日本歴史地名大系 「五箇」の解説
五箇
ごか
武生盆地の東辺に位置し、近世には大おお滝たき・岩いわ本もと・不おい老ず・新しん在ざい家け・定さだ友ともの五ヵ村からなる。文明年間︵一四六九―八七︶の大滝寺々庫収納田数帳︵大滝神社文書︶に﹁岡本神郷﹂と記される地域で、大滝神社の神郷として、室町時代より製紙業を中心に発達した。福井藩祖結城秀康の代官大町靫負の書状︵三田村家文書︶に﹁態申越候、其地五ケ村ニ而似紙を漉候て和(三泉田村殿氏)迷惑之由云々﹂とみえる。また慶長一一年︵一六〇六︶頃の越前国絵図には﹁大滝五ケ村﹂として高一二八一・一七石が記される。
五箇の諸村は近世を通じて福井藩領で、越前和紙の産地として全国に知られた。佐藤信淵の﹁経済要録﹂にも﹁凡貴重ナル紙ヲ出スハ越前岩本・大滝・定友・不老・新在家此五ケ村ヲ以テ日本第一トス﹂とある。
五箇
ごか
- 福井県：大野市
- 五箇
大野市東部、九くず頭りゆ竜う川が荒あら島しま岳の北麓を浸食する峡谷部と、北東から流れてこの峡谷部で合流する打うち波なみ川の流域からなる一帯。
明治二二年︵一八八九︶町村制施行時の五箇村は、上かみ打うち波なみ村・下打波村・仏ほと原けはら村・東ひが勝しか原どはら村・西勝原村の五村が合併したものであるが、九頭竜川沿い、仏原村の上流下しも山やま村︵現大野郡和泉村︶との結び付きも強く、慶長八年︵一六〇三︶五月二三日付の筏乗場の掟書︵清水家文書︶には、﹁五ケ村筏乗場之事﹂として﹁八ケ山家より御公方材木出候時川下之場﹂を﹁五ケ之年寄立合互ニ申分之通御糺明﹂して定めたもので、下山村のほか、仏原村・下打波村・坂さか谷たに門かど原はら︵東勝原︶村・富とみ田たか門どは原ら︵西勝原︶村・上打波村の名がみえる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
