加藤道夫

加藤 道夫︵かとう みちお、1918年︵大正7年︶10月18日 - 1953年︵昭和28年︶12月22日︶は、日本の劇作家。

福岡県遠賀郡戸畑町︵現北九州市戸畑区︶生まれ。3歳で東京に移る。慶應義塾大学英文科卒。在学中からジャン・ジロゥドゥに傾倒し、芥川比呂志、原田義人、矢代静一らと新演劇研究を始める。1944年、処女戯曲﹃なよたけ﹄を完成した後に陸軍通訳官としてニューギニアに赴任、マラリアに感染し死線をさまよった。帰国後麦の会を経て文学座に入り、劇作と演出に活躍する一方、ラジオドラマや評論、翻訳も発表。西洋演劇の精神を現代日本の舞台に生かそうとした試みは高く評価されたが、1953年縊死自殺。﹃なよたけ﹄は1955年芥川比呂志演出により初演された。

父は鉱床学者の加藤武夫。妻は俳優の加藤治子、作家の加藤幸子は姪。若き日の三島由紀夫の演劇の友人だった。三島は加藤道夫について、﹁私は何の誇張もなしに云ふが、生れてから加藤氏ほど心のきれいな人を見たことがない﹂と述べている。矢代の回想に﹃旗手たちの青春　あの頃の加藤道夫・三島由紀夫・芥川比呂志﹄︵新潮社、1985年︶がある。 

著作

• なよたけ 書肆ユリイカ（1951）
• 襤褸と寳石 未來社（1952）
• 祖国喪失（原作・堀田善衛 未來社、1952）
• 加藤道夫集（新文学全集・河出書房、1953）
• ジャン・ジロゥドゥの世界 人とその作品（早川書房、1953）
• 思い出を売る男未來社（1954）
• 加藤道夫全集（原田義人、中村真一郎、芥川比呂志編 新潮社、1955）
• 挿話（エピソード）未來社（1957）
• 加藤道夫全集 全2巻（青土社、1983）

翻訳

• ウィリアム・サローヤン　「君が人生の時」　中央公論社、1950
• アルベール・カミュ 「カリギュラ・誤解」　新潮社、1951
• アルフォンス・ドオデ 「アルルの女」　角川文庫、1952
• アルベエル・カミュ　「正義の人々」 白井健三郎共訳 新潮社、1953
• アルフレッド・ド・ミュッセ　「マリアンヌの気紛れ」　岩波文庫、1954　復刊1992、遺作

参考資料

• 「日本近代文学大事典」日本近代文学館編、講談社、1977年
• 加藤道夫　歴史が眠る多磨霊園
• 『オンディーヌ』と加藤道夫 岡本英敏さん｜自由劇場へようこそ ストレートプレイの魅力｜劇団四季

外部リンク

• 加藤 道夫：作家別作品リスト（青空文庫）