デジタル大辞泉
「吾妻山」の意味・読み・例文・類語
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あずま‐やまあづま‥【吾妻山】
(一)福島・山形の県境にある火山群。西吾妻山︵二〇三五メートル︶、中吾妻山︵一九三一メートル︶、東吾妻山︵一九七五メートル︶、一切経山︵一九四九メートル︶、吾妻小富士︵一七〇七メートル︶などからなる。中腹には五色、高湯などの温泉がある。磐梯朝日国立公園の一部。吾妻連峰。あずまさん。
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吾妻山
あづまさん
福島市、耶麻郡猪苗代町・北(きた)塩(しお)原(ばら)村、山形県米沢市にまたがる連山の総称。吾妻連峰と同義。西吾妻山︵二〇三五メートル︶が最も高く、西(にし)大(だい)巓(てん)︵一九八二メートル︶・東大巓︵一九二八メートル︶・家(いえ)形(がた)山︵一八七七メートル︶・一(いつ)切(さい)経(きよう)山︵一九四九メートル︶・吾(あづ)妻(ま)小(こ)富(ふ)士(じ)︵一七〇五メートル︶・中吾妻山︵一九三一メートル︶・東吾妻山︵一九七五メートル︶ほかの諸峰が連なる。﹁新編会津風土記﹂に﹁吾妻山 川東組酸川野村の北にあり奥羽の境にて耶麻信夫置賜三郡に跨る︵中略︶東を東吾妻といひ、中を中吾妻といひ、西を西吾妻と云、遠く望めば三山相並び、いづれを高しとは知ざれども中吾妻尤広大なりと云、三山の前後に遶れる諸峯みな吾妻を総号とす﹂とある。一切経山は明治二六年︵一八九三︶に大爆発を、昭和二五年︵一九五〇︶にも小爆発を起こし、今なお噴煙をあげている。一切経山の北側にある五(ごし)色(き)沼や吾妻小富士の南西にある桶(おけ)沼はいずれも噴火口に水がたまった火口湖である。山中各所に国指定天然記念物の吾妻山ヤエハクサンシャクナゲ自生地がある。
〔吾妻の神〕
﹁信達一統志﹂東(あず)屋(まや)嶽の項に﹁信達第一の山なり、東屋嶽神社、東屋国神社、東屋沼神社、三柱の神鎮坐すなり﹂とあり、東(あず)屋(まや)嶽(だけ)神社について﹁南北の峯を北家形南家形と云ふ東屋嶽神社是也﹂、東(あず)屋(まや)沼(ぬま)神社については続けて﹁その際に大なる沼あり、是を雷(かた)沼(ちぬま)と云、又五色沼とも云、東屋沼神社是なり﹂と記す。吾妻神社の縁起では東屋沼神社と東(あず)屋(まや)国(くに)神社はもと東吾妻谷(やち)地(だい)平(ら)の雷沼の地、すなわち信(しの)夫(ぶ)郡︵現福島市︶側にあったとする。
吾妻山
あづまやま
比和町と島根県仁(に)多(た)郡横(よこ)田(た)町の境にある。比婆山連峰の一つで、標高一二三八・八メートル。比婆道後帝釈国定公園の一部。﹁古事記﹂にみえる伊邪那美命の埋葬地﹁比婆の山﹂を当山東方二キロにある比婆山にあてる説が古くからあり、当山の名称もそれにちなんだとの説もあるが、﹁芸藩通志﹂には﹁吾妻山 森脇村にあり、麓は越原谷、及び出雲仁多郡大馬木村に亘る﹂とのみ記す。
吾妻山
あづまやま
横田町大(おお)馬(ま)木(き)と広島県比(ひ)婆(ば)郡比(ひ)和(わ)町との境にある。標高一二三八・八メートル。比(ひば)婆(どう)道(ごた)後(いし)帝(や)釈(く)国定公園に含まれ、山頂からは伯耆大山・隠岐島などが遠望できる。江戸時代には北麓の大(おお)峠(とうげ)などで鑪製鉄が行われた。比婆山山系に属する当山と立(たて)烏(え)帽(ぼ)子(し)山、烏(え)帽(ぼ)子(し)山︵一二二五・一メートル︶・竜(りゆ)王(うおう)山︵一二二五・八メートル︶へと続く地帯は玄武岩台地を形成している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
吾妻山 (あづまさん)
福島市の西方に位置し,福島,山形の県境をなす火山群の総称で,東西二つの火山群からなる。西から西大巓︵にしだいてん︶︵1982m︶,西吾妻山︵2035m︶,東大巓︵1928m︶,昭元山,一切経山︵1949m︶の順にほぼ東西に配列し,一切経山の南側には吾妻小富士︵1707m︶,高山,東吾妻山︵1975m︶が半円形状に並んでいる。また東大巓の南方,東吾妻山の西側には中吾妻山︵1931m︶が位置し,吾妻火山群全体としては東西に長軸をもつ楕円形を呈している。最高峰の西吾妻山を含む西吾妻火山群は,早く火山活動がとまり,西大巓,東大巓,中吾妻山など緩やかな起伏をもつ山稜が続き,山頂付近一帯にはアオモリトドマツやコメツガの原生林が,また山中の各所には天然記念物のヤエハクサンシャクナゲ︵ネモトシャクナゲ︶をはじめ,エゾツツジ,アオノツガザクラなど数多くの高山植物が見られる。一方,東吾妻火山群は一切経山,東吾妻山,吾妻小富士などからなり,活動期も新しく,一切経山南東部から吾妻小富士にかけて火山性の裸地が広く存在する。一切経山は1893年に大爆発を,また近くは1950年にも小爆発を起こし,今なお噴煙を上げている。一切経山の北側に位置する五色沼︵直径約400m︶や吾妻小富士の南西側の桶沼︵直径約80m︶はいずれも噴火口に水がたまった火口湖であり,吾妻小富士の西側のくぼ地浄土平︵標高1570m︶にも明治の初めまで火口湖が存在していた。磐梯朝日国立公園に含まれ,59年に吾妻高湯から浄土平を経て土湯峠に至る磐梯吾妻道路︵通称磐梯吾妻スカイライン,延長約29km︶が開通してからは観光客が急増した。山麓には吾妻高湯,五色,土湯,微温湯︵ぬるゆ︶,幕ノ湯,姥湯,滑川,白布高湯などの温泉が存在する。
