血判(読み)ケッパン

デジタル大辞泉 「血判」の意味・読み・例文・類語

けっ‐ぱん【血判】

[名](スル)起請文きしょうもん誓詞などに背かないことを示すため、手の指先を切って血を出し、自分の署名の下に押すこと。また、その押したしるし
[類語]拇印指印爪印

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精選版 日本国語大辞典 「血判」の意味・読み・例文・類語

けっ‐ぱん【血判】

 

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(一)[](祿1530)
(二)()(1781)


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ち‐ばん【血判】

  1. 〘 名詞 〙 起請文、誓詞などに違背しない意を示すため、指などから血をとって、署名の下に押したり、花押を血で書いたりすること。また、その押したもの。けっぱん。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「住とてもいやな熊野の浦ならし 牛王(ごわう)に血判(チハン)このむ言ひごと」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)二)

けつ‐ばん【血判】

  1. 〘 名詞 〙けっぱん(血判)〔日葡辞書(1603‐04)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「血判」の意味・わかりやすい解説

血判 (けっぱん)


調

 133831使

 

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「血判」の意味・わかりやすい解説

血判
けっぱん

自己の誠意を強調し、誓約の固さを表明するために、署判の上に自らの身血を付着させること。起請文(きしょうもん)にもっとも例が多いが、願文(がんもん)にも例があり、また、類似のものに、血液を墨・朱に混ぜたもので花押(かおう)を書いたり文章そのものを書く血書という方法もある。血判は早い例では南北朝時代の1338年(延元3・暦応1)菊池武重(たけしげ)起請文などにみられるが、戦国時代以降、とくに多く用いられるようになり、江戸時代には家臣が主君に出す起請文や、遊里の男女の間で取り交わされる起請文にも行われるようになった。近世には、男は左手、女は右手の指の血を垂らすのが作法とされていた。

[千々和到]

『荻野三七彦著『日本中世古文書の研究』(1964・荻野三七彦博士還暦記念論文集刊行会)』『『キリシタン信仰と習俗』(『岡田章雄著作集1』1983・思文閣出版)』

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百科事典マイペディア 「血判」の意味・わかりやすい解説

血判【けっぱん】

文書の差出者が誠意を強く表すため,署名や花押(かおう)の上に自分の指を切って血を押すこと。願文(がんもん),起請文(きしょうもん),契約状等に用いる。戦国時代に武士たちの間に盛んに行われた。血だけで書かれたものは血書という。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血判」の意味・わかりやすい解説

血判
けっぱん

文書の内容について自己の誠意を強く表現するため,署名または花押の上やかたわらに,小刀で指を突いて出た血を押したもの。おもに武家間に行われ,願文,起請文,請文,契状などに使われた。

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世界大百科事典(旧版)内の血判の言及

【血】より

…中世ヨーロッパには,殺人者が近寄ると死体から再び血が流れるという迷信が広くあり,ハンセン病(癩病)の治療に人血が有効とする考えもドイツなどに根強く残っていた。日本の血書や血判も,血がその人を代表するとみる観念に裏づけられている。血が流れて草花や土を染めた,という類の伝説は世界各地にあり,たとえば南方熊楠《十二支考》の〈虎〉の項に詳しい。…

※「血判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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