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ここでは15人制について記載しています。13人制の「ラグビーリーグ」とは異なります。 |
ラグビーにおける試合中の具体的な指揮はチームを率いるキャプテンが行う。通常、ヘッドコーチ(HC)がピッチサイドに入ることはなく、観客席の高い位置からフォーメーションを確認しながら選手交代の指示をトランシーバー等でスタッフに連絡している。なお、ハーフタイム中はHCが直接指示することも多い。
ノーサイド︵英語: No side︶は、ラグビー︵特にラグビーユニオン︶において試合終了のことを指す用語である。ただし、現在の英語圏では古風な表現とされ、代わりにfull timeが用いられている[57]。1857年に出版されたトマス・ヒューズ著﹃トム・ブラウンの学校生活﹄には、ラグビー校のフットボールの試合に関して﹁"No side" is called, and the first day of the School-house match is over.﹂と書かれている[58]。ラグビーではかつて審判が試合終了を宣言するために﹁no side﹂と叫んでおり[59]、1970年代まではイングランドでも使われていた[要出典]。現在ではこの言葉は日本でのみ使用されている︵日本以外では "full time" が使われている[57]︶。ノーサイドという言葉は日本でのみ生き残り、試合終了のホイッスルが鳴ったら全員お互いの違いを忘れるべき、ということを意味するようになった[59]。
日本ではラグビーは剣道などの武道と同じく精神性が重んじられるようになった[58]。新島清︵1915年–1998年︶は﹁ラガーマンが大切にしなくてはいけない思想が四つある。﹃自己犠牲の精神﹄﹃ノーサイドの精神﹄﹃レフリー絶対の精神﹄﹃アマチュア精神﹄この四つの思想を合わせて、ラグビー精神という﹂と述べた[58][60]。
ノーサイド精神はプロ化の進んだ今日でもラグビーに影響を与えている。例として、観客席を区別しないことや、最近までラグビー場はシャワー室が一つだけで敵味方が譲り合って使用していたこと、さらに試合後にアフターマッチ・ファンクションと呼ばれる親睦会を行う習慣は19世紀から今日まで続いている。試合が終わって相手と親睦を深めるまでがラグビーという考え方である。[要出典]
ラグビーワールドカップ2019︵日本大会︶において、大会ボランティアスタッフの名称を﹁TEAM NO-SIDE﹂とし、その応募者は3万8000人を超えた[61]。
One For All, All for One
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ラグビーを語る上でよく使われる言葉「一人は皆の為に、皆は一人の為に (One For All, All for One)」は、フランスの作家アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『三銃士』の中の言葉(原文フランス語"un pour tous, tous pour un")である。
通常のラグビーユニオンのポジション
それぞれのチームはフィールド上に15名の選手で始まる[62]。1チームの選手は8人のフォワード(ラグビーリーグより2人多い)と7人のバックスに分けられる。
フォワードの選手の主な責任は、ボールのポゼッションを奪い、維持することである[64]。これらのポジションの選手は、一般的に大柄で強く、スクラムやラインアウトに参加する[64]。フォワードは集団として、特にスクラムフォーメーションの際はしばしば﹁パック pack﹂と呼ばれる[65]。
フロントローは、ルースヘッドプロップとタイトヘッドプロップの2人のプロップとフッカーの3人の選手から構成される。2人のプロップの役割はスクラムの間、フッカーをサポートすること、ラインアウト時にジャンパーのサポートを提供すること、ラックやモールで強さと力を提供することである。フッカーは攻撃、守備両面で鍵となるポジションである。ポジションの名前はスクラム中でボールを脚で掻き込む(フック)ことに由来する。フッカーは通常ラインアウトでボールを投げ入れる。
セカンドローは2人のロック(あるいはロックフォワード)によって構成される。ロックは通常、チームにおいて最も長身の選手が担当し、ラインアウト時のジャンパーとして専門化されている。ラインアウトにおけるロックの主な役割は、他のフォワードに支えられながらジャンプし、投げ入れられたボールを受け取るあるいはボールを自サイドに落とし確保することである。ロックはまたスクラムにおいても重要な役割を持ち、3人のフロントローの後ろにバインドする。
スクラム前のセバスチャン・シャバル(左端、ポジション: ナンバーエイト)
バックローは、フォワードポジションの3列目かつ最終列であり、しばしばルースフォワードと呼ばれる[65]。バックローは、2人のフランカーと1人のナンバーエイトからなる。ブラインドサイドフランカーとオープンサイドフランカーと呼ばれる2人のフランカーはスクラムの最終列である。ナンバーエイトはスクラム後方、2人のフランカーの間に位置している。スクラムにおけるナンバーエイトの役割は、フロントローから掻き出されてきたボールをコントロールすることであり、フライハーフ︵スタンドオフ︶とインサイドセンターはナンバーエイトにきっかけをもらう。
バックスの役割は得点機会を作り出すことであり、一般的にフォワードよりも小柄だがスピードおよび敏捷性がある[64]。フォワードとバックスのもう一つの差異は、バックス、特にフライハーフ︵スタンドオフ︶とフルバックのポジションはより優れたキックの技術が期待されることである[64]。
