デジタル大辞泉 「晩年」の意味・読み・例文・類語 ばん‐ねん【晩年】 一生の終わりに近い時期。年老いてからの時期。「幸福な晩年を過ごす」[類語]老い先・末路・老後・余生・高年・老年・老齢・高齢・年配・高年齢・年嵩としかさ・老境・老来・老いらく 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「晩年」の意味・読み・例文・類語 ばん‐ねん【晩年】 (一)[1] 〘 名詞 〙 (一)① 年をとったとき。一生の終わりの時期。晩歳。 (一)[初出の実例]﹁久在二外国一晩年帰学﹂(出典‥凌雲集︵814︶) (二)﹁僧契沖︿略﹀晩年摂州妙法寺の住持となり﹂(出典‥随筆・文会雑記︵1782︶三) (三)[その他の文献]︹盧思道‐春夕経行留侯墓詩︺ (二)② 一年の終わりのころ。年末。 (一)[初出の実例]﹁極月︿略﹀年たかへ、柊さす門、晩年﹂(出典‥俳諧・毛吹草︵1638︶二) (二)[2] 短編小説集。太宰治作。昭和一一年︵一九三六︶刊。同八年ごろから遺書のつもりで書いた、﹁葉﹂﹁思ひ出﹂﹁魚服記﹂﹁ロマネスク﹂など一五編を収録した第一創作集。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「晩年」の意味・わかりやすい解説 晩年 (ばんねん) 太宰治の第1創作集。1936年砂子屋書房刊。初版には,1933年から36年にかけて発表された15の短編が収められている。遺書のつもりで書いたので︽晩年︾と題された。内容,文体ともに多彩で,太宰治の才能の萌芽がすべて出そろっている。そのなかで︽葉︾︵1934︶は習作の断簡によって構成された異色の作品。左翼運動からの転向後最初に書かれた︽思ひ出︾︵1933︶は幼年期から中学時代までの特異な感受性の成長をすなおに描き出した自伝的小説であり,︽魚服記︾︵1933︶は作者の内面の苦悩と民話的世界とが一体となった変身譚である。作者のユーモアやストーリー・テラーとしての才能を生かしたものに︽ロマネスク︾︽彼は昔の彼ならず︾︵ともに1934︶などがある。また,︽道化の華︾︵1935︶のように,作中に作家自身の︿僕﹀が登場し,創作過程そのものを内側から描くという前衛的・実験的作品も含まれており,この作品集には︿二十世紀旗手﹀としての太宰治の自負と野心がみなぎっている。 執筆者‥東郷 克美 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本大百科全書(ニッポニカ) 「晩年」の意味・わかりやすい解説 晩年ばんねん 太宰治(だざいおさむ)の第一創作集。1936年︵昭和11︶6月、砂子屋(すなごや)書房より刊行。思想混乱の時代の青年の生存苦をテーマに、多彩な手法を試みた短編15編を収める。﹃葉﹄は習作の断片を集めた精神的自伝。﹃思ひ出﹄は自伝的小説。﹃魚服(ぎょふく)記﹄﹃地球図﹄﹃猿ヶ島﹄は伝統的短編小説の手法による佳作。﹃道化の華﹄は心中の体験を素材にするが、登場人物でも作者でもない﹁僕﹂が創作の意味方法について混迷を告白するという実験的小説。﹃逆行﹄は小品を連ねた形式で、第1回芥川(あくたがわ)賞候補作。 ﹇鳥居邦朗﹈ ﹃﹃晩年﹄︵新潮文庫︶﹄ 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例