国立大学法人等職員統一採用試験
沿革
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国立大学、大学共用利用機関、国立高等専門学校等は、2004年︵平成16年︶3月末までは文部科学省の内部組織であったため[1]、その職員は文部科学省の職員たる国家公務員であり、人事院が実施する国家公務員試験により採用されていた[2]。
しかし、2004年︵平成16年︶4月に国立大学法人法等が施行されたことにより、国立大学、大学共同利用機関等が法人化され、文部科学省の内部組織でなくなり[3]、その職員も国家公務員ではなくなった結果、以後は独自に職員を採用する必要が生じた。このため、国立大学法人、大学共用利用機関法人、国立高等専門学校機構等において共通した試験を行うこととしたのが本試験である[2][4]。
なお、国立大学法人等が職員を採用するに当たって、必ず本試験を経由しなければならない義務があるものではない。例えば東京大学は本試験による採用と独自採用試験による採用を並行して行っており、令和5年度の事務の職員の採用数は本試験経由が15名、独自採用試験経由が60名と独自採用試験のほうが多い[5]。
概要
編集本試験は全国7地区で共通して行う第一次試験と、各国立大学法人等が個別に行う第二次試験の二段階で行われる。
受験資格
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本試験の受験資格は年齢制限のみ︵試験日翌年の4月1日時点で30歳未満︶であり、学歴は不問である。また、日本国内における活動に制限のない在留資格を有していれば、国籍も問われない。ただし、次に掲げる場合には受験することができない[6]。
採用希望地区
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本試験は、北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国及び九州の7地区の国立大学法人等職員採用試験実施委員会が実施しているが、本試験の受験に当たっては、このうち1つの地区を採用希望地区として選択する必要がある[6]。
ある地区を採用希望地区として選択して第一次試験に合格した場合、その地区の第一次試験合格者名簿にのみ登録されるため、原則として[注釈2]その地区に所在する国立大学法人等の第二次試験しか受験できない[6]。例えば東京大学に採用されたいのであれば、第一次試験は関東甲信越地区を採用希望地区として選択する必要があり、北海道大学に採用されたいのであれば、北海道地区を選択する必要がある。地区ごとに対応する国立大学法人等の機関の詳細については、地区別利用機関を参照のこと。
このように、地区別で試験を行っており、地区ごとに機関の数や種類が異なることから、採用数や倍率にもばらつきがある。各地区の併願はできない[6]。
地区 | 申込者数(a) | 受験者数 | 第一次試験合格者数(b) | 倍率(a/b)[注釈 3] |
---|---|---|---|---|
北海道[7] | 851 | --- | 378 | 2.25 |
東北[8] | 1,510 | 1,179 | 563 | 2.68 |
関東甲信越[9] | 8,031 | 5,122 | 1,981 | 4.05 |
東海・北陸[10] | 2,730 | --- | 998 | 2.74 |
近畿[11] | 2,863 | 1,727 | 812 | 3.53 |
中国・四国[12] | 2,328 | --- | 1,000 | 2.33 |
九州[13] | 4,291 | --- | 1,720 | 2.49 |
なお、第一次試験は、採用希望地区と異なる受験に便利な地区で受験することができる。例えば、関東甲信越地区を採用希望地区とする場合であっても、第一次試験を北海道地区︵例‥札幌市︶で受験することができる[6]。この場合、合格判定は関東甲信越地区の受験者として行われる[8]。
試験区分
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本試験は事務系と技術系で大きく2つに分かれ、その中から更に細かく分かれた区分を1つ選んで受験する。区分の併願はできない。各地区において必ず全ての区分の職員の採用募集があるわけではないので、必ず確認することを受験案内でも求めている[6]。
事務系 | 事務、図書 |
---|---|
技術系 | 電気、機械、土木、建築、化学、物理、電子・情報、資源工学、農学、林学、生物・生命科学 |
試験内容
編集第一次試験