ハーフバックは、スクラムハーフとフライハーフの2つのポジションから構成される。フライハーフはチームのゲームプランに極めて重要である。フライハーフは大抵の場合ブレークダウン、ラインアウト、スクラム後にスクラムハーフから最初にボールを受け取り、アウトサイドバックスと連携するのにどのアクションが効果的であり最終的に選択するかを決断する必要がある[67]。多くのフライハーフはまた、チームのゴールキッカーを務める。スクラムハーフはフォワードとバックスの間をつなぐ役割を担う[68]。スクラムハーフはラインアウトからボールを受け取ったり、スクラムの後方からボールを除いて通常フライハーフにパスする。また、スクラムにボールを投げ入れ、時にはフォースルースフォワードとして働く必要がある[68]。
スリークォーターには、インサイドセンター、アウトサイドセンター、レフトウイング、ライトウイングの4つのポジションがある。これらのポジションはフライハーフのように、キックの能力、プレーを読み攻撃を指揮する能力を一般的に有している。センターの主な役割は、自分より外側の味方にスペースを提供することである。センターはよいラインを走る能力、パス能力が必要であり、タックルにより倒されないことが求められる[69]。ウイングは一般的にバックラインの外側に位置する。ウイングの主要な機能はトライで攻撃を締め括ることである[70]。ウイングの選手は大抵チームで最速であり、走者としても捕まりにくく、近代では大柄で強く、タックルを破ることができる選手が務める[71]。
フルバックは通常バックラインの数メートル後方に位置する。相手側のキックをキャッチする役割や、相手側がバックラインを破った場合はしばしば守備の最終ラインとなる。よいフルバックである2つの最も重要な特徴は、信頼できる捕球スキルとキックスキルである[72]。
1チーム15人で競われる。大学生以上の場合、試合時間は前後半あわせて80分であり、ハーフタイムは10分以内である。
相手陣地のゴール領域︵これをインゴールという︶でボールを地面に置くことをトライ (TRY) と呼び、ゴールラインの上空、線上に建てられた2本の柱の間のクロスバーより上にボールを蹴り入れることをゴールと呼ぶ。プレー中にドロップキックしてのゴールをドロップゴール、相手の反則の際に与えられるペナルティーキックでのゴールをペナルティーゴールと呼び、また、トライに成功したチームにはゴールの機会が与えられ、これをコンバージョンと呼ぶ。それぞれの得点は、トライが5点、ペナルティーゴールおよびドロップゴールが3点、コンバージョンによるゴールが2点である。
選手は、ボールを持ち、走り、投げ、蹴ることができるが、ボールを前方に落としたり︵ノックオン knock on︶前方に投げたり︵スローフォワード throw forward︶してはいけない。つまり攻撃側は、﹃ボールを持っているプレーヤーが、自チームの15名の先頭にいなければならない︵ボールを持たないプレーヤーがボールを持っているプレイヤーよりも前にいる場合、そのプレーヤーはオフサイドの位置にいるのでプレーに参加できない︶。﹄のである。守備側は、ボールを持った選手のみに対して、タックルをすることができ、これによって倒された攻撃側の選手は、ボールを素早く手放さなければならない︵ダウンボール︶。これを行わないと、ノット・リリース・ザ・ボールという反則になる。また、ラグビーでは膝がついている状態でも倒れているとみなされるため、プレーをしてはいけない。タックルをしたプレーヤーは、ボールキャリアーのボールを奪うこともできる︵だが、実際ボールキャリアーが孤立し、フォローが遅れている場合は有効であるが、事実上そのようなことは滅多に見られない︶。また、このことをジャッカルと呼ぶ。
タックルによって選手の動きが止まることで、後に続く攻撃側、守備側双方の選手らが集まり密集が形成されるが、その中の選手がボールを持っている状態をモール、ボールが地面にある状態をラックと呼ぶ。モールやラックでは﹁ゲート﹂があり、そのラックやモールなどの横からは入れない︵モールに縦に入らなければならない︶。横から入った場合、オブ・ザ・ゲート︵ゲートオフサイド︶と呼ばれる反則になる。︵詳しくはモールへ︶この他に審判の指図で意図的に形成される整然としたスクラム scrummage と呼ばれる密集状態があり、スクラム及びラックの中では、ボールの操作は足でのみ許されている。スクラムは、審判の﹁クラウチ﹂→﹁バインド﹂→﹁セット﹂の合図で[79]両チームのフォワード︵前衛︶同士が円陣を組むように組み合い、スクラムハーフがボールをスクラム内に投入し、攻撃側、守備側双方のフッカーがこれを取り合う。ただし、ゴールラインが近い場合にはスクラム内にボールをキープしたままインゴールに押し込んでしまう場合がある。この場合はスクラム・トライというトライになる。
攻撃側のボールを奪い、防御側のチームのボールにすることをターンオーバーという。
キックでは、自陣22メートルラインの外側︵敵陣側︶で蹴ったボールがバウンドせずにタッチラインへと出た場合、ダイレクトタッチと呼び、ボールが出た地点ではなく、﹁キック地点からゴールラインと平行な直線を引くと、ボールが出た側のタッチラインと交わる地点﹂でのラインアウト︵後述︶となる。また、キックする場合そのキックするラインより前にいるプレーヤーはプレイしてはならない。した場合キックオフサイドという反則となる。
