アコーディオン

蛇腹のふいごと鍵盤の操作によって演奏する気鳴楽器

アコーディオン: accordion)は、蛇腹のふいご鍵盤の操作によって演奏する可搬式のフリーリードによる気鳴楽器である。コンサーティーナバンドネオンは近縁の楽器であり、広義にはアコーディオンに含められることがある。これらはあわせて蛇腹楽器と総称される。日本語では手風琴(てふうきん)と称される。アコーデオンとも表記。

アコーディオン
別称:手風琴(てふうきん)
各言語での名称
Accordion
Akkordeon
Accordéon
Fisarmonica
手风琴(手風琴)
アコーディオン
アコーディオン
分類

鍵盤楽器蛇腹楽器気鳴楽器

音域
F3〜A6程度※機種によって異なる。
関連項目

コンサーティーナバンドネオン

特長 編集





 

 

 
((()

()()

()()()





85018120215

3()
左右非相称 左右相称
押引異音 ダイアトニック・ボタン・アコーディオン アングロ・コンサーティーナ
ジャーマン・コンサーティーナ
ケムニッツァ・コンサーティーナ
バンドネオン
押引同音 クロマティック・ボタン・アコーディオン

ピアノ・アコーディオン
イングリッシュ・コンサーティーナ
デュエット・コンサーティーナ
クロマティック・バンドネオン

音が鳴るしくみ 編集

 
右手側の筐体のフロント・グリル(網板)をはずすと、音色が鋭くなる。筐体内部の「下駄」状の機構がむき出しで見える。秦コータロー氏、2018楽器フェアにて。

両手で左右の筐体を保持する。それぞれの手で、筐体上の鍵盤やボタンを押すと、シャフトでつながった対応する空気弁が開くようになっている。蛇腹を伸縮することで送られた空気が開かれた弁を通り、リードを通り抜けるときにこれを振動させて音を鳴らす。リードはフリーリードと呼ばれるもので、薄い金属の板であり、共鳴管によらずリード自身の長さや厚さで音高が決定される。フリーリードの1枚のリードは一方からの通気でしか発音しないため、通常アコーディオンの場合は蛇腹を押した時にも引いた時にも発音するように一つのリード枠に表裏2枚のリードがセットされている。この発音原理はハーモニウムハーモニカによく似ている。

押し引きで違うリードが発音するため、押し引きで同音の出るクロマティックタイプのアコーディオンと、押し引きで違う音の出るダイアトニックタイプのアコーディオンがある。

音色切り替えスイッチについて 編集


()H()M()L()

11 ()

H()M()L()HM()HL()MM(2)MMM(3)HML(3)


音色切り替えスイッチの表示の例
アイコン 俗称 鳴るリードの組み合わせ 音色(トーン)の風格
  ピッコロ H 細くて高い
  クラリネット M おとなしめ
  バスーン L 太くて低い
  オーボエ H + M 明るい
  ヴァイオリン M + M ゆらめく感じ
  ミュゼット (ミュゼット風) H + M + M ミュゼット風だが、本当のミュゼットではない
  ミュゼット (本物) M + M + M ミュゼット仕様の、専用のアコーディオンの音色
  オルガン H + L パイプオルガン風
  ハーモニウム H + M + L リードオルガン風
  バンドネオン M + L バンドネオン風
  アコーディオン M + M + L 一般的なイメージのアコーディオンの音色
  マスター H + M + M + L 全部のリードを同時に鳴らす

同じMのリードを表す●は、その位置によりチューニングの微妙なピッチの違いを表す場合がある。

表示 意味
  正確な音高(ピッチ)にチューニングしたMのリード
  本来の音高より高めにチューニングしたMのリード
  本来の音高より低めにチューニングしたMのリード
  正確な音高のMのリードと、ほんのわずか高めにチューニングしたMのリードをならべ、わざとうなりが生じるようにした組み合わせ
  正確な音高のリードと、それよりちょっとだけ高め、ちょっとだけ低めの3枚のMのリードの組み合わせ

