デジタル大辞泉 「高名」の意味・読み・例文・類語 こう‐めい〔カウ‐〕【高名】 ﹇名・形動﹈ 1 高い評価を受け、広く一般の人々に名前を知られていること。また、そのさま。こうみょう。﹁高名な作家﹂ 2 相手を敬って、その名をいう語。﹁御高名はかねがね承っております﹂ →有名﹇用法﹈ [類語]︵1︶美名・名声・名聞・盛名・英名・令名・名(な)・栄冠・栄光・栄誉・光栄・名誉・誉れ・栄(は)え・光輝・栄名・声誉・勇名・雷名・威名・佳名・驍(ぎょ)名(うめい)・嬌(きょ)名(うめい)・好評・有名・知名・著名・名高い・名うて・誇り・面(めん)目(ぼく)・名利・余栄・家名・勲(いさお)・勲功・巨歩・偉功・殊勲・誉望・雷名・功名・功成り名遂げる・死に花・死に花を咲かせる・名代・名前・評判・名立たる・名が売れる・顔が売れる・音に聞く・世に出る・世に聞こえる・知名度・名が有る・名が通る・名をはせる・名を残す・名を成す・顔が立つ・面目を施す・一花咲かせる・錦を飾る・名をあげる・名を売る・名を得る・名を立てる・名を遂げる/︵2︶芳名・尊名・貴名 こう‐みょう︹カウミヤウ︺︻高名︼ ﹇名・形動﹈ 1 ﹁こうめい︵高名︶1﹂に同じ。 2 手柄を立てること。特に、戦場での手柄。武功。功名。 ﹁この人一期の―とおぼえし事は﹂︿平家・四﹀ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「高名」の意味・読み・例文・類語 こう‐みょうカウミャウ【高名】 (一)〘 名詞 〙 ( ﹁みょう﹂は﹁名﹂の呉音 ) (二)① 高貴な名前。 (一)[初出の実例]﹁辞二皇族之高名一賜二外家之橘姓一已訖﹂(出典‥万葉集︵8C後︶六・一〇〇九・左注) (三)② ( 形動 ) 名声が高いこと。有名なこと。また、そのさまや、その名。こうめい。 (一)[初出の実例]﹁これやこのかう名のゑぬたき﹂(出典‥枕草子︵10C終︶一〇三) (二)﹁南来万里到二中国一、久聞二高名一未二相識一﹂(出典‥若木集︵1377頃︶和遠蔵主寄韻) (四)③ ( ━する ) てがらをたてること。武功をたてること。また、そのてがら。功名。 (一)[初出の実例]﹁桂川渡りに高名する﹂(出典‥康頼宝物集︵1179頃︶上) (二)﹁過にし関ヶ原陣に高名(カウミャウ)其隠れなき何の守とかやの孫娘﹂(出典‥浮世草子・武家義理物語︵1688︶四) 高名の語誌 (1)漢語の原義は、高い名声、すなわち、立派だ、あるいは優れているという世間的評価の意であり、挙例の﹁枕草子﹂をはじめとして、平安末期までは、その意味の用例がほとんどである。 (2)鎌倉初期から、特に軍記物語において、③の意味用法が派生し、以後、この意味の用例が圧倒的に多くなる。 (3)もと、﹁高名﹂の字音についてはカウミョウ、カウメイの二通りの読み方があったが、別にコウメイと読まれた﹁功名﹂があって、コウ、カウの区別が乱れた室町末期に至ると、意味的近似から混同する例が現われ、江戸時代には、ミョウ、メイの弁別意識も薄れて混同が進み、明治以降は、手柄の意の﹁コウミョウ﹂を、専ら﹁功名﹂と表記するようになった。→﹁こうみょう︵功名︶﹂の語誌 こう‐めいカウ‥︻高名︼ (一)〘 名詞 〙 ( ﹁めい﹂は﹁名﹂の慣用音 ) (二)① ( 形動 ) =こうみょう︵高名︶② (一)[初出の実例]﹁信濃に有し木曾路河とうたはれけるぞ、時にとっての高名(カウメイ)︵高良本ルビ︶なる﹂(出典‥平家物語︵13C前︶六) (二)﹁高名(カウメイ)書画の花押にくはしく﹂(出典‥人情本・春色梅児誉美︵1832‐33︶後) (三)[その他の文献]︹韓非子‐十過︺ (三)② 相手を敬って、その名前をいう語。お名前。 (一)[初出の実例]﹁﹃わっちゃア、十返舎一九と申やす﹄﹃ハハア御高名(カウメイ)うけたまはりおよびました、十返舎先生でござりますか﹄﹂(出典‥滑稽本・東海道中膝栗毛︵1802‐09︶五) 高名の語誌 →﹁こうみょう︵高名︶﹂の語誌 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「高名」の意味・わかりやすい解説 高名 (こうみょう) 戦場において忠功をつくし武名をはせること。功名ともいう。これを記録した帳簿を高名帳といった。一般に,敵の首級とともに,その所持品,冑,刀などの武具を戦利の証拠として奪うことを分捕︵ぶんどり︶高名といった。分捕高名の語は︽平家物語︾にもすでに散見する。高名には報酬がともなうが,それは手柄の大小によりさまざまであった。すなわち,所領の給与をはじめ武器,衣類あるいは黄金,砂金なども与えられ,時として姓名を付与する場合や,軍功を録しこれを賞する感状︵かんじよう︶が下賜されることもあった。本来,弓矢を主体とした個人戦では,一騎打ちによる組打ちが高名の一番とされ,ついで太刀打ち・槍・弓という順であった。しかし足軽が活躍する中世後期の戦闘形態では,団体戦での槍の機能が重視されるようになり,槍先の功名を1位とする風潮が生じた。いずれにしても,武器が敵に接近した場合ほど,手柄の度合は大きいとされた。 執筆者‥関 幸彦 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報