ラグビーでは常に危険が付き纏うため、反則が事細かに規定されているが、反則があっても必ずしも競技が即中断されるとは限らず、反則を犯したチームに不利な展開が続く限り猶予される場合があり、アドバンテージ︵を見る︶といわれる。この時、主審は有利なチームに向けて水平に腕をあげている[82]。
反則からの再開には、スクラムによるものとペナルティーキック等によるものとがあり、反則の種類によっていずれで再開されるかが定められている。比較的軽い反則からはスクラムで再開し、重い反則からはペナルティーキックから再開される︵フリーキックもある︶。重大な反則を犯したときは、イエローカードを提示されるシンビンとよばれる10分間の一時的退出やレッドカードを提示される退場もある。
ボールがタッチラインから外に出るとラインアウトという方法で再開する。出た地点からゴールラインと平行に引かれた仮想線︵これをラインオブタッチという︶の両側に両チームのフォワードが並び、出た地点から出したチームの相手側︵ペナルティキックの場合出したチーム︶の選手がラインオブタッチ上にまっすぐに投げ︵まっすぐでないときはノットストレートという反則になる︶、それを両チームが取り合う。
近年のラインアウトは、ルール変更もあり、人を持ち上げて、より高いところでボールを取ろうとするのが普通である。ただし、反則によるペナルティーキックで直接外に出した場合は出したほうが投げる。ところが、タッチラインの外でボールを投げ入れる側がボールを直接捕ったとき、フォワードが並ばないうちにボールを投げ入れてしまうことがある。これをクイック・スローインといい、戦術の一つとなっている。ただし、どちらか片方のフォワードが並んでいた場合は当然反則である。
ラグビーではしばしばゲインラインという用語が使われる。ゲインラインは攻撃の有効性をはかる指標のひとつであり、直前の攻撃の結果できたポイント︵スクラム、モール、ラック等の地点︶を通りゴールラインに平行な線がゲインラインとなる。ゲインラインからどれだけ前進︵後退︶するかは、その攻撃でどれだけ自分たちの地域を獲得できたか︵できなかったか︶を意味し、すなわち、得点できる︵される︶かのキーポイントとなる。ラインアウトの場合はラインオブタッチが、スクラム、モール、ラックの場合はその中心線がゲインラインとなる。
試合時間は前半・後半各40分の計80分だが、終了時刻を過ぎてもプレーが途切れるまで試合は継続される。ペナルティキックやフリーキックでも試合は継続される。ラグビーでは、試合終了のことを、日本においてはしばしば﹁ゲームセット﹂ではなくノーサイドと呼ばれている。戦い終えたら両軍のサイドが無くなって同じ仲間だという精神に由来する言葉である。
計時方法はサッカーと同じロスタイム制度が多く使われるが、重要な大会ではタイムキーパー制度が使われる。これは、負傷者の手当や選手への指導など、審判が必要と認めたときに計時を止める方式である。そのため、40分を経過した時点でホーンが鳴り、時間が来たことを知らせる。基本的にプレーが止まると終了だが、後半の場合、リードしている側が反則を犯した場合、試合は継続する。そのため、リードしている側はボールを外に蹴り出して試合を終了させる。
ルールについては国際ラグビー評議会が競技規則を定めて日本語で公開しており[87]、用語については日本ラグビーフットボール協会が用語集を公開している[88]。
ラグビーユニオン競技場の略図
ラグビーユニオンは2チーム間でプレーされ、より多く得点したチームが勝利する。得点する方法は複数ある。トライはインゴールエリア︵ゴールラインとデッドボールラインの間︶にボールを置くこと︵5点︶とコンバージョンキック︵2点︶の権利が得られる。ペナルティーキックあるいはドロップゴールが成功すると3点が加点される[89]。それぞれの方法で何点が得られるかは時代と共に変更され続けている[90]。
ラグビーユニオンは最長144メートル幅70メートルの競技場で行われる[91]。実際の試合では、2つのトライライン間は最大100メートルで、トライラインの後方10 – 22メートルの間にデッドボールラインが引かれる[91]。競技場には、特にハーフウェイラインや22メートルライン︵ゴールラインから22メートルの位置︶などいくつかのラインが引かれる[91]。
ラグビーのゴールポストはH型をしており、地面から3メートルの高さの水平のクロスバーで連結された5.6メートルの距離にある2つのポールから構成されている[92]。他のいくつかのスポーツとは異なりゴールキーパーはおらず︵ゴールキーパーの位置づけを作るならフルバック︶、クロスバーの下の領域には特別な意味はない。元々はヤード・ポンド法で測られていたが、現在はメートル法が使われている。
ゲームの始めに、主将とレフェリーはどちらがキックオフを最初に行うかを決定するためコイントスを行う。プレーはドロップキックで始まり、選手はボールを追って相手陣内に入る、相手側はボールを確保し前に進めようと務める。ボールを持った選手がタックルされた場合は、しばしばラックに移行する[93]。
ゲームは前後半それぞれ40分で行われ、間に休憩が取られる。ハーフタイムの休憩で、エンドが交代する。選手の負傷やレフェリーが懲戒処分を行う際にゲームがストップする時は時計は進まない。そのため、経過時間は大抵80分より長くなる。レフェリーは、オフィシャルタイムキーパーがいる時でも、自分で試合時間を管理する責任がある。ボールがインプレーの間に40分あるいは80分が経過した場合は、ボールが﹁デッド﹂になるまでゲームは続行され、その後にレフェリーが笛を吹く。しかしレフェリーがペナルティーキックあるいはフリーキックを与えた場合は試合は続行される[94]。