リードのチューニングについて 編集


4

 - MM()

 - MMMMM()使

(Swing) - 

 - HM()ML()

 



 
()()(MeguRee)2018

()

18503(B)

1880[1]

()[1] ()

左手側のベース・システムについて 編集

アコーディオンの多くは、右手の高音部でメロディを弾き、左手の低音部で和音伴奏を弾きやすいように作られている。左手側で低音の伴奏をつけるためのベースシステムについては、さまざまな方式がある。

ダイアトニック・アコーディオンのベースシステム 編集


1()5()

1(one-row )242(two-row )83(three-row )12

 


(The Stradella Bass System)()(96120)
 

6(=1)2(the Fundamental Bass )51(the Counter Bass )233456

C()3C1121

CF



12FDBbG8

24A

32EbE

48EbE6

72DbF#6

80CbG#

96806

120Abb(i.e. low G)A# - 20 - 6
3/3  

3/3(96120)
 
[2]

33(24)

6使3/361

 


11
 
CB
()  


()  

(=quint=)
 

()

 


使()[2]

 

 

 
18308
 
19

18



 - 1822 (Friedrich Buschmann1805617 - 1864101) (Hand-Aeoline) 

 - 1829523(Cyrillus Damian) accord 7

 - 

1979150

 


19[3]

便[3]

変遷 編集

 
20世紀前半のアール・デコ調のアコーディオン (Tombo No.100 Lirico)



[4]便

20調20

使

(Léo Ferré)(Le piano du pauvre)[5]



使

 

 


2(1849)(18411)[6]()西西[4]
 
32=1899

退30西10201960(3544)[7]

3030姿[8]

2021JAPC()JAA()AAA(西)CAC()

 

 
15(1940)(12)

(10




 


33(1958)2

 


20211957[9]

ギャラリー 編集

アコーディオンの種類 編集

 
楽器店のアコーディオン売場の陳列棚。狭義の「アコーディオン」には含まれない蛇腹楽器も一緒に並んでいる(東京・谷口楽器で撮影)
ピアノ・アコーディオン…1,2,13
ダイアトニック・アコーディオン…3
クロマティック・アコーディオン…11,12,14
電子アコーディオン(ローランド社製 商品名『Vアコーディオン』)…11~14
バンドネオン…4
イングリッシュ・コンサーティーナ…5
アングロ・コンサーティーナ…6~10

1829使

3

()()



()()




 


()19



使41120(41120)[5]

 


2

 




(diatonic)(調)()()23


 



[10](melodion)melodeon
1列ボタン鍵盤(ワン・ロー)で全音階のみ弾けるタイプ
アイルランド英語ではこのタイプだけを「メロディオン」と呼び、2列以上のダイアトニック式ボタンアコーディオンは単に「アコーディオン」と呼ぶ(アイルランドの伝統音楽では、ピアノ・アコーディオンは少数派である)。
2列以上のボタン鍵盤をもち半音もあるていど弾けるタイプ
アイルランドと隣接するイングランドの英語では、2列以上のダイアトニック式ボタンアコーディオンも含めて全てメロディオンと呼ぶ。異なるキーのボタン鍵盤を複数並べることで、蛇腹の押し引きの向きの融通性を広げ、半音も(あるていど)弾けるよう改良したタイプ。例えば2列の「CG調」タイプであれば、ドレミファ…という全音階の他、半音はファ♯(F♯)も鳴らせる。半音違いのキーのボタン鍵盤列を並べたタイプ、例えば2列の「BC調」であれば、全ての半音も網羅できる。半音階を網羅しているという理屈から言えばもはや「ダイアトニック」(全音階)という呼称は不適切だが、蛇腹楽器関係の用語の歴史的な慣習上、押引異音式の蛇腹楽器はクロマティック音階を弾ける機種も含めて「ダイアトニック」に分類される(詳細は「ダイアトニック」を参照)。
ケイジャン・アコーディオン 編集


