海水(読み)カイスイ(英語表記)sea water

デジタル大辞泉 「海水」の意味・読み・例文・類語

かい‐すい【海水】

海の水。ナトリウム塩・カルシウム塩を主成分とする多くの無機塩類を重量比で約3.5パーセント含み、含有成分の濃度は海域により異なるが、組成は一定している。
[類語]真水淡水汽水深層水海洋深層水塩水えんすい塩水しおみず鹹水かんすい鉱水石灰水重水軽水軟水硬水

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精選版 日本国語大辞典 「海水」の意味・読み・例文・類語

かい‐すい【海水】

  1. 〘 名詞 〙 海の水。ナトリウム塩、カルシウム塩を主成分とする多くの塩を含む無機電解質の水溶液で、含有成分の濃度は場所により異なるが、組成は一定している。うしお。
    1. [初出の実例]「紀伊国阿氐郡海水変如血。色経五日乃復」(出典:続日本紀‐天平三年(731)六月庚寅)
    2. [その他の文献]〔史記‐呉王濞伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「海水」の意味・わかりやすい解説

海水 (かいすい)
sea water


94%1350×106km31450×103km33000

146210


調使m1904F.12l

 1970


191870D.Dittmar

 1kggsalinity3338沿

 35180%SCl

 S1.80655Cl

19021kg1940328.5233g殿

 1978conductivitytemperaturedepthCTD使

1l35gNaClNaCl

 2Mg2SO42MgSO40AgAgCl2

便HpHpH8.1

 pHCO2H2CO3HCO3CO32CaCO3pHpHpHpH300ppm25pH8

 pHpHpH

pH

 沿2

CaSO4MgSO4KClNaCl殿

 



 36×1014g511

 10001000

 

100m

 




 C.Eckart

 PP0αα0λ

P1αmg/lP0589038T0.375T23Sα00.6980λ1779.511.25T0.0745T23.800.01TSTS

 

 

 113.98353.541351.9324.511.36213.98024.503.98024.534045×1012cm2/dyn4Cp25CvCp/Cv1.001.0256735%

400m80m

23021000m1

 TS1T-S1T-S111T-ST-S4

CρκCpCvγρκγC56


1953841350mg/l200t1975使6063mg/lt1t380mg/l4.6mg/l0.17mg/l0.003mg/l1.4×1018t

 沿


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海水」の意味・わかりやすい解説

海水
かいすい
sea water

海のもっとも基本的な構成要素。地球は表面付近に多量の水分を有するので、水惑星ともよばれる。地表付近の水は、海水、大陸氷、湖沼・河川水、大気中の水蒸気など種々の形で存在する。このうち海水が量的には圧倒的に多く、その体積は13億7000万立方キロメートル、重量は1兆4100億メガトンと推定され、地表付近の水の総量の98.3%を占める。広大な海洋表面から蒸発する水蒸気はやがて降水となり、直接、または地表を流れてふたたび海洋へと戻る。その周期はほぼ10日に1回の割合と見積もられている。地表付近の天然水は蒸発、降水、結氷、融氷などの過程を繰り返し、気相←→液相←→固相と形を変えて循環している。この水の動きが地表の気候を温和にし、降水をもたらして、地球上の生物環境を調整する役割を果たしている。

[秋山 勉]

海水の生成

地球表面に海水がどのようにして生成したかについては、いくつかの仮説がある。現在もっとも広く支持されているのは、地質時代における水の累進的生成によるとする説である。この説を要約すると、集積過程を完了した地球は内部が加熱され、地球内部の含水鉱物の水分が水蒸気として他の揮発性成分とともに地表に噴出した。地殻が冷却され、その表面温度が100℃以下になると、水蒸気は凝縮して水となって地殻の窪(くぼ)みにたまり始め、長い地質時代を通じて徐々に累積されて原始海水が生成した。この原始海水は強い酸性溶液であった。しかし蒸発と凝縮を繰り返すうちに地殻の玄武岩質と接触して、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムなどの陽イオンを溶かし出し、海水は中和された。一方、火山や温泉活動により噴出する炭酸ガス(二酸化炭素)、塩酸ガス、亜硫酸ガス(二酸化硫黄(いおう))、窒素ガスなどが海水中へ溶け込み、陰イオンに相当する元素を供給した。この原始海水の生成は約30億年前であり、このころ海水中に生命の起源が誕生した。その後、海水中では物質の沈殿、溶解、変質などが繰り返され、生物活動の影響も受けて、約6億年前には現在とほぼ同様の海水が生成していたと考えられている。このように海水と大気は地球の生成当初には存在せず、地球の進化の過程で岩石中の揮発成分から徐々に生成し進化した、という考え方である。