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第一次試験は、試験区分に関わらず多肢選択式の教養試験︵全問必答・120分間︶のみが行われる[注釈4]。その内容は、社会・人文・自然に関する一般知識が20問、文章理解・判断推理・数的推理及び資料解釈の一般知能が20問である[6]。試験問題は大学卒業程度のものとされている[14]。
第二次試験
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第一次試験の合格者に対し、各機関が個別に行う。複数回の面接を行う大学が多い[15][16]。なお、技術系の職員採用については、第一次試験で専門試験を行っていないため、第二次試験において専門性の確認が行われることがあるとされており[17]、公式サイト等において求める専門知識が明記されている[18]。
図書区分
編集地区別利用機関
編集本試験を利用する地区ごとの国立大学法人、大学共同利用機関法人、国立高等専門学校機構等は次表のとおりである[21]。
地区 | 国立大学法人 | 国立高等専門学校機構 | その他の機関等 |
---|---|---|---|
北海道 | |||
東北 | |||
関東甲信越 |
| ||
東海・北陸 | |||
近畿 | |||
中国・四国 | |||
九州 |
関連項目
編集脚注
編集注釈
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(一)^ 本項の表記としては、令和5年度国立大学法人等職員統一採用試験案内の表記にあるとおり、﹁統一﹂が入っているものを正式な名称として採用した。なお、公式ホームページ上の表題の表記でも、北海道地区・近畿地区は﹁統一﹂が入っており、関東甲信越地区・東海・北陸地区は﹁統一﹂が入っておらず、表記ゆれがある。
(二)^ 事務系の図書区分及び技術系の第一次試験合格者は、10月1日以降、他地区での第二次試験の受験が可能な場合がある︵事務系︵図書︶及び技術系第一次試験合格者の他地区受験についてを参照のこと︶。
(三)^ 倍率の表し方として、公式サイトでは、関東甲信越地区のように受験者数を第一次試験合格者数で割るものと、東海・北陸地区や中国・四国地区のように申込者数を第一次試験合格者数で割るものに分かれている。本表では、受験者数を公表していない地区が複数あることから、比較しやすいよう後者に合わせて作成した。
(四)^ 平成25年までは技術系は専門試験︵電気・機械・土木・建築・化学︶を行っていた︵令和5年度試験案内参照のこと︶。
(五)^ abcdefghijklmnopqrstuvwx2023年3月11日時点において、国立青少年教育振興機構は、関東甲信越地区国立大学法人等職員統一採用試験でのみ職員を採用しており、その他の地区においては独自試験で採用を行っている︵令和5年度職員採用選考︶が、国立大学協会では試験利用機関とされているため、念のため記載している。
出典
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(一)^ “法人化前の国立大学と国立大学法人との比較”. 2023年3月9日閲覧。
(二)^ ab“国立大学法人等職員をめざす方へ”. 2023年3月9日閲覧。
(三)^ “﹁国立大学法人法﹂関係6法の概要”. 2023年3月9日閲覧。
(四)^ “よくある質問”. 2023年3月9日閲覧。
(五)^ “職員採用情報”. 2023年3月10日閲覧。
(六)^ abcdefg“令和5年度国立大学法人等職員統一採用試験案内”. 2023年3月10日閲覧。
(七)^ “試験実施状況︵過去3年分︶”. 2023年3月10日閲覧。
(八)^ ab“過去の試験実施結果︵過去5年分︶”. 2023年3月10日閲覧。
(九)^ “合格発表・実施結果等”. 2023年3月10日閲覧。
(十)^ “申込状況と過去の結果”. 2023年3月10日閲覧。
(11)^ “第一次試験結果状況”. 2023年3月10日閲覧。
(12)^ “第一次試験申込状況・実施結果”. 2023年3月10日閲覧。
(13)^ “2022 年度 第一次試験申込状況・実施結果”. 2023年3月10日閲覧。
(14)^ “よくある質問”. 2023年3月10日閲覧。
(15)^ “統一採用試験”. 2023年3月10日閲覧。
(16)^ “国立大学法人北海道大学事務系職員採用説明会”. 2023年3月10日閲覧。
(17)^ “よくある質問”. 2023年3月10日閲覧。
(18)^ “令和5年度技術系職務内容一覧”. 2023年3月10日閲覧。
(19)^ “採用試験FAQ”. 2023年3月10日閲覧。
(20)^ “令和5年度 近畿地区国立大学法人等職員採用図書系専門試験案内”. 2023年3月10日閲覧。
(21)^ “試験のながれ・統一採用試験を利用する機関”. 2023年3月10日閲覧。