哲学堂公園
哲学堂公園︵てつがくどうこうえん︶は、東京都中野区にある中野区立の公園である。公園の南東部(面積の7%程度︶は新宿区にある。2020年に国の名勝に指定された[1]。
哲学館︵現在の東洋大学︶の創設者である井上円了が、ソクラテス、カント、孔子、釈迦を祀った﹁四聖堂﹂を建設したのが、この公園のはじまりである。この四聖堂を当初哲学堂と称し、それがそのまま公園の名になった。
当初は当地に大学を造成する案もあったが、精神修養のための公園にすることになり、1909年-1912年の間に哲理門、六賢台、三学亭などの建築物が逐次整備された。当時の建築物は現在も公園内に現存しており、普段は外観しか見られないものの、毎年4月と10月に限り建築物の内部も一般に公開される。内部には、哲学者の像が祀られている。この他にも園内には到る所に哲学に由来するユニークな名前の坂や橋などが点在し、井上円了の思想と世界観を垣間見ることができる。
晩年の井上円了
●鎌倉時代 - 武将和田義盛の居城であったという伝承がある。
●1904年︵明治37年︶ - 井上円了が四聖堂を建設する。
●1909年︵明治42年︶~1912年︵大正元年︶ - 哲理門、六賢台、三学亭などの建築物が逐次整備される。
●1944年︵昭和19年︶ - 井上円了の没後、本人の遺志で東京都に寄贈される。
●1975年︵昭和50年︶ - 中野区の管轄となる。
●2006年︵平成19年︶ - 4月より指定管理者﹁日本体育施設グループ﹂が管理運営を行っている。
●2009年︵平成21年︶ - 東京都の名勝に指定された。
●2020年︵令和2年︶ - 国の名勝に指定された[1]。
歴史[編集]
施設名[編集]
公園の入口にある看板﹁七十七場名称案内﹂によれば、園内の施設名は以下のとおり。 1哲学関、2真理界、3鑽仰軒、4哲理門、5一元牆、6常識門、7髑髏庵、8復活廊、9鬼神窟、10接神室、11霊明閣、12百科叢、13時空岡、14四聖堂、15唱念塔、16六賢台、17天狗松、18筆塚、19懐疑巷、20経験坂、21感覚巒、22万有林、23三字壇・哲史塀、24三祖碑、25唯物園・哲史蹊、26物字壇、27客観廬、28進化溝、29理化潭、30博物隄、31数理江、32観象梁、33神秘洞、34狸燈、35後天沼、36原子橋、37自然井、38造化澗、39二元衢、40学界津、41独断峡、42唯心庭、43心字池、44倫理淵、45理性島、46心理崖、47鬼燈、48概念橋、49先天泉、50主観亭、51認識路、52直覚径、53論理域、54演繹観、55帰納場、56意識駅、57絶対城、58聖哲碑、59観念脚、60観察境、61紀念碑、62相対渓、63理想橋、64理外門、65幽霊梅、66宇宙館、67皇国殿、68三学亭、69硯塚、70無尽蔵、71万象庫、72向上楼、73望遠橋、74星界洲、75半月台︵76と77は、文献記録が欠けており不明︶ このうち主要な施設は以下のとおり。 ●時空岡︵じくうこう︶ - 哲学の時空間を表した場所。 ●四聖堂︵哲学堂︶ - 東洋の釈迦と孔子、西洋のソクラテスとカントの四聖人が祀られている。公園の中心的な建物といえる。 ●六賢台 - 日本の聖徳太子、菅原道真、中国の荘子、朱子、インドの龍樹、迦毘羅の東洋の六人の哲人が祀られている。 ●哲理門 - 哲学堂の正門にあたる。天狗と幽霊が傍らにあり、天狗は物質界、幽霊は精神界の象徴であるという。 ●三学亭 - 日本の古来からの神学、儒学、仏教学の各碵学、平田篤胤、林羅山、釈凝然を奉崇している。 ●三祖苑 - 思想史の始祖ともいえる、中国の黄帝、インドの足目仙人[2]、ギリシアのタレスの各人を刻んだ石碑がまつられている。 ●絶対城 - 当地における図書館のこと。絶対的な真理に到達せんと欲するならば、万巻の書物を読み尽くすことであるという教えから、絶対城と命名された。現在は、建物が遺構として残っているだけで、図書館としての機能はない。 ●宇宙館 - 当地における講義室。哲学は、宇宙における真理を追究する学問であるから、この名になった。 この他に2009年に日本とハンガリー外交関係 開設140年・国交回復50周年の記念事業の一環としてハンガリーの首都ブダペストにあるものと同じ﹁哲学の庭﹂が設置された。これは古代からの宗教・哲学・法を代表する人がそれぞれ同心円上に配置されており、釈迦やイエス・キリスト、古代エジプト王イクナートン、達磨、アッシジのフランチェスコ、聖徳太子、古代バビロニアの王ハンムラビ、東ローマ皇帝ユスティニアヌスなどの像が置かれている[3]。 現在は北側に野球場2面、テニスコート6面、野球場地下に弓道場を有する運動施設も併設されている。哲学堂の名は公園周辺の地名の通称として店舗名、バス停留所などにも使われている。桜の名所として有名である。-
六賢台
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三祖苑
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哲理門
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理想橋
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野球場
哲学堂祭[編集]
井上円了の遺言に基づき、東洋大学が毎年11月に哲学堂祭を開催している。
●毎年11月の第1土曜日に開催する。
●哲学堂に祭られている四聖︵孔子・釈迦・ソクラテス・カント︶を順番に一人ずつ取り上げて講演を行い哲学の思想普及に努める。
●参加者には、甘茶・珈琲・紅茶を振る舞う。
アクセス[編集]
所在地‥中野区松が丘一丁目34番。
●西武新宿線新井薬師前駅より徒歩12分、または都営地下鉄大江戸線落合南長崎駅より徒歩12分。
●バス
●中野駅・新井薬師前駅より関東バス・国際興業バス﹁池袋駅西口﹂行、関東バス﹁丸山営業所︵新井薬師前駅経由︶﹂・﹁江古田駅﹂行で﹃哲学堂公園入口﹄﹃哲学堂﹄、または﹁中村橋﹂・﹁江古田の森﹂・京王バス練馬駅行で﹃哲学堂下﹄下車。
●池袋駅西口・落合南長崎駅より関東バス・国際興業バス﹁中野駅﹂行、江古田駅より関東バス﹁中野駅﹂行で﹃哲学堂﹄下車。
●新宿駅・落合南長崎駅より関東バス﹁丸山営業所﹂行で﹃哲学堂東﹄下車。
●池袋駅東口・目白駅・落合南長崎駅より都営バス﹁江古田二丁目﹂・﹁練馬車庫﹂行で﹃哲学堂﹄下車。
●中村橋より関東バス﹁中野駅﹂行で﹃哲学堂下﹄下車。
●開園時間‥4月~9月 午前8時~午後6時、10月~3月 午前9時~午後5時
●入園料‥無料
●年末︵12月29日~31日︶を除き無休