計量経済学(読み)ケイリョウケイザイガク(英語表記)econometrics

翻訳|econometrics

デジタル大辞泉 「計量経済学」の意味・読み・例文・類語

けいりょう‐けいざいがく〔ケイリヤウ‐〕【計量経済学】

数量的経済法則を検出するために、経済理論・数学・統計学の成果を総合的に適用する経済学の一分野。エコノメトリックス

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精選版 日本国語大辞典 「計量経済学」の意味・読み・例文・類語

けいりょう‐けいざいがくケイリャウ‥【計量経済学】

  1. 〘 名詞 〙 近代経済学の一分野。経済理論、統計学、数学の総合をめざす経済学。主として数学的方法によって組み立てられた経済理論を、統計的方法によって検証し、将来の予測を行なうもの。エコノメトリックス。

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改訂新版 世界大百科事典 「計量経済学」の意味・わかりやすい解説

計量経済学 (けいりょうけいざいがく)
econometrics


R.使

182020調︿H.H.P.R.T.A.1950

 Econometrica19303660

YCI

 YtCtIt        1

 CtαβYtγCt-1μt  2

tαβγβC/YIYCCt-11t12μ0β1βCtCt-1β/1γkkkY/I1/1βkY/I1γ/1γβ︿L.R.

1970123123調W.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「計量経済学」の意味・わかりやすい解説

計量経済学
けいりょうけいざいがく
econometrics

経済理論と現実経済の間にあって、経済現象の背後にある経済諸要素間の因果関係を数量モデルとして把握し、実際の経済データに基づいてその具体的な構造を推定し、それによって現実経済の分析や予測を行い、経営計画や経済政策の立案に資するほか、経済理論のいっそうの発展を促すことを目的とする近代経済学の一分野である。

[高島 忠]

経済理論との関係


()

 

歴史


1910HLHRAK1930JAITCTWCJCowles Commission

 

研究手続

計量経済学の研究は、次の手続に従って行われる。まず、(1)これまでの経済理論の成果に立脚しながら、計測の対象とする経済現象をその背景にある経済諸要素間の因果関係としてとらえ、それを確率的変動要素をも考慮した数量モデルとして表現し(モデルの構築)、(2)各経済要素について、現実経済を観測して得られたデータを用いて、その数量モデルに具体的な数量的表現を与えるパラメーターを推定し(構造方程式の推定)、(3)推測統計学(数理統計学)の成果を応用して、当初に設定したモデルの妥当性を統計的に検証する(仮説検定)。その結果によっては、(4)モデルを修正し、あるいは新たな経済理論の導入によってモデルの再構築を行ったうえで、(2)以降の手続を、経済理論上および統計理論上、満足すべき構造方程式が得られるまで繰り返す(構造方程式の確定)。これによって、現実経済の変動メカニズムが具体的、数量的表現をもつ計量経済モデルとして把握されたことになるから、(5)そのモデル(構造方程式体系)に基づいて経済変動の分析、将来予測、計画策定などの作業が行われることになる。

[高島 忠]

モデルの形態




 

推定方法

モデルとして設定された関係式について、その具体的な数量的表現としての構造方程式を得るには種々の推定方法がある。推定方法の問題の核心は、経済変数に関する所与のデータから、できる限り真の値に近接した値としてパラメーターを推定することにあり、したがって、所与のモデルに対応してもっとも望ましい統計的性質をもったパラメーター推定量をみいだすことにある。単一方程式モデルの推定には一般に最小二乗法が用いられるが、これを連立体系に適用すれば偏りのある推定値となる。その欠点を回避するため、二段階最小二乗法や最尤(さいゆう)法などいくつかの手法が考え出されている。

[高島 忠]

『福地崇生著『計量経済学入門』(1963・東洋経済新報社)』『A・S・ゴールドバーガー著、福地崇生・森口親司訳『計量経済学の理論』(1972・東洋経済新報社)』『J・ジョンストン著、竹内啓他訳『計量経済学の方法』全訂版全2巻(1976・東洋経済新報社)』『辻村江太郎著『計量経済学』(2008・岩波書店)』『宮川公男著『計量経済学入門』(日経文庫)』

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百科事典マイペディア 「計量経済学」の意味・わかりやすい解説

計量経済学【けいりょうけいざいがく】

エコノメトリックスeconometricsの訳。経済の理論的研究と実証的統計的研究とを結びつけて現状の分析と将来の予測を行う学問。経済現象を数学的なモデルで分析する数理経済学が現実にどれだけ合致するかを統計的手法を用いて実証する。価格,需要供給,所得,消費,投資,利子等の関数関係から経済模型をつくり(モデル・ビルディング),確率論や推測統計学(推計学)の方法を橋渡しとして現実と結びつける。1930年代から発達した。産業連関分析活動分析がその例。
→関連項目フリッシュ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「計量経済学」の意味・わかりやすい解説

計量経済学
けいりょうけいざいがく
econometrics

経済理論から導かれる仮説を数学モデルとして構成し,これを統計学的方法により実証しようとする学問で,いわば経済理論,数学,統計学の三位一体であるといわれる。 1930年代に R.フリッシュと J.ティンベルヘンが先鞭をつけ,フリッシュは原語「エコノメトリックス」の名づけ親であるとともに,その基礎的研究に没頭し,他方ティンベルヘンはオランダ中央統計局長時代に本格的な短期予測モデルを開発するなど,その応用面に貢献した。第2次世界大戦後はケインズ経済学によるマクロ経済分析の発展,国民所得統計の整備,さらに大型コンピュータの発達などを背景に計量経済学は隆盛をみている。 (→エコノメトリック・モデル )  

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世界大百科事典(旧版)内の計量経済学の言及

【ホーベルモ】より



※「計量経済学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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