前方へのパスは反則であり︵スローフォワード︶、パスは横方向あるいは後ろにしなければならない[95]。ボールは、キッキング、ランニング、スクラムあるいはモールの3種類の方法によって前進する。アメリカンフットボールとは異なり、﹁ブロッキング﹂は許されていないため、ボールを持つプレーヤーのみがタックルされるかラックの状態となる。ボールが選手の腕によって打たれ前方に落下した場合は﹁ノックオン﹂の反則となり、プレーはスクラムで再開する[95]。
全ての選手が相手陣地を奪うためにボールを前方へキックしてよい。キックしたボールがフィールド内に着地してからタッチラインを越えた場合は、越えた場所で相手ボールのラインアウトが行なわれる[95]。また、自陣の22メートルラインの内側︵自陣ゴールラインと22メートルラインの間︶でキックし、ボールがフィールド内に着地せず直接タッチラインを越えた場合は、越えた場所でのラインアウトとなる。しかし、22メートルラインの外側でキックし、ボールが直接タッチラインを越えた場合は、﹁キック地点を通り、ゴールラインと平行な直線が、ボールが出た側のタッチラインと交わる地点﹂でのラインアウトとなり、前進とならない[96]。ペナルティキックで直接タッチラインを越えた場合は、キック地点が22メートルラインの内側か否かに関わらず、越えた場所でのラインアウトとなる。また、この場合は味方ボールのラインアウトとなる。
また、キックオフの際、キックの距離が10m未満だった場合 (ノットテンメーター (10m))およびダイレクトでタッチを割った場合は2つの選択肢が相手に与えられ、多くの場合はハーフウェイライン上でボールを持っていない方のスクラムで再開される。キックオフ時にダイレクトでタッチを割った場合はノット10m時の3つの選択肢に加え、タッチとしてラインアウトを選択する、クイックスローインする、選択肢も相手側に与えられる[97]。
ラグビーのタックル。タックルはボールを保持してる選手を妨害あるいは地面に倒す目的で首から下を狙わなければならない。
守備側の目的は、タックルによって相手を倒すか︵その後大抵ラックに移行する︶、モールで争いボールを持った相手選手を止めることである。このような状況はブレイクダウンと呼ばれ、それぞれ特定の規則がある。
選手は、ボールを持っている相手選手に抱き付くことでタックルする。タックラーは相手の肩より上をタックルしてはいけない[98]。(高校生以下においては、新ルールにより胸より上へのタックルが禁止。)また、タックラーはタックルが終了するまで相手選手に腕を巻き付けるよう試みなければいけない。相手を押すこと、ショルダーチャージ、足あるいは脚で相手を転ばせることは反則である。ただし手で相手を転ばせることは許されている︵タップタックルあるいはアンクルタップ︶[99][100]。タックラーはボールをキャッチするためにジャンプした相手選手が着地するまではタックルしてはいけない[98]
モールはボールを持った選手が相手と接触しても倒れず立った状態となった後に起こる。3人以上がその密集状態に関与するとモールが成立する[65]。ラックはモールと似ているが、ラックではボールがグラウンド上にある点が異なり、少くとも3人の選手がボールを守ろうとしてグラウンド上で密集している時に成立する[65]。
ラインアウトで競るアイルランドとジョージア(2007年ワールドカップ)
ボールがフィールドの横に出た時は、最後にボールを触ったチームの相手側にラインアウトが与えられる[101]。それぞれのチームのフォワード︵全員である必要はなく、数はスローインするチームのオプションである︶は、タッチラインに垂直に、タッチラインから5メートルから15メートルの間に、1メートルの距離を置き整列する。ボールはタッチラインからフォワードの列の中央に、ボールを最後に触れなかったチームの選手︵大抵フッカー︶によって投げ入れられる。例外は、ボールがペナルティーによってサイドを割った時で、この際はペナルティーを得た側がボールを投げ入れる[101]。
ラインアウトではどちらのチームもボールを争い、選手はチームメイトを持ち上げるなどする[102]。ジャンプした選手には着地するまでタックルをしてはならず、肩と肩の接触のみ許されている[103]。
スクラム
スクラムは、軽い反則の後に安全かつ公平に試合を再開する方法である[104]。スクラムは、ボールを前にパスあるいは落とした場合、誤ってオフサイドになった場合、ボールがラックやモール中で膠着状態になった場合に与えられる。また、ペナルティーを得たチームはスクラムを選択することができる。
スクラムは、それぞれのチームの8人の選手が3列となり組み合わさって形成される。前列︵フロントロー︶は、フッカーとその両側の2人のプロップ︵ルースヘッドおよびタイトヘッド︶からなる。2列目︵セカンドロー︶は、2人のロックと2人のフランカーからなる。セカンドローの後ろにナンバーエイトが位置する。このフォーメーションは3-4-1フォーメーションとして知られている[105]。スクラムが形成されると、スクラムの権利を得たチームのスクラムハーフが、フロントロー間の﹁トンネル﹂にボールを投入する[104]。それぞれのチームのフッカーは、ボールを脚で後方に掻き込むことによってボールのポゼッションを競う。その間、それぞれのパックはボールのポゼッションを得るのを助けるため、相手を後ろに押そうと試みる[104]。ポゼッションを得た側はボールをスクラム後方へ運び、ボールをナンバーエイトあるいはスクラムハーフによって拾い上げる。