 地球の生成過程を推測する手掛りとして、化石など過去の遺物の年代決定、地殻や火山ガスの分析などの方法があるが、海水の生成についてもより正確な解明が期待されている。

[秋山 勉]

海水の物性


3.5(1)(2)(3)(4)

(1) 141.0001.031便Tσt使ρst,pP

  σt(ρst,p1)×1000
35psupsupractical salinity unit2011.02478T24.78()使

(2) 10010035psu10015.230.56035psu1.91

(3) 35psu423沿

(4) 35psu17.50.932

(5) ()35psu4.2

(6) ()

(7) ()

(8) 35psu20173.5沿

(9) irn


(10) ctsp
  c1449.24.623t0.0546t2
   0.1605p1.391(s35)
2035psu11520

 

海水の化学成分


3.511970CTDConductivity-Temperature-Depth profiler3psupsupractical salinity unit1982使1199.990.01

(1) 11使1970便

(2) 110調

(3) 調1980

 

海水の天然放射能


40K97238U235U232Th232Ra寿14C3H14C57603H12

 

海水と生物

海洋中には大小さまざまの生物が生息している。これら海洋生物のうちで植物プランクトンや海藻類は、海水中の栄養成分を直接体内に取り込んで増殖することができる。海洋の表層に無数に存在する植物プランクトンは、その体内の葉緑素と太陽光線のエネルギーを利用し、光合成作用によって有機物を合成する。これが海洋の生物生産の基礎をなしている。増殖した植物プランクトンは動物プランクトンに、動物プランクトンは小形の魚類に、小形の魚類は大形の魚類にと次々に捕食されて、海洋全体の生物生産機構が成り立っている。一方、枯死した生物は、沈降しながらバクテリアなどによって腐敗分解され、無機の成分となってふたたび海水中に還元される。このように生物作用によって海水中のリン、窒素、ケイ素、炭素などの物質は、海水と生物の間を循環している。生物と無機物の中間生成物として、海水中には有機体の物質も溶存している。一般に海面近くの光合成層では、生物による取り込みのため栄養塩類の濃度は低く、深さとともに増加する。窒素やリンが表層で極端に少なくなると、生物基礎生産の制限因子となることがある。表層における光合成作用では炭酸物質を消費して酸素を生産し、枯死分解の過程では酸素を消費するので、海水中の溶存酸素は表層で多く、深さとともに減少して、ある深さで極小となる。海洋生物は栄養塩類のほか、海水中の重金属元素なども体内に取り込む。生物体内のこれらの元素の濃度が、環境海水中の濃度の数百倍、数千倍にも濃縮されることがある。放射性物質や有害重金属などの環境海水中の濃度が低くても、人間が食品とする場合には、海洋生物体内の有害物質の濃度にはつねに注意が必要である。

[秋山 勉]

海水の利用


1960

 1970()19795485()13.5ocean thermal energy conversionOTEC()使2030OTEC沿使使()

 

10 1972197519761990RV1990199119941994199419941995199920002200120012002 200342003

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百科事典マイペディア 「海水」の意味・わかりやすい解説

海水【かいすい】

 
1.35×109km31kg3338383940431kgpH8.08.31.020001.0310003514461617m
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海水」の意味・わかりやすい解説

海水
かいすい
seawater

 
1kg 35g ()  55% 31% 78% (1035) 1l 6.4cm3203536 2000m4253 300350 hot hole  

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化学辞典 第2版 「海水」の解説

海水
カイスイ
sea water


3/4V.M. Goldschmidt()()3.33.7 1.021.03 g cm3 ()

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の海水の言及

【海】より


()

【海水淡水化】より

…単に淡水化ともいう。海水中には1l当り約35gのナトリウムや塩素などの無機物が含まれていて,このままでは飲料水として使用できない。そこで海水しか水源がない船舶,離島,中東地区などの乾燥地帯では,いろいろの方法で海水から塩分を除き(海水脱塩),飲料水を製造してきたし,現在でも世界各地で数多くの海水淡水化プラントが建設され,飲料水,工業用水,農業用水などの製造が行われている。…

【産業用水】より


(使) 4500m3/使140m3490m3(10m3)550m34000m3

【地球】より

…このほか南極の氷床の消長,大地震,地殻変動,地球の核とマントルとの間の電磁気的カップリングによっても自転速度に変化が生じる。海水と海底との間に生じる潮汐摩擦によって自転にブレーキがかかり,しだいに自転速度が減る現象を永年減速といい,1日の長さが100年間に約0.014秒ずつ長くなる。一方,月の公転速度も海水の引力によって減速され,ケプラーの第3法則に従って,地球と月との距離は3.3cm/年の割合で大きくなる。…

※「海水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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