2015年09月29日 国会論戦に隠されていた本質的な問題 末尾にあるリンクは、あまりよく知られていない内閣法制局の実態についての興味深い記事です。かつてはもう少し柔軟な憲法解釈をしていた内閣法制局も、ある時期からは元長官のOBが集まる「顧問会議」が巨大な権力を持つようになり、現役の長官に対してかつて自らが作成した「憲法解釈」を変えないように圧力をかけるようになり、元長官のOBが増えるにつれてより硬直的となっていきます。 実際には、政府が検討すべき憲法解釈の事例が出てきて、その分野にあまり詳しくないにも拘わらず迅速に国会答弁で政府見解を示さなければならなくなり、与野党の対立を調整するためにその場しのぎでこしらえた政府見解が、いつのまにか絶対的に正しい「正義」として時間と共に結晶化します。 憲法学者の浦田一郎一橋大学名誉教授が著書の中で、内閣法制局の特徴として、「無謬性」をあげています。ある
安保関連法案は憲法違反か 一般論として、憲法の範囲内において、政府が従来の憲法解釈を変更すること自体に憲法上の問題はありません。したがって、従来解釈との論理的整合性や一貫性が欠如していることは、それだけでは憲法違反の理由にはならないと思います。もちろん、新解釈への変更の理由や妥当性について、政府は政治責任を負うことになります。 国際法上認められた「権利」を行使するのに、特段の憲法上の根拠が必要であるとは考えられていません。個別的自衛権と集団的自衛権についても、その行使を基礎づける憲法条文が必要なわけではなく、国家は憲法が禁止していない限り行使できる、とするのが一般的な理解だと思います。他の主要国を見渡しても、個別的・集団的自衛権の行使を許容する旨の明文規定を置いている憲法は見当たりません(少なくとも一般的ではありません)。そうでないと、個別的自衛権についても、憲法の明文規定がなければ行使で
なぜ根拠のない予言と安保関連法案への感情的な嫌悪感が広がってしまったのか(8月30日の国会周辺デモ) Thomas Peter- REUTERS ■魔女狩りの世界へ? 2015年8月30日に、安保関連法案の廃案を求める大規模なデモが国会周辺で行われた。安保関連法案を批判する人々の熱情はエスカレートして、感情的な叫び声が鳴り響いている。一部の声は、もはや理性的な主張の域を超えてしまった。 テレビ朝日の報道番組「報道ステーション」が安保法制に関する憲法学者へのアンケート調査として、「一般に集団的自衛権の行使は日本国憲法に違反すると考えますか?」という質問をだした。これに対して井上武史九州大学准教授が、「憲法には、集団的自衛権の行使について明確な禁止規定は存在しない」と答え、「それゆえ、集団的自衛権の行使を明らかに違憲と断定する根拠は見いだせない」と述べると、その後になんと怒りの感情をあらわにし
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