試合のオフィシャルは、レフェリーと2名のアシスタントレフェリーの計3名である[106]。以前はタッチジャッジとして知られていた後者の基本職務は、ボールがタッチに出たことを示すことだった。彼らの役割は拡大され、現在はファール行為の観察や、オフサイドラインのチェックなど多くの領域においてレフェリーを補助することが期待されている[106]。加えて、高レベルの試合においては、しばしばテレビマッチオフィシャル︵television match official, TMO; 一般的にはビデオレフェリーと呼ばれる︶がおり、レフェリーと無線で交信し判断を補助する。レフェリーは、決定を示すのにハンドシグナルを使用する。
よく起こる反則は、肩より上へのタックル、スクラムやラック、モールを故意に崩すこと︵コラプシング︶、タックルを受けた選手がボールを手放さないこと︵ノット・リリース・ザ・ボール︶、タックル後、モール及びラックなど密集に参加する選手が倒れ込みによりボールを出させなくすること︵オーバー・ザ・トップ︶、マイボールの選手がスクラムやラインアウトの中に真っ直ぐボールを投入しない。︵ノット・ストレート︶、オフサイドなどである。反則を犯していない側のチームがペナルティーを得た際には、以下のように多くの選択肢がある。
●﹁タップ﹂キック —— 手に持ったボールを非常に短い距離キックした時は、キッカーはボールを再び手にし走ることが許されている。日本では﹁チョン蹴り﹂とも呼ばれる。
●パント —— 手に持ったボールを長距離キックし陣地を稼ぐ。
●プレースキック —— キッカーが得点を試みる。
不正行為や度重なる違反行為を行った選手は退場︵レッドカード︶あるいは10分間の一時退場︵シンビン︶︵イエローカード︶処分となる[107]。退場となった場合、交代の選手が出場することはできない。
試合中は、選手の︵怪我による︶交替あるいは︵戦術的理由による︶入替えが行われる[62]。交替となった選手は、一時的な止血のための交替以外は試合に戻ることはできない。入替えで外に出た選手は、出血した選手の交替として一時的に、フロントローフォワードと交替で出た場合はずっと試合に戻ることができる[62]。国際試合においては7名までの交替が許されており、国内あるいは国境を越えた大会ではナショナルユニオンの自由裁量で8名まで増やすことができる︵その内3名はフロントローフォワードを務めることができる選手でなければならない︶[108]。
合成ラグビーボール
ラグビーユニオンの試合における最も基本的な道具はまずボールと、ラグビーシャツ︵ジャージ︶、ラグビーショーツ︵英語版︶、ソックス、ブーツである。ラグビーボールは楕円形︵長球︶であり、4枚のパネルによって作られている[109]。ボールは歴史的に革製であったが、現代ではほとんどの試合において合成素材で作られたボールが使用されている。IRBは、ボールの寸法を規定しており、長さは280-300 mm、縦の外周は740-770 mm、横の外周は580-620 mmである[109]。ラグビーブーツは芝生のピッチに適するようスタッド付きのソールを有している。スタッドは金属製あるいはプラスチック製のものが使われるが、先端あるいは端が鋭いものは禁止されている[110]。
防具は任意であり、厳密に規制されている。マウスガードは最も一般的な防具で、ほぼ全ての選手が装着しており、いくつかの国では義務となっている[111]。その他の許可されている防具は、スクラムキャップ︵英語版︶、薄く︵厚さ10 mm以内︶軟質の肩パッド、ソックスの下に装着するレガース︵脛当て︶などである。バンデージあるいはテーピングは負傷を補助あるいは防止するためにすることができ、選手の中にはスクラムやラックにおいて耳を守るため頭の周りにテープを巻くものもいる。女子選手は胸パッドを装着することもできる[112][113]。
ボールに対するグリップを上げる目的で、フィンガーレス・グローブ︵グリップ・グローブ︶が使用されることもある。
マッチ・オフィシャルは、試合前に選手の服や用具が規則に則っているかをチェックする責任がある。
正会員および準会員 正会員
準会員
2007年ワールドカップのフランス開催を祝うためにエッフェル塔に飾られた巨大なラグビーボール
ラグビーは対抗戦の歴史であり、海外に遠征したり海外から招待したりして試合を行ってきた。その中でも、国を代表して行われる試合をテストマッチと呼んでいる。このテストマッチに出ることは名誉なこととされ、選手にはキャップが与えられる。日本代表では大野均︵日本大学工学部→東芝ブレイブルーパス︶が現在キャップ数最多。
ラグビーユニオンにおいて最も重要な大会は、4年に一度予選を勝ち抜いた男子ナショナルチームによって争われるラグビーワールドカップであり、ワールドラグビーが主催する。1987年以降、4年に一度開催されている。
優勝チームは、ニュージーランド(1987年、2011年、2015年)、オーストラリア(1991年、1999年)、南アフリカ(1995年、2007年、2019年)、イングランド(2003年)である。
シックス・ネイションズは、イングランド、フランス、アイルランド、イタリア、スコットランド、ウェールズのヨーロッパ6カ国により毎年開催される対抗戦である[143]。毎年2月から3月に開催される。それぞれの国は他の5カ国と総当たり戦を行う。初期のイングランドとスコットランドの対抗戦の後、1880年代にアイルランドとウェールズが加わり﹁ホーム・インターナショナル・チャンピオンシップス﹂が作られた[143]。1900年代にフランスも参加し、1910年に初めて﹁ファイブ・ネイションズ﹂という語句が登場した。しかしながら、ホーム・ネイションズ︵イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ︶は、チームの実力、プロフェッショナリズムの疑惑、フィールド上の暴力に対する懸念等により1931年にフランスを除外した[144]。フランスは1939-1940年に再加入したが、第二次世界大戦により8年間大会は中止された。フランスは第二次世界大戦後1947年からの全ての大会に出場している。2000年には、イタリアが参加した現在の6カ国となった。イタリアローマのスタディオ・フラミニオは大会が行われる中で最も小さな競技場である。
