デジタル大辞泉
「優婆塞」の意味・読み・例文・類語
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うばそく【優婆塞】
(一)〘 名詞 〙 ( [梵語] upāsaka の音訳。奉侍する人の意 ) 仏語。
(二)① 七衆の一人。三宝(さんぼう)に帰依して五戒を受けた男子。漢訳して﹁清信士(しょうしんじ)﹂﹁近事男(ごんじなん)﹂ともいう。⇔優婆夷(うばい)。
(一)[初出の実例]﹁詔曰。比年随二逐行基法師一。優婆塞優婆夷等。如レ法修行者﹂(出典‥続日本紀‐天平三年︵731︶八月癸未)
(二)[その他の文献]︹釈氏要覧‐上︺
(三)② 在家のままで、仏道修行にはげんでいる人。
(一)[初出の実例]﹁うばそくが行ふ山の椎(しひ)がもと﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶菊の宴)
優婆塞の語誌
修行者に奉仕する在俗の信者をいうところから、正式に出家得度しないで修道の生活を行なう人に及ぼしていう。﹁源氏物語﹂の橋姫の巻は﹁優婆塞﹂と呼ばれ、作中の宇治八宮が﹁俗聖(ぞくひじり)﹂として、﹁うはそくながら行ふ山の深き心﹂と、山に籠って修行する僧と対比されている。
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優婆塞【うばそく】
サンスクリット,ウパーサカの音写。清信士(しょうしんじ),近事男(ごんじなん)などと訳す。三宝に帰依し,五戒を受けた仏教の在家信者の男子。女子は優婆夷(うばい)。日本のとくに奈良時代には民間の宗教者をさしていた。
→関連項目出家|仏教|本朝法華験記
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優婆塞
うばそく
教信者のこと。清信士,近善男と訳する。 (→四衆 )
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世界大百科事典(旧版)内の優婆塞の言及
【優婆塞・優婆夷】より
…優婆塞(サンスクリットupāsakaの音写。清信士・近事男などと漢訳される)は男性の在家信者,優婆夷(サンスクリットupāsikā,その俗語形uvāyiの音写。…
【信士・信女】より
…在俗の男女で仏教に帰依したもの。信士はサンスクリットのupāsaka(優婆塞(うばそく)),信女はupāsikā(優婆夷(うばい))の訳。入信のとき五戒を受け,[戒名]が与えられるが,その戒名の下に信士・信女の称号をつけ,篤信者であることをあらわす。…
【僧】より
…サンガは元来,集団,共同体の意味で,修行者の集り,教団を指すが,中国では転じて個々の修行者を僧とよぶにいたった(その複数形をあらわす僧侶もまた,日本では個人を指す語に転化した)。
﹇インド﹈
教団の構成員は出家修行者たる比丘︵びく︶,比丘尼︵びくに︶と在家信者たる優婆塞︵うばそく︶,優婆夷︵うばい︶の4種で,合わせて四衆とよぶ。また,修行者のうち未成年者を沙弥︵しやみ︶,沙弥尼といい,女性で入団1年未満のものを式叉摩那︵しきしやまな︶とよび,これらを別出して七衆ともいう。…
【布薩】より
…ウパバサタと呼ばれる儀式は,その内容は異なるが,仏教以前からインドで行われていたもので,仏教はそれを換骨奪胎して採り入れたものといわれる。なお,在家の仏教信者(優婆塞︵うばそく︶,優婆夷︵うばい︶)が毎月8日,14日,15日,23日,29日,30日の六斎日︵ろくさいにち︶に八斎戒︵はつさいかい︶を比丘から受け,それをその日だけ守ることを布薩と称することもある。︻岩松 浅夫︼。…
※「優婆塞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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