デジタル大辞泉 「仄仄」の意味・読み・例文・類語 ほの‐ぼの【×仄×仄】 ﹇副﹈(スル) 1 かすかに明るくなるさま。﹁東の空が仄仄としてくる﹂ 2 ほんのり心の暖かさなどが感じられるさま。﹁仄仄︵と︶した母子の情愛﹂ 3 わずかに聞いたり知ったりするさま。 ﹁かく、ささめき嘆き給ふと、―あやしがる﹂︿源・夕顔﹀ ﹇名﹈夜明け方。 ﹁未だ―の程に主上出でて南面におはします﹂︿続古事談・一﹀ [類語]︵1︶薄明かり・明かり・灯火・ライト・ともしび・きらめき・光・輝き・光明・光輝・光(こう)耀(よう)・光彩・光(こう)芒(ぼう)・明るみ・雪明かり・月明かり・星明かり・川明かり・花明かり・街明かり・窓明かり・ほの明るい・薄明るい・余光・薄明・かわたれ時・たそがれ・たそがれ時・残照・夕明かり・おぼろ・微光・ほのめく・薄ら日・トワイライト/︵2︶ほほえましい・ほんわか・ほおえましい・愛らしい・愛愛しい・いとおしい・いとしい・愛くるしい・かわいい・かわいらしい・あどけない・いじらしい・しおらしい・めんこい・可(かれ)憐(ん)・キュート・いたいけ・しとやか・愛(あい)嬌(きょう)・愛(あい)想(そ)・なごむ・なごやか・憎めない・チャーミング・癒やし系・癒やす・ラブリー・がんぜない・いとけない 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「仄仄」の意味・読み・例文・類語 ほの‐ぼの【仄仄】 (一)[1] 〘 副詞 〙 ( ﹁ほのほの﹂とも。﹁と﹂を伴って用いることもある ) (一)① わずかに見たり聞いたり知ったりするさまを表わす語。 (一)[初出の実例]﹁このおこなひ人を、ほのぼの御らんぜしやうにおぼさる﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶吹上下) (二)② 夜がかすかに明けていくさまを表わす語。 (一)[初出の実例]﹁ほのぼのとあかしのうらのあさぎりにしまがくれゆく舟をしぞ思︿よみ人しらず﹀﹂(出典‥古今和歌集︵905‐914︶羇旅・四〇九) (三)③ 光がわずかで薄暗いさま、また物がはっきりと見分けられないさまを表わす語。 (一)[初出の実例]﹁雲津よりすすめぐりするこし船の沖漕ぎさかりほのほのと見ゆ︿藤原仲実﹀﹂(出典‥永久百首︵1116︶雑) (四)④ それとなく暖かみの感じられるさま、また、心の明るさ、やさしさなどが感じられるさまを表わす語。 (一)[初出の実例]﹁かまどのけぶりほのぼのと﹂(出典‥浄瑠璃・蝉丸︵1693頃︶一) (二)[2] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 [ 一 ]に同じ。 (一)[初出の実例]﹁比はうづきの十日なりけるに、月のひかりもほのぼのにて﹂(出典‥建礼門院右京大夫集︵13C前︶) (三)[3] 〘 名詞 〙 夜がわずかに明ける頃。早暁。 (一)[初出の実例]﹁いまだほのぼののほどに、主上いでて南面におはします﹂(出典‥続古事談︵1219︶一) 仄仄の語誌 中古の用例では、副詞﹁ほのぼの﹂と、﹁と﹂を伴った﹁ほのぼのと﹂との間に、用法上の差異が認められる。﹁ほのぼのと﹂は、(イ)﹁明(あ)く﹂に連接するもの、(ロ)そうではないが、明らかに夜明けの描写とわかるもの、(ハ)﹁明石﹂にかかって枕詞的に用いられるもの、この三つの場合にほぼ限定され、ほんのりと白んでいく夜明けの状景を象徴的・感覚的にとらえる語で、擬態語的要素が濃厚である。一方、﹁ほのぼの﹂は、視覚・聴覚・嗅覚、または心的作用でかすかに把握される状況や状態の描写に用いられるが、人事に関するものに限られる。 ほのぼの‐し︻仄仄︼ (一)〘 形容詞シク活用 〙 ほのかである。かすかである。また、感覚がはっきりしない。 (一)[初出の実例]﹁瞶 目疾也不明之㒵 目保乃保乃志 又目志比﹂(出典‥享和本新撰字鏡︵898‐901頃︶) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例