普及版 字通 「施(漢字)」の読み・字形・画数・意味
施
常用漢字 9画
[説文解字] [金文]
[字形] 形声 声符は也(や)。也に弛(し)の声がある。︹説文︺七上に﹁旗の皃なり﹂とあり、旗のなびくことをいう。﹁齊の欒施(らんし)、字(あざな)は子旗と。施なるは旗なることを知る﹂というように、施・旗は名字の対待に用いる。他に施すということから、移る・及ぶ意となり、︹詩、周南、覃︺に﹁中谷に施(うつ)る﹂の句がある。また︹左伝、昭十四年︺﹁乃ち侯を施(ころ)す﹂、︹国語、晋語三︺﹁秦人、冀(きぜい)をして、之れを施(さら)す﹂など、施を刳裂(これつ)陳尸(ちんし)の意に用いる。おそらく(し)と通用の義であろう。︹説文︺三下にを﹁(ふ)なり。~讀みて施と同じうす﹂とみえ、は蛇霊を殴(う)つ形。禍を他に転ずる(かいし)の儀礼で、刳裂陳尸の意をもつのであろう。
[訓義] 1. はたがなびく、はためく。 2. はたにつける、ほどこす、もちいる。 3. ながくひく、およぶ、はびこる、うつる。 4. と通じ、あなどる。 5. 弛と通じ、ゆるむ、ゆるす。 6. 侈と通じ、ほこる、おごる、ほしいまま。 7. と通じ、ななめ、かたむく。 8. 施施は、よろこぶ、いそいそとするさま。
[古辞書の訓] ︹名義抄︺施 マウク・モチヰル・ユルフ・ツク・ワタル・ユルス・ウツス・ハヅス・ホドコス・ハナル・オク・シク・スツ・ステラル・アタフ・ハフ・ツナグ ︹字鏡集︺施 ホドコス・スツ・ツラヌ・カヘス・ユルス・ハフ・オク・ハナル・キハム・ユルブ・マウク・ハヅス・ウツス・ツナグ・アタフ・ステラル・ウツル・オコナフ・モチヰル・ハヘリ
[語系] 施・移jiaiは同声。︵延︶jianは他に延及する意。施にまたsjiaiの声があり、設sjiatはその声近く、施陳の意に用いる。︹説文︺に設を施陳と訓する。sjiaiも施と同声。刳裂の意は、この字義と通用するものであろう。
[熟語] 施為▶・施易▶・施延▶・施恩▶・施加▶・施化▶・施及▶・施救▶・施▶・施教▶・施衿▶・施恵▶・施刑▶・施罟▶・施工▶・施功▶・施効▶・施行▶・施斎▶・施施▶・施視▶・施事▶・施舎▶・施捨▶・施従▶・施粥▶・施賞▶・施賑▶・施鍼▶・施人▶・施仁▶・施政▶・施生▶・施設▶・施属▶・施沢▶・施張▶・施陳▶・施髢▶・施展▶・施徳▶・施博▶・施糜▶・施靡▶・施布▶・施賦▶・施粉▶・施報▶・施法▶・施与▶・施予▶・施用▶・施礼▶・施労▶・施食▶ [下接語] 遺施・雨施・雲施・恵施・功施・好施・厚施・財施・時施・受施・周施・振施・仁施・声施・戚施・貸施・陳施・徳施・博施・布施・普施・敷施・分施・平施・報施
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報