ザ・ラグビーチャンピオンシップは南半球のトップ代表チームにより毎年開催される国際大会である。1996年の開始から2011年までは、トライネイションズとして知られており、南半球の伝統的な強豪国である南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドが参加していた[145]。この3か国は近年の世界ランキングを支配しており、トライネイションズが最も厳しい国際大会であるといわれたこともある[146][147]。トライネイションズは当初はホーム・アンド・アウェー2試合を各国との間で行なう方式だった[145]。2006年から各国と3試合ずつ対戦する方式が導入されたが、2007年と2011年はワールドカップイヤーのため各2試合で行われた[145]。
特にアルゼンチンが2007ワールドカップで良いパフォーマンスを見せたため、多くの解説者は、アルゼンチンがトライネイションズに参加すべきだと考えていた[148]。このことは、最初2008年大会での参加[149]、次に2010年大会での参加が真剣に提案され[150]、2009年のトライネイションズ後にSANZAR︵南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアの3協会による合弁事業︶がアルゼンチンラグビー協会 (UAR) に2012年大会からの参加を要請し実現に近づいた[151]。アルゼンチンの参加により、大会は公式に2012年からザ・ラグビーチャンピオンシップと改名されることになった。大会形式は、当初のホーム・アンド・アウェイ方式に戻ったが、2015年はワールドカップイヤーのため各1試合で行われた。
なお、各参加国の間には定期戦で懸けられるカップ戦が存在し、ニュージーランドとオーストラリアの間ではブレディスローカップ、ニュージーランドと南アフリカではフリーダムカップ、オーストラリアと南アフリカの間ではマンデラチャレンジプレート、オーストラリアとアルゼンチンの間ではプーマトロフィーと呼ばれている。
欧州ネイションズカップはシックス・ネイションズの次に位置する大会。ヨーロッパの30カ国以上の代表が参加しており、全体を各4チーム前後のディビジョンに分け、それぞれ総当たり戦を行うディビジョン制を取っている。各ディビジョンの最上位と最下位はシーズンごとに入れ替わるが、シックス・ネイションズとディビジョン1Aとの入れ替えはない。主な強国はポルトガル、ルーマニア、スペイン、ジョージア、ロシアなど。チェコやウクライナといった新興国が成績を伸ばしており、本大会は競技の普及と国際化の進捗状況を見るバロメーターとも言える。
アジアラグビーチャンピオンシップ2017、日本 対 韓国戦の開会式(2017年4月29日撮影)
アジアラグビーチャンピオンシップはアジアラグビー主催の国際大会。前身はアジア5カ国対抗︵アジア・ファイブ・ネイションズ︶。ARFU加盟国をトップ3、ディビジョン1、ディビジョン2、ディビジョン3、ディビジョン4に分け、トップ3はホーム2戦、アウェー2戦の4回戦総当りによるマッチポイント方式で順位を決定する。2015年の発足以来、日本が勝利している。
ラグビーユニオン競技は1900年、1908年、1920年、1924年のオリンピックにおいて行われた[152]。オリンピック規則によって、スコットランド、ウェールズ、イングランドは主権国家ではないため独自のチームとしての参加が認められなかった。1900年は、フランスが、グレートブリテンを27対8、ドイツを27対17で下し金メダルを手にした[152]。1908年は、オーストラリアが、グレートブリテンを32対3で破り金メダルを手にした[152]。1920年は、アメリカ合衆国が多くの選手はラグビーになじみがなかったにもかかわらず、フランスを8対0で破る番狂わせを演じた。1924年、合衆国は再びフランスを17対3で破り、ラグビーの金メダルを二度手にした唯一のチームとなった[152]。2009年国際オリンピック委員会は81対8の多数で、セブンズ、4-dayトーナメント形式ではあるが、ラグビーユニオンの少なくとも2016年、2020年での復帰を決定した[49][153]。これは長年ラグビー界が熱望してきたことであり、国際ラグビー評議会議長のバーナード・ラパセット︵英語版︶はオリンピック金メダルは﹁我々のスポーツ︵ラグビーセブンズ︶の頂点﹂と見なされるだろうと述べた[154]。
ラグビーセブンズはコモンウェルスゲームズにおいて1998年のクアラルンプール大会から行われている[155]。現在の金メダル保持国は四連覇中のニュージーランドである[156]。ラグビーユニオンはアジア競技大会においてもタイ・バンコクにおける1998年大会から行われている。1998年および2002年大会では、15人制と7人制の2つの競技がどちらも開催されたが、2006年からは7人制のみが行われている。2010年には、女子7人制ラグビーが開始された。現在の7人制トーナメント︵2010年大会︶の金メダル保持国は男子が日本、女子がカザフスタンである[157][158]。
