マグネティックセイル
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(磁気帆から転送)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/24/Magnetic_sail_overview.jpg/300px-Magnetic_sail_overview.jpg)
マグネティックセイル (magnetic sail) とは、提案されている宇宙船の推進方法の一つ。マグセイル (magsail) とも呼ばれ、磁気帆や磁気セイルと訳されることもある。宇宙船は磁場を生成するため超伝導ワイヤの大きな輪と、おそらく操舵または荷電粒子からの放射線の危険を下げるための補助の輪を展開する。計算上、超伝導のマグネティックセイルは質量に対する推力の割合がソーラーセイルよりも良いため、魅力的な推進技術だと考えられている。
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荷電粒子の風の中のマグネティックセイル。セイルは磁場︵赤い矢印︶ を生成し、図の下からの粒子を受ける。セイルには図の中方向への力が働く。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/31/Magsail-magnetic-field.png/220px-Magsail-magnetic-field.png)
磁場︵紫の矢印︶の中のマグネティックセイル。セイルは自分の磁場︵ 小さな棒磁石の絵︶を生成する。周囲を取り巻く磁場は、他の普通の磁石のようにマグネティックセイルを引っ張る。セイルには左側への力が働く。
原理と設計[編集]
陽子や電子などの荷電粒子が、磁場を磁力線に垂直に通過して移動すると、力が生じる︵電磁誘導、フレミングの法則︶。太陽からの太陽風は地球近傍で1m3辺り数百万の陽子や電子を含んでいる。陽子は太陽から400~600km/sの速度で噴出し、移動している。マグネティックセイルではこれらの粒子により加速して、推力を得ることができる。推進[編集]
マグネティックセイルは、太陽から放射される光子の圧力を使うソーラーセイルとよく似ている。太陽風の粒子は光子と違い質量を持っているが、運動量は太陽光の方が太陽風より数千倍も大きい。それに比例して、マグネティックセイルは同等のソーラーセイルに比べてはるかに大きな領域の太陽風を受ける必要がある。しかし、太陽風は磁場で受けられるため物理的な帆は必要でなく、磁場を生成するための超伝導の輪と電源のみですむためソーラーセイルよりも軽く作ることができる可能性がある。また、マグネティックセイルは惑星や太陽の磁気圏から直接推進力を得ることもできる。これはソーラーセイルにはまねできない芸当である。格納[編集]
マグネティックセイルでは、宇宙船が帆を使わないときは、それを巻きつけてしまうことができると考えられている。それは超伝導ワイヤのリールのようなものかもしれない。展開するときは輪に電流が流され、それにより発生する磁場によって輪は自動的に円形に広がる。ワイヤは超伝導体で作られており、航行中に磁界の強度を変えることはないため、それ以上のエネルギーは必要ない。低磁界[編集]
マグネティックセイルは、だいたい0.00001T︵10µT、地球赤道付近の磁場の1/3程度︶の低磁界で動作するため、ケーブルは弱いもので十分である。惑星の磁気圏やプラズマ風の中でのマグネティックセイルは、低電流で、大きく弱い磁場であるほうが効率的である。その結果、より細く、より軽いケーブルで大きな半径の輪が望ましいということになる。 この特性を利用する方法の一つは、ワイヤによる輪の代わりに電気的に励起されたプラズマによる輪を使うことかもしれない。この方法はミニ磁気圏プラズマ推進 (M2P2) やマグネティックプラズマセイル (MPS) 等と呼ばれている。ミニ磁気圏プラズマ推進 (M2P2) とマグネティックプラズマセイル (MPS)[編集]
純粋なマグネティックセイルでは、広範囲に磁界を展開させる必要からより大きなコイルが必要となる。一方で、磁界は内部にプラズマを吹き込むと大きく膨らむという性質があり︵磁気インフレーション︶、これを利用すれば比較的小さなコイルで大きなマグネティックセイルと同程度の推力を得ることができる。 この磁気インフレーションを利用したミニ磁気圏プラズマ推進 (M2P2) はWinglee博士により提案され、ワシントン大学とNASAにおいて実験的な研究が進められていた。しかしその後、マーシャル宇宙飛行センターのKhazanovが、M2P2の理論モデルについて誤りを指摘した。簡単に言えば、﹁薄く広範囲に磁気インフレーションされたセイルは、太陽風を受け止めることが出来ない、スカスカの状態﹂にしかならないという主張であり、2003年以降、M2P2の研究はストップした。Winglee博士はM2P2にMHD︵磁気流体力学︶モデルを導入していたのだが、M2P2の磁場レベルではより粒子的なモデルを構築する必要があり、Khazanovの構築したハイブリッドの数値モデルではM2P2が有効な推力を発生することを見出せなかった。 同時期に、JAXA内でM2P2をより詳細に解析、工学的に実現するという目的でマグネティックプラズマセイル (MPS) の研究が開始された。MPSは現在ハイブリッド・モデルによる解析とともに、真空チャンバ内で小型の実機を作成して、実験を行っている。環境に応じた動作[編集]
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