デジタル大辞泉 「性質」の意味・読み・例文・類語 せい‐しつ【性質】 1もって生まれた気質。ひととなり。たち。﹁温厚な性質﹂ 2 その事物に本来そなわっている特徴。﹁燃えやすい性質﹂﹁すぐに解決がつくという性質の問題ではない﹂ [用法]性質・性格――﹁熱しやすく冷めやすい性質︵性格︶﹂のように、人についていう場合には相通じて用いられる。◇﹁性質﹂は、人以外の場合でも、﹁水にとけやすい性質﹂のように、その物事がもともと持っている特性の意で使われる。◇﹁性格﹂を物事について使う場合は、その物事と他との違いをきわだたせるような特徴をいう。﹁議題と性格が異なる提案は却下する﹂ [類語]性格・キャラクター・心柄・質・性向・性情・気質・質(たち)・性(さが)・性(しょう)・性(しょ)分(うぶん)・気(きし)性(ょう)・気立て・人柄・心(ここ)根(ろね)・心(しん)性(せい)・品性・資性・資質・個性・人格・パーソナリティー・本性・本能・天性・気心・気風・人となり・人間性・肌・気(かた)質(ぎ)・肌合い・家風・精神 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「性質」の意味・読み・例文・類語 せい‐しつ【性質・生質】 (一)〘 名詞 〙 (二)① 生まれつきのたち。もって生まれた気質。ひととなり。天性。資性。 (一)[初出の実例]﹁生質(セイシツ)横逆にして終に仏法の名字だも聞くことなし﹂(出典‥地蔵菩薩霊験記︵16C後︶六) (二)﹁何は兎もあれ此儘に、見て居られぬが我性質(セイシツ)﹂(出典‥今弁慶︵1891︶︿江見水蔭﹀二) (三)[その他の文献]︹新唐書‐柳公綽伝︺ (三)② 生まれながらの姿、形。生まれたときからの身体の様子。 (一)[初出の実例]﹁形短くして、甚だ醜き生質(セイシツ)なりしが﹂(出典‥地蔵菩薩霊験記︵16C後︶一四) (四)③ 事物が本来もっている固有のありかた。これによって他の事物と種類を区別できるもの。本来の特徴。ロックの哲学では、延長・固さなどの事物の固有性を第一性質といい、色・臭・音などの感覚的性質を第二性質という。質。 (一)[初出の実例]﹁亦寸度及び十分寸の度を画む瓦斯の性質を鑒識するに用ふ﹂(出典‥舎密開宗︵1837‐47︶内) (二)﹁凡そ物として外物の為めに感染せられ、其状態性質を変ぜざるものやある﹂(出典‥日本開化小史︵1877‐82︶︿田口卯吉﹀一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「性質」の意味・わかりやすい解説 性質せいしつqualitas 質とも訳す。 qualitasはプラトンの造語 poiotēsの訳語としてキケロがつくったもの。事物のあり方を意味し,量の対立概念。アリストテレスは﹁どのような﹂という疑問への答えをなすものが性質であるとして,範疇の一つとした。アリストテレスやスコラ哲学では性質は個物にそなわる客観的なものであるが,すでにデモクリトスは客観的な原子の形,大きさ,位置などに対して色や味を単に主観的なものとしてみていた。この考えは近世にいたりガリレイを経て J.ロックによって第一性質と第二性質の区別として提出された。すなわち前者は固さ,延長,形,動静,数など客観的,数学的,物理学的な性質であり,後者は色,音,味など主観的,心理的な性質である。第一性質は物体の本質的規定であり,第二性質は偶有的性質である。近世以後の自然科学は以上の意味の質を量に還元し,数量計算の対象とすることを根幹としているが,哲学的価値論では量化されない質の重要性が強く主張されている。また,日常的用法では価値の序列を質の高低として表わすことが多い。さらにはアリストテレス主義において命題の質と呼ばれるのは肯定命題と否定命題の区別である。この質に対する意味の量は全称,特称,単称の区別であり,カントはこれに合せて第三の質の範疇として無限的を導入した。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報