商用航空便が開通する前のラグビーユニオンの初期の間は、異なる大陸間のチーム同士が対戦することはほとんどなかった。最初の2つの重要な遠征はどちらも1888年に行われた。ブリテン諸島のニュージーランドおよびオーストラリア遠征[159]とそれに続くニュージーランドチームのヨーロッパ遠征である[160]。伝統的にほとんどの一流の遠征はオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの南半球諸国による北半球への遠征と、ブリテン・アイルランド合同チームによる返礼遠征であった[161]。遠征は長い移動時間と多くの試合が行われるために数ヶ月に渡って続いた。1888年のニュージーランドチームは6月にHawkes Bayで遠征を開始したが、107試合を戦い、1889年8月までスケジュールは完了しなかった[162]。遠征側のチームは代表チーム、クラブ、地域チームとテストマッチを行った[159][163]。
ラグビーユニオンは1995年からプロ化されている。以下の表は完全にプロ化したラグビー競技会を示す(セミプロ競技会は除外されている)。平均観客動員数はプレーオフを含む。
プロラグビー競技会
競技会
|
チーム
|
国
|
平均観客動員数
|
統計シーズン
|
2011–12の 平均観客動員数※1
|
増減比
|
トップ14
|
14
|
フランス
|
14,624
|
2018–19
|
14,024
|
+4%
|
プレミアシップ
|
12
|
イングランド
|
14,507
|
2018–19
|
13,001
|
+12%
|
スーパーラグビー
|
12
|
ニュージーランド (6), オーストラリア (5), フィジー (1)
|
11,300
|
2019[164]
|
20,274
|
−44%
|
ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ
|
14
|
アイルランド (4), ウェールズ (4), スコットランド (2), イタリア (2), 南アフリカ (2)
|
8,240
|
2018–19
|
7,721
|
+7%
|
カリーカップ
|
9
|
南アフリカ
|
7,674
|
2017[165]
|
15,873
|
−52%
|
ナショナル・プロヴィンシャル・チャンピオンシップ
|
14
|
ニュージーランド
|
7,203
|
2008[166]
|
|
|
ラグビー・プロD2
|
16
|
フランス
|
5,542
|
2018–19
|
3,735※2
|
+48%
|
NRC
|
8
|
オーストラリア (7), フィジー (1)
|
1,865
|
2019
|
|
|
RFUチャンピオンシップ
|
12
|
イングランド
|
1,713
|
2018–19
|
1,970
|
−13%
|
ディディ10
|
10
|
ジョージア
|
不明
|
|
|
|
ラグビープレミアリーグ
|
8
|
ロシア
|
不明
|
|
|
|
リーガ・ナツィオナーラ
|
7
|
ルーマニア
|
不明
|
|
|
|
※1 スーパーラグビーおよびカリーカップは2011シーズンの数値。※2 2010-11シーズンの数値。
﹁スーパーラグビー 2018﹂サンウルブズvsブランビーズ戦 ︵秩父宮ラグビー場 2018年2月24日撮影︶
スーパーラグビー
スーパーラグビーは、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドの3か国のスーパークラブ︵地域代表チーム︶からなる南半球最高峰のラグビー大会。2月から8月までの期間限定でスーパークラブを編成しレギュラーシーズンとプレーオフトーナメントを行う。参加チームはオーストラリアカンファレンス︵豪州+フィジー︶、ニュージーランドカンファレンスの2カンファレンスに振り分けられ、レギュラーシーズンにおいて同カンファレンスとのホーム&アウェーマッチと別カンファレンスとの試合を行った後、各カンファレンスの最上位チームおよび勝ち点上位の計8チームがプレーオフトーナメントに進み優勝をかけて戦う。観客を意識したアタッキングラグビーが楽しめる。なお、参加国には其々に州選抜チームや単一クラブによる国内リーグがある。
プレミアシップ
プレミアシップはイングランド国内のトップリーグ。12チームによるホーム・アンド・アウェーの2回戦総当たりのレギュラーシーズンを行い、上位4強によるプレーオフトーナメントで優勝を決める。南半球国の代表選手も多く所属している。
ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ
ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップはウェールズ、スコットランド、アイルランド、イタリア、南アフリカの16チームが参加するラグビー大会。発足当初はウェールズ、スコットランド、アイルランドのケルト系3カ国のチームによって行われたためケルティックリーグと呼ばれていたが、2010/11シーズンからイタリアの2チームが新たに加入した。2017/18シーズンから南アフリカの2チームが新たに加入する。イタリアから参加するベネトン・ラグビー・トレヴィーゾのみが単一クラブであり、他はスーパークラブ︵地域代表チーム︶である。なお、参加国には其々に州選抜チームや単一クラブによる国内リーグがある。
トップ14
トップ14はフランス国内のトップリーグ。上述のイングランド・プレミアシップ、プロ14と並ぶヨーロッパ最高峰のリーグである。
ヨーロピアンラグビーチャレンジカップは、ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ下部大会にあたる。シックス・ネイションズからはヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップに次ぐ順位のクラブが出場。ロシア、ジョージア、ルーマニア、スペイン、ポルトガル等の上位クラブからも出場する。
