以下（読み）イカ

デジタル大辞泉 「以下」の意味・読み・例文・類語

い‐か【以下／×已下】

 
1数量・程度・優劣などの比較で、それより下の範囲であること。数量では、基準を含んでそれより下をいい、その基準を含まないときは﹁未満﹂を使う。﹁室温を一八度―に保つ﹂﹁六歳―は無料﹂﹁待遇は世間並み―だ﹂﹁あいつの理解力は小学生―だ﹂⇔以上。
2 それより後に述べること。下記。﹁―省略﹂⇔以上。
3 代表となるものを含んで、それに関連するすべてのもの。﹁校長―教職員一同﹂
4 ﹁御(おめ)目(み)見(え)以下﹂の略。
[用法]以下・以内・未満――﹁以下﹂は、﹁一〇キログラム以下﹂﹁次の各号のいずれかに該当するものは、三万円以下の罰金に処する﹂︵道路交通法︶のように用いられる。いずれも数量的限定に用いられ、この場合示された数値を含む。◇﹁以内﹂は、﹁二時間以内﹂﹁四〇〇字以内﹂などと用いられる。法令用語としては、﹁衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ﹂︵日本国憲法︶、﹁延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋﹂︵建築基準法︶のように用いられる。いずれも示された数値を含む。◇﹁未満﹂は、﹁六歳未満﹂﹁一八歳未満おことわり﹂﹁科料ハ千円以上一万円未満トス﹂︵刑法︶のように用いられる。﹁以内﹂と同じように数量的な限定に用いられるが、この場合は示された数値を含まず、それより少ない数値であることを表す。
[類語]以上・以内・以外・未満  

い‐げ【以下／×已下】

それより下。いか。
「関白殿を始め奉りて太政大臣―の公卿殿上人」〈平家・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「以下」の意味・読み・例文・類語

い‐か【以下・已下】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① ( 数量、段階、優劣などを表わす語に付いて ) その基準を含んでそれより下であること。また、基準になるものを含めないで、それより劣っていること。古くは﹁いげ﹂。⇔以上。︹文明本節用集︵室町中︶︺
(一)[初出の実例]﹁自由をふるひて世上にひろしといへども、中分いかにして﹂(出典‥俳諧・三冊子︵1702︶白双紙)
 (二)[その他の文献]︹論語‐雍也︺
 (三)② ( 代表として掲げる語に付いて ) それを始めとしてそれ以外のもの。
(一)[初出の実例]﹁却説(かくて)尚寧王は︿略﹀次の日又利勇等以下(イカ)の近臣を引従し﹂(出典‥読本・椿説弓張月︵1807‐11︶続)
 (四)③ 今まで述べた以外のこと。これからあとに述べること。
(一)[初出の実例]﹁此アアといへるは女の返詞也。もちろん江戸詞に限れり。以下(イカ)推(をし)てしるべし﹂(出典‥滑稽本・浮世風呂︵1809‐13︶三)
 (五)④ ( ﹁おめみえいか︵御目見以下︶﹂の略 ) 江戸幕府の制度で、幕府直参の士のうち、将軍に謁見できない身分の者の称。御家人(ごけにん)。⇔以上。
(一)[初出の実例]﹁御三家用人以下公儀より御附人之分老中其外へ参候節開門送迎す﹂(出典‥随筆・甲子夜話︵1821‐41︶続篇)

以下の語誌


(1)古くは﹁いげ﹂と呉音で読み、①の﹁文明本節用集﹂には﹁いげ﹂﹁いか﹂の両形が見える。﹁いか﹂が一般化するのは中世末頃か。
(2)平安時代以来の下文(くだしぶみ)の書留文言である﹁以下﹂は﹁もってくだす﹂と読まれるもので、この﹁以下(いか)﹂とは異なる。
(3)①については、現在では、数学、法律などの場合、基準の数量を含むことになっており、含まない場合は﹁未満﹂を用いる。
 

い‐げ︻以下・已下︼

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① ＝いか︵以下︶①
(一)[初出の実例]﹁親王已下百官人等賜レ物有レ差﹂(出典‥続日本紀‐文武元年︵697︶八月庚辰)
 (二)﹁已下 イゲ イカ﹂(出典‥文明本節用集︵室町中︶)
 (三)② ＝いか︵以下︶②
(一)[初出の実例]﹁さる程に寿永二年になりけり。節会以下常の如し﹂(出典‥平家物語︵13Ｃ前︶六)
 (二)﹁ソノホカノ ゴコク ygueua(イゲワ) シダイノ タメニワ ママコノ ココロヂャニ ヨッテ﹂(出典‥天草本伊曾保︵1593︶イソポの生涯の事)
 (四)③ 身分などの低いこと。下賤。
(一)[初出の実例]﹁Igueno(イゲノ) モノ︿訳﹀下等、下位の者﹂(出典‥日葡辞書︵1603‐04︶)

以下の語誌


→﹁いか︵以下︶﹂の語誌
  

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普及版 字通 「以下」の読み・字形・画数・意味

【以下】いか

 
～より下。已下。︹左伝、襄二十九年︺の子季札、來聘す。～樂をんことをふ。～(くわい)より以下は、(そし)ること無し。
字通﹁以﹂の項目を見る。
  

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