デジタル大辞泉 「下手」の意味・読み・例文・類語 へた【下‐手】 ﹇名・形動﹈︽﹁はた︵端︶﹂あるいは﹁へた︵端︶﹂の変化で、奥深くない意からか︾ 1 物事のやり方が巧みでなく、手際が悪いこと。また、そのさまや、その人。﹁泳ぎが下手な人﹂﹁字をわざと下手に書く﹂﹁人の使い方が下手だ﹂⇔上(じょ)手(うず)。 2 なまはんかであること。なまじっかなことをして結果が悪くなること。また、そのさま。﹁下手な小細工をすると大事になりかねない﹂﹁下手に口出しはできない﹂ 3 中途半端なこと。満足できるような程度でないこと。また、そのさま。﹁彼の蔵書は下手な図書館の比ではない﹂﹁下手な画家顔負けの絵﹂ [派生]へたさ﹇名﹈ [類語]︵1︶拙劣・拙悪・稚拙・未熟・幼稚・不細工・無器用・不得手・不得意・へぼ・下手くそ・から下手・からっ下手・拙(つたな)い・まずい・たどたどしい・ぎこちない しも‐て︻下手︼ 1下の方。下(しも)座(ざ)の方。﹁下手に座をとる﹂⇔上(かみ)手(て)。 2 川の流れていく方。下流。⇔上(うわ)手(て・かみて)。 3 芝居の舞台の、客席から見て左の方。⇔上(かみ)手(て)。 [類語]下方・下(した)・下(しも)・下(げ)座(ざ)・下(しも)座(ざ)・末席・末座 した‐て︻下手︼ ︽﹁したで﹂とも︾ 1 位置・方向が下のほう。特に、風下・川下などをいう。しもて。⇔上(うわ)手(て)。 2 相手より地位や能力が下であること。また、その地位など。 3 へりくだること。⇔上(うわ)手(て)。 ﹁男は言葉を柔げて―に頼むように﹂︿魯庵・社会百面相﹀ 4 相撲で、組み合ったときに差し手で相手のまわしを取ること。また、その手。⇔上(うわ)手(て)。 5 囲碁・将棋で、対局者のうち段位・力量の劣ったほう。⇔上(うわ)手(て)。 6 犬(いぬ)追(おう)物(もの)で、自分の馬の後に立つ射手。 [類語]下部 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「下手」の意味・読み・例文・類語 した‐て【下手】 (一)〘 名詞 〙 ( ﹁したで﹂とも ) (二)① 下の方。特に、風下、川下などをさしていう。⇔上手(うわて)。 (一)[初出の実例]﹁つよき馬をばうは手にたてよ、よはき馬をばした手になせ﹂(出典‥平家物語︵13C前︶四) (二)﹁した手よりよこさまに立まはる鳥そかひに鷹ぞよりて空とる﹂(出典‥西園寺鷹百首︵14C後‐15C前か︶) (三)② 他より劣ること。また特に、下の地位、または、その地位にあるもの。主従関係において従う方のもの。下位。下輩。 (一)[初出の実例]﹁それもかたみの有明の月にならべばしたてにやなり侍らん﹂(出典‥千五百番歌合︵1202‐03頃︶一三二二番) (二)﹁元来其の心闊如として、人の下風(シタテ)に立ん事を思はざりければ﹂(出典‥太平記︵14C後︶六) (四)③ 犬追物で、自分の馬の後に立った射手。⇔上手。︹犬追物付紙日記︵1460‐66頃か︶︺ (五)④ 相撲で、相手の差し手の下から相手のまわしを取ること。また、その手。⇔上手。︹無刊記刊本碧巌鈔︵1620‐40頃︶︺ (六)⑤ ( 形動 ) ( ﹁したで﹂の形で用いられることが多い ) 人にへりくだるような態度をとること。また、そのさま。→したてに出る。 (一)[初出の実例]﹁和(やさ)しく下手(シタデ)に涙で口説かば万一は折れもすべきに﹂(出典‥いさなとり︵1891︶︿幸田露伴﹀三四) (七)⑥ 特に、囲碁や将棋の対局者で、段位、級位の下の者。また、技量の劣る者。︹モダン新用語辞典︵1931︶︺ げ‐しゅ︻下手︼ (一)〘 名詞 〙 (二)① ( ━する ) 物事にみずから手をくだすこと。 (一)[初出の実例]﹁若群党共殺。止移二下手者及頭首之人一﹂(出典‥律︵718︶賊盗) (二)﹁此訴人は、汝十三歳の時、備前の国に在し時、とらへし所の魚類也。まさしく下手せすといへとも、漁人にともなひし故に、訴申所也云云﹂(出典‥山王絵詞︵1310頃︶八) (三)② ( ━する ) 物事に手をつけること。着手。 (一)[初出の実例]﹁空によりて意想を回し、大略慮至れば、直に工業に下手し﹂(出典‥米欧回覧実記︵1877︶︿久米邦武﹀二) (四)③ 身分などの低い人。人の下についている人。下輩。下種(げす)。 (一)[初出の実例]﹁宣孝朝臣、依レ打二彼国住僧道覚之下手一、公家有レ召﹂(出典‥左経記‐長元四年︵1031︶正月二八日) しも‐て︻下手︼ (一)〘 名詞 〙 ( ﹁て﹂は方向・方面の意 ) したの方。下(しも)の方。⇔上手(かみて)。 (二)① 川の流れていく方。下流。︹和英語林集成︵再版︶︵1872︶︺ (三)② 劇場の舞台の、客席から見て左側の部分。しもざ。 (一)[初出の実例]﹁この時下座にて人音するゆゑ、下手(シモテ)の方へ小隠れする﹂(出典‥歌舞伎・四天王楓江戸粧︵1804︶三立) (四)③ 部屋などで、地位の低い人のすわる方。 (一)[初出の実例]﹁知県公庁の広間に着坐すれば︿略﹀警吏は元龍唐狛を下手(シモテ)の左に吟蜩子を右に引きすゑて﹂(出典‥露団々︵1889︶︿幸田露伴﹀一九) (五)④ 魚網の引綱の右の方。 (一)[初出の実例]﹁よわくひけば、かみてしもての綱ゆるびてわろければ﹂(出典‥袖中抄︵1185‐87頃︶二〇) へた︻下手︼ (一)〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( ﹁はた︵端︶﹂あるいは﹁へた︵端︶﹂の変化したもので、奥深くないの意からか ) (二)① 物事に巧みでないこと。拙劣であること。劣ること。手ぎわの悪いこと。また、そのさまや人。 (一)[初出の実例]﹁取るまじき所を取り、捨つまじき所を捨つるはへた也﹂(出典‥連理秘抄︵1349︶) (三)② なまじっかなことをして結果が悪くなること。また、そのさま。 (一)[初出の実例]﹁額の汗を下手(ヘタ)に拭と、色男の面が藍隈になる﹂(出典‥滑稽本・浮世風呂︵1809‐13︶四) (二)﹁へたして、小者どもにたかられるな﹂(出典‥二つの話︵1946︶︿井伏鱒二﹀) (四)③ 身分が卑しいこと。また、性質や行状のよくないこと。また、そのさまや人。 (一)[初出の実例]﹁わろき身を、へたとも云也﹂(出典‥袖中抄︵1185‐87頃︶二) くだり‐て︻下手︼ (一)〘 名詞 〙 細工の劣るもの。安価な下等品。安物。 (一)[初出の実例]﹁くだり手のかたし目貫﹂(出典‥浮世草子・好色五人女︵1686︶二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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