぐれた。プッサンとともにフランス古典主義絵画を代表し,19世紀の英国風景画に影響を与えた。代表作に︽クレオパトラの上陸︾︵1642年,ルーブル美術館蔵︶,︽シバの女王の乗船︾︵1648年,ロンドン,ナショナル・ギャラリー蔵︶などがある。
→関連項目エルスハイマー|コンスタブル|ターナー|ベルネ
ロラン
フランスの上流夫人。典型的なパリのブルジョア家庭の出身で,豊かな才能に恵まれプルタルコスやルソーに心酔。自宅に開いたサロンには多くのジロンド派の人びとが集まり,政治的影響力が大きかった。1793年山岳派により死刑。夫のJean-Marie Roland︹1734-1793︺はジロンド派内閣内相,国民公会議員。妻の処刑を知って自殺。
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ロラン
Romain Rolland
1866~1944
『ジャン・クリストフ』ほか多数の小説,戯曲などで知られるフランスの作家。第一次世界大戦中はスイスから平和を訴え,大戦後は反戦,反ファシズム運動の先頭に立った。
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世界大百科事典(旧版)内のロランの言及
【フランス美術】より
…人間の心の微妙なゆらめきを,ひめやかな絹の手触りと薄暮の田園の哀愁をこめて描き出した洗練の極致ともいうべきワトーの作品を思い出してみれば,このことはおのずから明らかであろう。落日の一瞬の輝きを反射する水面の変化を捉えたクロード・ロランの海景や,あるいは大気と光の移り変りをそのまま画面に定着しようとした印象派の鋭敏な感覚も,その例証である。
[堅実な現実感覚]
さらに,フランス美術の第4の特質として,その堅実な現実感覚を挙げなければならない。…
【ジャン・クリストフ】より
…フランスの作家[R.ロラン]の長編小説。全10巻。…
【反ファシズム】より
…日独伊三国軍事同盟締結と大政翼賛会,大日本産業報国会の結成は,40年のことであったが,このときにはすでに反ファシズムの組織と言論は皆無に近かった。【鈴木 正節】
【国際的な反ファシズム文化運動】
国際的な反ファシズム文化運動の先駆としては,反戦を掲げてロマン・ロランとバルビュスが呼びかけ,ゴーリキー,アインシュタイン,ドライサー,ドス・パソスらが発起人に名を連ねる,1932年8月アムステルダムの国際反戦大会に29ヵ国2200名を集め,翌年パリで第2回大会を開催した〈アムステルダム・プレイエル運動〉,フランスの急進社会党代議士ベルジュリが主唱し,J.R.ブロック,ビルドラックらの協力した33年5月結成の〈反ファシズム共同戦線〉,ジッド,マルローらによる〈革命作家芸術家協会〉の33年における反ファシズム運動などがあげられる。しかし,それが政治的立場を超えた知識人の統一運動として定着するのは,34年の2月6日事件をまたなければならない。…
【マイゼンブーク】より
…52年逮捕をのがれてイギリスへ亡命し,家庭教師として生計を立てるかたわら,[ゲルツェン]をはじめとする多数の亡命革命家たちと交際する。62年イギリスを去り,パリへ赴き,さらに晩年はイタリアに居住し,それらの地でR.ワーグナー,ニーチェ,ロマン・[ロラン]らと親交,とりわけロランの若き日に多大な影響を与えた。自叙伝︽一理想主義者の回想︾(1876)ならびにロランとの往復書簡がとくに有名である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」