デジタル大辞泉 「重」の意味・読み・例文・類語 じゅう【重】[漢字項目] ﹇音﹈ジュウ︵ヂュウ︶︵慣︶ チョウ︵漢︶ ﹇訓﹈え おもい かさねる かさなる ﹇学習漢字﹈3年 ︿ジュウ﹀ 1 目方がおもい。﹁重量・重力・重金属/加重・荷重・体重・比重﹂ 2 程度がはなはだしい。容易でない。﹁重罪・重傷・重税・重責・重体・重篤・重労働﹂ 3 大切である。大切にする。おもんじる。﹁重視・重大・重鎮・重点・重役・重要﹂ 4 軽々しくしない。おもおもしい。﹁重厚/厳重﹂ 5 かさなる。かさねる。﹁重婚・重(じゅ)箱(うばこ)・重版・重訳/多重﹂ ︿チョウ﹀ 1 おもい。﹁軽重・輜(しち)重(ょう)﹂ 2 大切にする。おもんじる。﹁重宝/貴重・自重・尊重・珍重﹂ 3 軽々しくしない。﹁慎重・鄭(てい)重(ちょう)﹂ 4 かさなる。﹁重畳・重複・重陽/九重﹂ ︿え﹀﹁幾(いく)重(え)・二(ふた)重(え)・十(と)重(え)二(は)十(た)重(え)﹂ ︿おも﹀﹁重荷/気重・身重﹂ ﹇名のり﹈あつ・あつし・いかし・おもし・かさぬ・かず・かたし・しげ・しげし・しげる・のぶ・ふさ ﹇難読﹈重(おも)石(し)・重(しげ)籐(どう) じゅう︹ヂユウ︺︻重︼ ﹇名﹈ 1 ﹁重箱﹂の略。﹁お重﹂ 2 段階。位。 ﹁面白き位より上に、心にも覚えず、あっと云ふ―あるべし﹂︿花鏡﹀ 3 ︵他の語の上について︶ ㋐一般的なものより重いことを表す。﹁重金属﹂﹁重機関銃﹂ ㋑程度がはなはだだしいことを表す。﹁重過失﹂﹁重加算税﹂ ﹇接頭﹈ 1 同位体のうち、普通より質量の大きいほうのもの、または、それを含む化合物であることを表す。﹁重水素﹂﹁重水﹂ 2 酸の1分子中に、中心原子が2個以上含まれていることを表す。﹁重クロム酸カリウム﹂ 3 酸性塩であることを表す。現在は用いない。﹁重炭酸ソーダ﹂ ﹇接尾﹈助数詞。重なったものを数えるのに用いる。﹁二重三重﹂ え〔へ〕【重】 [接尾]助数詞。数を表す語に付いて、重なったものを数える語。「二ふた重まぶた」「八重咲き」 ちょう【重】[漢字項目] ⇒じゅう 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「重」の意味・読み・例文・類語 じゅうヂュウ【重】 (一)[1] 〘 名詞 〙 (一)① おもいこと。おもみのあること。おもさ。転じて、大切なこと。︹工学字彙︵1886︶︺ (二)② かさなり。段階。くらい。程度。 (一)[初出の実例]﹁法勝寺九重塔は︿略﹀かたぶきてひえんは重ごとに皆をちにけり﹂(出典‥愚管抄︵1220︶五) (二)﹁面白き位より上に、心に覚えず、あつと云重あるべし﹂(出典‥花鏡︵1424︶上手之知感事) (三)③ ﹁じゅうばこ︵重箱︶﹂の略。︹日葡辞書︵1603‐04︶︺ (一)[初出の実例]﹁野がけかな・蒔絵の重にすすき箸﹂(出典‥雑俳・住吉おどり︵1696︶) (二)[2] 〘 接尾語 〙 重なったものを数えるのに用いる。﹁二重﹂﹁五重﹂など。 (一)[初出の実例]﹁塔壱基 五重︿高十六丈﹀﹂(出典‥法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年︵747︶二月一一日) (三)[3] 〘 接頭語 〙 (一)① ふつうに存在する原子よりも質量数の大きい同位体、もしくはそれを含む化合物にいう。重水素、重水など。 (二)② 二つ重なったの意。たとえばクロム酸にはクロム原子一個だが、重クロム酸では二個、重炭酸ナトリウム︵炭酸水素ナトリウム︶は一当量の水酸化ナトリウムと二当量の炭酸の塩であるなど。 えへ︻重︼ (一)[1] 〘 名詞 〙 へだてになるもの。垣、戸、几帳など、ある物と他の物をさえぎるもの。﹁へだてる﹂の語源は﹁へ立つ﹂である。 (一)[初出の実例]﹁海神(わたつみ)の 神の宮の 内の隔(へ)の 妙なる殿に﹂(出典‥万葉集︵8C後︶九・一七四〇) (二)[2] 〘 接尾語 〙 重なったものの数、重なった回数を数えるのに用いる。かさなり。﹁二重(ふたえ)﹂﹁八重(やえ)﹂﹁二十重(はたえ)﹂など。 (一)[初出の実例]﹁衣こそ 二幣(へ)も良き さ夜床を 並べむ君は 恐きろかも﹂(出典‥日本書紀︵720︶仁徳二二年正月・歌謡) かさなり︻重︼ (一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁かさなる︵重︶﹂の連用形の名詞化 ) (二)① 重なること。また、重なっている様子。 (一)[初出の実例]﹁国境の山々はもう重なりも見分けられず﹂(出典‥雪国︵1935‐47︶︿川端康成﹀) (三)② 特に、色の重ね合わせ方。 (一)[初出の実例]﹁鈍(にび)たる御衣(ぞ)どもなれど、色あひ、かさなり好ましく﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶朝顔) おもせ【重】 〘 名詞 〙① =おもし(重)①[初出の実例]「おもせの石をもたぬ日はなし」(出典:寒川入道筆記(1613頃)落書附誹諧之事)② =おもし(重)②[初出の実例]「大臣は家のおもせ、君の腹心なれば、高位大祿をあたへ」(出典:翁問答(1650)上) おもき︻重︼ (一)〘 名詞 〙 ( 形容詞﹁おもし﹂の連体形の名詞化 ) 重いこと。また、重大なこと。重要性。おもみ。﹁重きを置く﹂﹁重きをなす﹂などの形で用いる。 (一)[初出の実例]﹁著作者の思想及び文章は多年の造詣と経験とを積んで成功したもの故出板者が金銭を運用する労力よりは比較的重(オモ)きを有するは当然である﹂(出典‥嚼氷冷語︵1899︶︿内田魯庵﹀) おもじ︻重︼ (一)〘 形容詞シク活用 〙 身分や地位がおもおもしい。世の柱石となっている。国家の重鎮となっている。 (一)[初出の実例]﹁藤原の卿等をば、掛けまくも畏き聖の天皇が御世重ねて、於母自岐(オモジキ)人の門よりは、慈び賜ひ上げ賜ひ来る家なり﹂(出典‥続日本紀‐天平宝字三年︵759︶六月一六日・宣命) しま【重】 〘 形容動詞ナリ活用 〙 駕籠舁(かごかき)仲間で、重いさまをいう。[初出の実例]「サア棒組、上げるぞ。オオしまなもんぢゃ」(出典:歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)三) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例