粗粒玄武岩(読み)そりゅうげんぶがん(英語表記)dolerite

翻訳|dolerite

精選版 日本国語大辞典 「粗粒玄武岩」の意味・読み・例文・類語

そりゅう‐げんぶがんソリフ‥【粗粒玄武岩】

  1. 〘 名詞 〙 輝石の大形結晶中、斜長石短冊形の結晶が含まれた組織を示す玄武岩。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「粗粒玄武岩」の意味・わかりやすい解説

粗粒玄武岩
そりゅうげんぶがん
dolerite


()(1)(2)(1)()()pigeonite(2)()()teschenite

 100diabase


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岩石学辞典 「粗粒玄武岩」の解説

粗粒玄武岩

ドウビソンは長石と輝石からなる岩石にドレライトの名を用いた[D'Aubuisson : 1819].ドウビソンによれば,アウイはドレライトと蜜岩(aphanite)の区別を述べているが,ドレライトがアウイによるとは述べていない[D'Aubuisson : 1819, Haüy : 1822].ドレライトと輝緑岩(diabase)とは1874年のオルポートの時までは同じ意味で使われた[Allport : 1874].
ドレライトは中粒の塩基性岩で,ラブラドライト,オージャイトと鉄鉱物からなり,オフィティック組織を示す岩石で[Haüy : 1822],ブロニアールによる輝緑岩と同義である[Brongniart : 1807].玄武岩や斑糲(はんれい)岩に相当する組成である.低Ca-輝石,ネフェリン,アナルサイト,石英,橄欖(かんらん)石があるかないかによって,ソレアイト質とアルカリ質の両方を区別する.
ドレライトには様々な考え方がある.(1) ドレライトとして独立した岩石とみるもの,(2) 玄武岩の粗粒なもの,(3) 輝緑岩と同意語であっていずれかが廃棄されるべきもの,などがある.ローゼンブッシュは玄武岩より粗粒で第三紀以後のものをドレライトとしているが[Rosenbusch : 1877],命名に時代を考えているので分類の方法としては不適当である.英国のみが新鮮な岩石をドレライトとして,ドレライトが変質したものを輝緑岩と呼び輝緑岩を使わない研究者が多いが,多くのヨーロッパ大陸や米国ではドレライトと輝緑岩を同意語として扱い,ドレライトを廃止してすべて輝緑岩に統一する考えの研究者が多い.
橄欖石が含まれれば橄欖石ドレライト,石英が含まれれば石英ドレライトという.准長石を含むものをドレロイド(doleroid)という[Shand : 1910].ギリシャ語でdolerosは英語のdeceptiveで,偽りとかはっきりしないの意味.この岩石名は肉眼的に閃緑岩や緑色岩と区別することが不可能であることから来ている.日本語の粗粒玄武岩は1891年に西松二郎により訳された語である[歌代ほか : 1978].

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改訂新版 世界大百科事典 「粗粒玄武岩」の意味・わかりやすい解説

粗粒玄武岩 (そりゅうげんぶがん)


dolerite

 diabase

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百科事典マイペディア 「粗粒玄武岩」の意味・わかりやすい解説

粗粒玄武岩【そりゅうげんぶがん】

玄武岩と同じ化学組成をもった半深成岩。ドレライトとも。完晶質で,塩基性斜長石と普通輝石よりなり,前者が短ざく状の結晶形をなし,その間を後者が埋めるオフィティック組織が特徴。英国では粗粒玄武岩の変成したものを輝緑岩と呼ぶが,米・独では両者は同義。日本では英国的用法が多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「粗粒玄武岩」の意味・わかりやすい解説

粗粒玄武岩
そりゅうげんぶがん
dolerite

化学組成や鉱物組成はほぼ玄武岩と等しいが,比較的結晶粒度の大きい斑状組織の火成岩。石基はほぼ完晶質である。比較的地下浅所に貫入した岩床,岩脈などとして産する。日本では東北地方に広く産する。

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