当て（読み）アテ

デジタル大辞泉 「当て」の意味・読み・例文・類語

あて【当て／宛】

 
﹇名﹈
1 行動の目当て。目標。目的。﹁当てもなくうろつく﹂
2 将来に対する見通し。先行きの見込み。﹁借金を返す当てがない﹂
3 心の中で期待している物事。頼り。﹁父からの援助は当てにできない﹂
4 酒に添える食べ物。肴(さかな)。つまみ。﹁酒の当て﹂
5 借金のかた。抵当。
﹁此指環…を―に少し貸して頂戴な﹂︿魯庵・社会百面相﹀
6 ︵他の語の下に付いて︶
㋐保護するためにあてがうもの。﹁ひじ当て﹂﹁すね当て﹂
㋑ぶつけあうこと。﹁鞘(さや)当て﹂
﹇接尾﹈︵宛︶名詞・代名詞に付く。
1 配分する数量・割合を表す。あたり。﹁ひとり宛二個﹂
2 送り先・差し出し先を示す。﹁下宿宛に荷物を送る﹂
[類語]︵2︶見通し・見当・読み・見込み・見極め・目当て・目安・目(め)処(ど)・展望・目標・予測・予想・予期・目星・計算・予定・可能・可能性・有り得(う)る・ポシブル・ポシビリティー・プロバビリティー・将来性・蓋然性・公算・成算・心当て・伸び代・予見・予知・余地・予断・目算・駄目で元元・駄目元／︵3︶望み・脈  

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精選版 日本国語大辞典 「当て」の意味・読み・例文・類語

あて【当・宛】

 

(一)[1] 〘 名詞 〙 ( 動詞﹁あてる︵当︶﹂の連用形の名詞化 )
(一)① 物事を行なうときの、目的や見込み。目あて。心づもり。﹁あてが違う﹂﹁あてが外れる﹂など。
(一)[初出の実例]﹁五月雨はゆくべき道のあてもなし小笹が原も埿(うき)にながれて﹂(出典‥山家集︵12Ｃ後︶上)
 (二)② 頼みになるもの。たより。→あてにする。
(一)[初出の実例]﹁有様(ありやう)は私もこなたをあてに致いて参りましたが﹂(出典‥虎寛本狂言・米市︵室町末‐近世初︶)
 (三)③ 借金をするとき、それが返せない場合、貸し手が自由に処分してよいとする保証の物。抵当。
(一)[初出の実例]﹁椹質はあての事ぞ﹂(出典‥史記抄︵1477︶一二)
 (四)④ 物を打ったり切ったりなどする時、下に置く台。
(一)[初出の実例]﹁石を以て質(アテ)と為(し)﹂(出典‥日本書紀︵720︶雄略一三年九月︵前田本訓︶)
 (五)⑤ 補強したり保護したりするためにあてがうもの。﹁肩当て﹂﹁胸当て﹂など熟して用いることが多い。
 (六)⑥ こぶしで、相手の急所を突くこと。当て身。
(一)[初出の実例]﹁ひらりと付け入る勝頼を、さしつたりと真の当(アテ)﹂(出典‥浄瑠璃・本朝二十四孝︵1766︶四)
 (七)⑦ ( 宛 ) 文書や手紙などの差し出し先。
(一)[初出の実例]﹁御憐察遊さるるやう歎願なせる趣きを右小弁家の宛(アテ)にして﹂(出典‥近世紀聞︵1875‐81︶︿染崎延房﹀四)
 (八)⑧ 食事のおかずをいう、演劇社会などの隠語。
(一)[初出の実例]﹁ホヲけふは何とおもふてじゃ大(やっかい)な菜(アテ)︵︿注﹀さい︶ぢゃな﹂(出典‥浮世草子・当世芝居気質︵1777︶一)
 (九)⑨ 酒のさかな。つまみ。
 (十)⑩ 馬術で、馬の心を動かしたり、驚かすもの。あてもの。
 (11)⑪ 木材の一部分だけが、反りやすく、抗力の弱くなったもの。また、質の悪い木材。︹日本建築辞彙︵1906︶︺
 (12)⑫ 檜(ひのき)で作った火縄。︹随筆・甲子夜話︵1821‐41︶︺
 (二)[2] 〘 接尾語 〙 ( 宛 )
(一)① 品物などを等量配分することを表わす。
(一)(イ) 配分する物を示す数詞の下につく。ずつ。
(一)[初出の実例]﹁漬豆を一さやあてに出だすとも﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶藤原の君)
 (二)(ロ) 配分を受けるものの単位を示す数詞の下につく。あたり。
(一)[初出の実例]﹁一人あて千五百円の金が﹂(出典‥縮図︵1941︶︿徳田秋声﹀裏木戸)
 (二)② 文書や手紙などの差し出し先を表わす。﹁会社あての文書﹂
  

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