執筆者‥水野 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
吾妻山(福島・山形県境)
あづまやま
福島・山形県境にある火山群の総称。玄武岩、安山岩からなる。﹁あづまさん﹂ともいう。中~西部にある諸峰には噴火記録はまったくなく、最高峰の西吾妻山︵2035メートル︶をはじめ、西大巓(にしだいてん)︵1982メートル︶、東大巓︵1928メートル︶、中吾妻山︵1931メートル︶などのほぼ標高1500メートル以高は、アオモリトドマツなどの亜寒帯林が広がっている。東部にある一切経山(いっさいきょうやま)︵1949メートル。成層火山︶、吾妻小富士(こふじ)︵1705メートル。典型的な円錐(えんすい)火山︶、東吾妻山︵1975メートル。楯状(たてじょう)火山︶などの活動期は新しく、一切経山から吾妻小富士には裸地が広がり、火口湖の五色(ごしき)沼、桶(おけ)沼もある。一切経山の南から東斜面には﹁八幡焼け(はちまんやけ)﹂と称される噴気・地熱地域が広く分布し、とくに東山腹の大穴火口がもっとも活発で、1950年︵昭和25︶、1977年の小爆発もここで発生した。1893年︵明治26︶の大爆発は南山腹の燕沢(つばくろざわ)でおき、三浦、西山両調査員が殉職した。有史以後の諸噴火はすべて水蒸気爆発らしい。磐梯朝日(ばんだいあさひ)国立公園に属し、1961年吾妻スカイライン開通後、訪客が急増したが、その中心地の浄土平は一切経山や吾妻小富士の観望に好適。周辺には土湯、微温湯(ぬるゆ)、吾妻高湯、五色、白布(しらぶ)など温泉が多く、冬もスキー客でにぎわう。福島地方気象台が常時火山観測中である。
﹇諏訪 彰﹈
吾妻山(島根・広島県境)
あづまやま
島根県仁多郡奥出雲(おくいずも)町と広島県庄原(しょうばら)市比和町地区との境にある山。標高1239メートル。頂上付近は玄武岩質からなる。比婆山系の一部で、船通(せんつう)山、三井野原、帝釈(たいしゃく)峡とともに比婆道後帝釈国定公園に指定されている。頂上からは伯耆大山(ほうきだいせん)、三瓶(さんべ)山が眺望できる。南山麓(さんろく)の池の原付近にはブナ林があり、キャンプ場が開設され、広島県の県民の森となっている。休暇村吾妻山ロッジもある。
[矢野 博]
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吾妻山
あづまやま
最高峰の西吾妻山︵2035m︶,一切経山︵1949m︶,東吾妻山,吾妻小富士,高山などからなる。吾妻小富士の西麓に高度 1660mの古い火口底の浄土平がある。一切経山の山体は花崗岩,変成岩などからなる。吾妻小富士の火口は発達しているが,東吾妻山は溶岩の盛り上がりで火口を欠いている。小爆裂火口︵→爆裂火口︶として桶沼,沼の平,五色沼などがある。西吾妻山は緩斜面が続く原生林に覆われた山で,湿原が点在する。一切経山は 1893年5月大爆発,さらに 1950年2月,1977年12月に噴火し,今日も噴気活動が続いている。1959年吾妻小富士の山麓に磐梯吾妻スカイラインが開通し,雄大な展望が開けた。沿道にはヤエハクサンシャクナゲの群落がある。最高地の鳥子平付近にはオオシラビソなどの亜寒帯林,相ノ峰付近では,ブナの自然林が見られる。吾妻十湯など古い温泉場があり,山上には吾妻山参詣の遺跡が多い。磐梯朝日国立公園に属する。
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吾妻山【あづまさん】
峰の西吾妻山︵2035m︶,中吾妻山,東吾妻山,一切経(いっさいきょう)山,吾妻小富士などからなり,花コウ岩,変成岩,新第三紀層を基盤とする。一切経,小富士は1893年大噴火した。山麓には土湯,吾妻高湯,五色など多くの温泉があり,小富士の山麓の浄土平に磐梯吾妻スカイラインが通じる。
→関連項目猪苗代﹇町﹈|奥羽山脈|日本百名山|福島﹇県﹈|福島﹇市﹈|山形﹇県﹈
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出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
世界大百科事典(旧版)内の吾妻山の言及
【比婆山】より
…また県境にある烏帽子(えぼし)山(1225m)から比婆山,立烏帽子(たてえぼし)山(1299m),池ノ段(1279m),竜王山(1256m)と,南東に連なる5峰を総称して比婆山ともいう。烏帽子山の西には吾妻山(1239m)があり,これら比婆山連峰は中国山地の脊梁部をなし,山頂部には広い平たん面がある。道後山,帝釈(たいしやく)峡とともに比婆道後帝釈国定公園の一画を占める。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」