近畿日本鉄道は、ベビーカーや大型荷物を持って利用する乗客が気兼ねなく着席できるスペース「やさしば」を設置した新型車両(8A系)を10月、デビューさせる。新型車両は乗客のさまざまな意見を反映したという。どのような過程を経て、乗客思いの車両設備が誕生したのか。軌跡をたどる。【洪玟香】 やさしばは、誰もが快適に気兼ねなく座れる「優(やさ)しい場(ば)所」と、公園の芝生のような柔らかいイメージの「芝(しば)」を掛け合わせて名付けた。 近鉄は新型車両の運行開始を控え、2018年ごろから、どのような設備であれば乗客が快適に過ごせるか、意見を募集するアンケートや大型荷物の持ち込み量などを把握する利用状況の調査を始めた。