デジタル大辞泉 「雪駄」の意味・読み・例文・類語 せっ‐た【雪▽駄/雪▽踏】 ︽﹁せつだ﹂とも。﹁せきだ︵席駄︶﹂の音変化。もと﹁むしろ︵席︶の履物﹂の意で、﹁雪駄﹂は当て字︾竹皮草(ぞう)履(り)の裏に革をはった履物。底が痛みにくく、また、湿気が通らない。千利休が工夫したと伝えられる。後には、かかとに尻(しり)鉄(がね)を打つことが流行した。 [類語]草履・草鞋・ゴム草履・突っ掛け草履・サンダル・スリッパ せち‐だ【▽雪駄】 「せった(雪駄)」に同じ。「―に灸やいとすゑし盧地ろぢ口/季吟」〈紅梅千句〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「雪駄」の意味・読み・例文・類語 せっ‐た【雪駄・雪踏】 (一)〘 名詞 〙 ( ﹁せっだ﹂とも ) 竹皮草履の裏に、革をはった草履。丈夫で湿気が通らないようにしたもので千利休が工夫したと伝える。江戸時代、元祿︵一六八八‐一七〇四︶以降、かかとに尻鉄(しりかね)を打つのが流行し、これを﹁ちゃらかね﹂といい、以後、尻鉄のないものは雪駄とはいわなくなった。せちだぞうり。せちだ。せきだ。 (一)[初出の実例]﹁雪駄(セッタ)を、せきだといふはわろしといへど、苦しかるまじき歟﹂(出典‥かた言︵1650︶四) (二)﹁素足に雪踏(セツダ)の音たかく、禿も鼻紙めに立ほど入て﹂(出典‥浮世草子・好色盛衰記︵1688︶二) 雪駄の語誌 この語より古い例に﹁せきだ﹂があり、﹁席駄﹂と当てた例も多い。﹁むしろ︵席︶のはきもの︵駄︶﹂の意の﹁席駄﹂から﹁せちだ﹂﹁せっだ﹂﹁せった﹂と変化し、のちに﹁雪駄﹂と当てられたものと思われる。﹁雪駄﹂に﹁せきだ﹂のよみをつけた例もある。 せち‐だ【雪駄】 〘 名詞 〙 =せった(雪駄)〔かた言(1650)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「雪駄」の意味・わかりやすい解説 雪駄 (せった) 雪踏とも書く。竹皮草履の裏に獣皮を張り,踵︵かかと︶に鉄片を打ったはきもの。千利休が雪のさいの露地用に考案したと伝えられるが,これは俗説で,平安時代に貴族,武家の社会で用いられた,台の裏に獣皮をつけた尻切︵しきれ︶から発達したものである。江戸時代の︽毛吹草︾︵1638︶に,竹皮草履の雪踏が摂津国の産物としてあげられている。セチベン︵けちくさい︶者が竹皮草履を用いたことから,セチダと呼び,好事の人が雪踏,雪駄の文字を当てた。初め上方でつくられ,江戸へ半製品を送ったので五分下り雪駄といった。貞享年間︵1684-88︶ごろから裏に革を張った雪駄が出現した。また,踵に尻鉄︵しりがね︶を打つようになったが,これは近江国大津の革足袋屋が創作したもので,強いことから石割り雪踏といった。︽嬉遊笑覧︾に石割せきだ,大津せきだとあるので,関西ではセキダ︵席駄︶といったことがわかる。今日でも関西ではセキダと呼び,関東ではセッタというが,いずれもセチダの訛︵なま︶りである。熊の毛皮を張った毛雪駄,裏革を3枚張ったカピタン雪駄などもあった。 執筆者‥潮田 鉄雄 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本大百科全書(ニッポニカ) 「雪駄」の意味・わかりやすい解説 雪駄せった 履き物の一種。草履(ぞうり)の裏に革を張ったもので、地方によっては、普段履いている草履をさす所もある。その特色は、草履の底に革が張ってあるため、湿っている所を歩いても湿気が通らぬこと、あわせて底が傷まないので喜ばれた。裏打ちの革としてはウシ、ウマ、イノシシ、シカなどの獣皮を用いた。雪駄の考案者は、茶人の千利休(せんのりきゅう)といわれているが、さだかではない。江戸時代初期には、摂津国や山城(やましろ)国の名産とされた。また江戸では江戸製のものを地雪駄、これに対して上方(かみがた)製のものを下り雪駄といった。 雪駄も、年代がたつにつれて、革の減るのを防ぐために、尻鉄(しりかね)を打ち付けるようになり、歩くとチャラチャラ音をたて、これを楽しむ風が江戸っ子の趣向にあい、鋲(びょう)打ちの雪駄が流行した。そればかりか、毛雪駄、吉原(よしわら)遊びの吉原雪駄、あるいは粋(いき)向きの丹前(たんぜん)雪駄なども現れた。また大名の奥方や御殿女中の間では、表に緞子(どんす)の布地を使った乗物雪駄、あるいは僧侶(そうりょ)や医師の間ではカピタン雪駄が用いられた。カピタン雪駄は、表を革で三枚張りにして黒塗りあるいは溜(ため)塗りにしたもので、古くなると塗りがはげる欠点があった。 ﹇遠藤 武﹈ 草履のおもな種類 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
百科事典マイペディア 「雪駄」の意味・わかりやすい解説 雪駄【せった】 雪踏とも書く。竹皮草履(ぞうり)の裏に獣皮をはって表に水気がしみとおらぬようにしたもの。千利休の考案ともいわれるが,平安時代にはすでに用いられている。耐久性があるため江戸初期以来普及し,かかとに金物を打った鋲(びょう)打雪駄など各種の雪駄が作られた。→関連項目草履 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雪駄」の意味・わかりやすい解説 雪駄せった 雪踏とも書く。草履の一種。竹の皮で編んだ表に,牛皮の裏を張りつけたはきもの。千利休が,雪の日に歩くとき,水気がしみ通らないように牛皮をつけたことに始るという。踵に尻鉄を打った切回し雪駄は,江戸時代に侠客などが歩くと音がするのを好んではきはじめ,流行したという。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報