デジタル大辞泉 「仄めく」の意味・読み・例文・類語 ほの‐め・く【×仄めく】 ﹇動カ五︵四︶﹈ 1 ほのかに見える。かすかに目にとまる。﹁霧の中に姿が―・く﹂ 2 ほのかに香る。﹁風に―・く花の匂い﹂ 3 それとなく言葉や態度に表れる。﹁人のよさが―・いている﹂ 4 ちらりと寄る。ちょっと顔を出す。 ﹁思ひもかけず―・き給ふめりしを﹂︿夜の寝覚・三﹀ [類語]ぼやける・ぼかす・薄明かり・明かり・灯火・ライト・ともしび・きらめき・光・輝き・光明・光輝・光(こう)耀(よう)・光彩・光(こう)芒(ぼう)・明るみ・雪明かり・月明かり・星明かり・川明かり・花明かり・街明かり・窓明かり・ほの明るい・薄明るい・余光・薄明・かわたれ時・たそがれ・たそがれ時・残照・夕明かり・おぼろ・微光・薄ら日・ほのぼの・トワイライト 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「仄めく」の意味・読み・例文・類語 ほの‐め・く【仄めく】 (一)〘 自動詞 カ行五︵四︶ 〙 ( ﹁めく﹂は接尾語 ) (二)① ほのかに形や光が見える。見え隠れに姿をあらわす。 (一)[初出の実例]﹁かげろふのあるかなきかにほのめきてあるはあるともおもはざらなん﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶俊蔭) (三)② ちらちら姿を見せて通って来る。ちょっと立ち寄る。また、ちらと姿を見かける。 (一)[初出の実例]﹁御おとうとの三のきみ、うちわたりにて、はかなうほのめき給ひしなごりの﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶花散里) (四)③ それとなく本心が態度やことばのはしばしにあらわれる。 (一)[初出の実例]﹁かみの館の人々のなかにこのきたる人々ぞ、心あるやうにはいはれほのめく﹂(出典‥土左日記︵935頃︶承平四年一二月二七日) (五)④ ほのかにかおる。ほんのりと香りが流れる。 (一)[初出の実例]﹁うちよりほのめく追風も、いとどしき御匂ひのたち添ひたれば、いと深くかほり満ちて﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶蛍) (六)⑤ ほのかに音が聞こえてくる。ほのかにかき鳴らす。 (一)[初出の実例]﹁をりをりほのめく箏の琴のねこそ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶橋姫) (七)⑥ 人のうわさにたつ。うわさをされる。 (一)[初出の実例]﹁彼女房みめ形類なく、心の色世に有難しと、ほのめきければ﹂(出典‥源平盛衰記︵14C前︶三二) (八)⑦ 女性が、やさしい声でいう。 (一)[初出の実例]﹁優しい声にて何成共云かけ給へとほのめけば﹂(出典‥浄瑠璃・孕常盤︵1710頃︶四) (九)⑧ 期待して、わくわくする。うきたつ。 (一)[初出の実例]﹁心もほのめくほどに、馬のをそきが、せうし也﹂(出典‥中華若木詩抄︵1520頃︶中) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例