 

使
 

(Steirische Harmonika=使使351215
画像 編集

クロマティック・アコーディオン 編集

 
イタリア式のボタン鍵盤。手前の機種は4列だが、奥の機種は5列である。東京・谷口楽器で撮影

クロマティック・ボタン・アコーディオンのこと。

蛇腹楽器の用語で「クロマチック」(クロマティック)と言えば「押し引き同音式で半音階も網羅している蛇腹楽器」を意味するので、語義上はピアノ・アコーディオンも広義のクロマティック・アコーディオンに含まれる[11]。ただし、ピアノ・アコーディオンが「クロマティック」であることは自明であるため、単に「クロマティック・アコーディオン」と言えば、通常、右手の高音部がボタン式鍵盤になっているクロマティック・ボタン・アコーディオンを指す。

全音階でしか演奏できない押し引き異音式のダイアトニック・アコーディオン(ダイアトニック・ボタン・アコーディオン)を改良したもので、1850年ごろにウイーンのフランツ・ワルターによって作られた。

右手側のボタン式鍵盤のキー配列には

  • Cシステム(イタリア式)
  • Bシステム(ベルギー式)


 
3()

13()45()43)

[11][12]







調(調)[13]

[14]







[15]

使


 

1907西AKKO[16]816.5kg31使
 
 
()調(A)[17]()тульская()()
 

 (: гармонь () : Garmon) (Гармошка)[18]

 Гармоника (garmonika )[6]()()

西1830(: тульская гармонь : Tula garmon)1870

沿1936使

電子アコーディオン 編集

 
クロマティック・ボタン式のVアコーディオンの右手部分。東京・谷口楽器で撮影。

2004V


 


()[7]

 



 



 



楽器以外に付けられたアコーディオン 編集








()

 


Category:























CJ












 


Category:

世界のアコーディオンメーカー 編集

  • Cavagnolo (キャバニョロ)
  • VICTORIA(ヴィクトリア)
  • Hohner (ホーナー)
  • Mengascini(メンガシーニ)
  • Ballone Burini (バロン・ブリーニ)
  • EXCELSIOR (エキセルシァー)
  • GUERRINI(ゲリーニ)
  • Dallape (ダラッペ)
  • BUGARI(ブガリ)
  • Castelfidardo(カステルフィダルド)
  • Weltmeister(ベルトマイスター)
  • Paolo Soprani (パオロ・ソプラーニ)

日本のアコーディオンメーカー 編集

脚注 編集

注釈 編集



(一)^ (Ciaran Carson)pp.70-71

(二)^ https://accordionlife.com/push-those-buttons/ (2018/10/27) 67th/Diminished Chord()

(三)^ 182926p.75 ISBN 4-393-93422-9

(四)^ NHK西(2018)

(五)^ 120使 (Sandy Brechin) 

(六)^ Губная гармоника()

(七)^ / / (2017-2-24)

出典 編集



(一)^ p.88

(二)^ p.126

(三)^ p.84 ISBN 4-393-93422-9

(四)^ p.75 ISBN 4-393-93422-9

(五)^ () p.65

(六)^ 2018-9-27

(七)^ ()p.17

(八)^ p.113p.116

(九)^  19923p.8

(十)^  Melodeon Notebook(2018-9-30)WikiPediaDiatonic button accordion(2018-9-30)

(11)^ ab 2018-10-16

(12)^ 20151022()

(13)^  RolandV2018-10-16

(14)^   2018-10-16

(15)^  RolandV 2018-10-16

(16)^ 

(17)^ 2019-7-20

(18)^ interview vol.6  Natsumi Horiuchi[Garmoshka][Гармошка]2019742019826

参考文献 編集

関連項目 編集