ある地方紙に月一連載しているエッセイ。今月はこんな主題だった。 毎日新聞の社説が、ある政党の所属議員たちの相次ぐ不祥事について猛省を求める論説が掲載された。新聞が一政党を名指しして、もっと「常識的に」ふるまうように苦言を呈するというのはかなり例外的なことである。 ルッキズム的発言や経歴詐称の疑いなど、いくつか同党の議員の不祥事が列挙してあった。しかし、この苦言が功を奏して、以後この政党の所属議員が「礼儀正しく」なると思っている人は読者のうちにもたぶん一人もいないと思う。この政党の所属議員たちはこの社会で「良識的」とみなされているふるまいにあえて違背することによってこれまで高いポピュラリティを獲得し、選挙に勝ち続けてきたからである。「無作法である方が、礼儀正しくふるまうより政治的には成功するチャンスが高い」という事実を成功体験として内面化した人たちに今さらマナーを変更する理由はない。 「無作
日本維新の会の選挙公約が「日替わり」状態になっている。 少し前に、「今度の選挙では告示前日まで選挙公約が二転三転するだろう」とあるメディアに書いた。 どうしてもこれだけは実現したいという政策があるわけではなく、どうしても議席が欲しいから選挙に出ている人たちにとって喫緊の問題は「どういう政策を掲げれば票が集まるか」だからである。 日本維新の会の選挙公約「骨太2013-2016」では焦点の原発問題については「結果的に30年代までにフェードアウト」という意味のよくわからない文言を採用した。 「30年代までに原発ゼロ」は当初橋下市長自身の主張だった。先月24日にそう言明した。その後、原発推進派の石原慎太郎の太陽の党との合流合意で「脱原発依存」についての言及そのものが消えた。 それによって、維新の会の支持者のうち「脱原発」政策に好感していた人々の支持が目減りした。 危機感を持った維新の会は、原発につ
日本維新の会が選挙公約として「最低賃金制の廃止」を打ち出し、波紋を呼んでいる。 公約発表時点では、私の知る限りどの新聞もこの公約について主題的に検討しなかった。 無視したのである。 その後、ネット上で反対論が噴出して、それを承けてはじめて報道するに至った。 この問題についてのマスメディアの無関心と危機感の希薄さが気になる。 これまで繰り返し書いているとおり、現在日本のエスタブリッシュメントは政官財メディアを挙げて「若年労働者の雇用条件の切り下げ」をめざしている。 その理由は何度も書いてきた。 「日本の中国化」である。 大飯原発再稼働のときの財界の主張をご記憶だろう。 日本にはもう生産拠点を置き続けることはできない。 その理由として指摘されたのが、人件費が高い、法人税率が高い、公害規制がきびしい、電力料金をふくむ生産コストが高い、という点である。 ここで原発を止めて火力に切り替えるなら、もう
日本維新の会が28日に発足した。 同日制定された党規約では、党の意思決定や代表選出について、国会議員と地方議員に同じ力を与えた。 党の重要事項は「執行委員会」で決定するが、代表、副代表、幹事長、副幹事長、政調会長、総務会長で構成される委員会のメンバーの大半は代表が選任する。 国会議員は副代表・副幹事長として執行委員会には加わるが、議決には代表を含む過半数の賛成が必要。 このほか、国政・地方選挙の候補者選定、公認、推薦、比例代表名簿順位の最終決定権は代表に帰属する。 ほとんど橋下徹大阪市長の「個人商店」のような政党である。 この記事を読んで、維新の会のこれからの様子がなんとなく見えてきた。 維新の会の「おとしどころ」がわかったような気がする。 いったいどのへんに「おとしどころ」があるのか、こういうことは事後的に「あのときに私はそう予見していたのだ」と言っても所詮「後知恵」である。 あとで賢し
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