コヴェントリー大学the Centre for the International Business of Sportの2011年の報告書によると、現在500万人以上の人々がラグビーユニオンあるいはIRBによって整理されたその変種をプレーしている[167]。これは前回の2007年の報告書から19%増加している[168]。この報告書では、2007年からアフリカにおいて33%、南米において22%、アジアおよび北米において18%参加者が増加しているとも主張されている[168] 。
ラグビーユニオンの最高峰のイベントであるラグビーワールドカップは1987年の初開催から成長し続けている[169]。16チームがタイトルを争った最初の大会は17カ国で放映され2億3千万人が視聴した[169]。この大会での予選ステージおよび決勝トーナメントのチケット売り上げは100万未満だった。2007年ワールドカップは94カ国が参加し、予選および決勝ステージでのチケット売上は385万だった[169]。この大会は200カ国で放映され42億人が視聴した[169]。
最多国際試合キャップ数を持つのティアー1ネイションの選手はオーストラリアのハーフバックジョージ・グレーガン︵139キャップ︶である[170]。最多通算得点記録を持つティアー1ネイションの選手はニュージーランドのダン・カーターであり、キャリア通算で1250得点を挙げている[171]。2010年4月、リトアニア︵英語版︶は、セルビア︵英語版︶に勝利した結果18連勝︵ティアー2ネイションに対して︶となり[172]、これまでニュージーランドと南アフリカが作った17連勝︵ティアー1ネイションに対して︶という記録を破った[173]。国際試合での最多得点記録は1994年10月27日に香港がシンガポールに164対13で勝利した試合で記録された[174]。しかし、最大の点差︵152点︶が開いた試合は、どちらも2002年に行われた日本対中華台北︵台湾︶の155対3、アルゼンチン対パラグアイの152対0である[174]。
アメリカ合衆国の女子ラグビー: NC Hustlers vs. Midwest II
女子ラグビーフットボールの記録は19世紀末に遡る。Emily Valentineによる最初の文書化された記録には、1887年にアイルランドエニスキレンにあるPortora Royal Schoolで彼女がラグビーチームを作ったと記されている[175]。ニュージーランドとフランスによる初期の女子の試合の報告は存在するものの、根拠のある最初の注目すべき試合の一つは、1917年に行われたカーディフ・レディースとニューポート・レディースの戦時チャリティーマッチである[176]。記録写真ではカーディフ・アームズ・パークでの試合前のカーディフ・チームの姿が残されている[176]。過去30年間、ラグビーユニオンの人気は女子アスリートの間で高まっており、イングランドRFUによると現在80を越える国々でプレーされている。イングランド女子ラグビー協会︵英語版︶ (RUFW) は1983年に設立された最も古い女子ラグビーの公式国内統括団体である[177]。女子ラグビーユニオンにおける最高峰の大会は1991年に始まった女子ラグビーワールドカップである[178]。1994年からは4年に1度開催されている[178]。
ビーチラグビーの試合
ラグビーユニオンの試合は、フルコンタクトの15人制ルール以外にもいくつかの派生型を生んでいる。スポーツのルールが変更される際のより一般的な2つの変化は選手の減少と接触の低減である。派生型の中で最も古いのは7人制ラグビー︵セブンズ、7's、VIIs︶である。このより展開の速い派生型は1883年のスコットランドメルローズに起源がある。ラグビーセブンズでは、1チームの選手は7人であり、試合のハーフは通常7分である。主要なトーナメントとしては、香港セブンズやドバイセブンズがある。より最近の派生型はマレーシアで行われている10人制の10人制ラグビーである[183]。ラグビーの試合のフィジカル的性質のため、フィジカルコンタクトを減らした子供向けの派生型がいくつか作られている[184]。これらの型の中で、ボール保持者に単純に両手でタッチすることで﹁タックル﹂が成立するとしたタッチラグビーが、老若男女が混じってプレーする型として人気がある[185][186]。タグラグビーは、プレイヤーの腰に﹁タグベルト﹂を巻き、そこに左右2本のタグがマジックテープで付けられている。このタグを相手プレイヤーが取る事で、タックルの代わりとなる型である。またタグラグビーではボールを蹴ることが禁止されている[187]。ミニラグビー︵英語版︶は、子供においてラグビーユニオンを育てる目的で作られた型である[188][189]。ミニラグビーは小さな競技場で9人の選手によってプレーされる[190]。タグラグビーと類似しているアメリカンフラッグラグビー︵英語版︶ (AFR) はK-9グレードに入ったアメリカの子供向けに設計された、男女混合で行われるコンタクト無しのラグビーユニオンである[191]。アメリカンフラッグラグビーおよびミニラグビーは共に、参加者の年齢が上がるにつれてラグビーユニオンのより上級要素を導入していく点でタグラグビーと異なっている[190]。
その他の砕けた派生型としてはビーチラグビーやスノーラグビー︵英語版︶がある[184][192]。
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