谷
山や丘、尾根、山脈に挟まれた、周囲より標高の低い箇所が細長く溝状に伸びた地形
(山間部から転送)
谷の定義
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谷は広義には周囲より標高が低くなっている地形であり、細長く溝状に伸びた低所の総称をいう[1]。地図においては、尾根とは逆に等高線が凹状になって表れる。ただし、広義の谷は谷底が一方向に向かって低くなっている必要はない[1]。
谷で一番多いのは河川侵食谷であり、谷は狭義には河川の浸食によりできた河谷︵かこく︶のことをいう[1]。谷を流れる川のことを渓流といい、そのような谷は渓や谿とも表記され、渓谷︵けいこく︶ともいう。
日本の谷は一般的に低地の狭いV字谷だが、大陸には広大な低地を持つ谷が存在する。カリフォルニア州のセントラル・バレーの低地は東西100㎞、南北700㎞もあり、日本語の﹁谷﹂が持つ意味合いとはかけ離れている。
イギリスではデイル (dale) と呼ばれ、その数が多いヨークシャーデイルズ国立公園がある。
谷の分類
編集成因による分類
編集侵食谷と初生谷
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谷はその成因により侵食谷と初生谷に大別される[1]。
侵食谷とは河川、波、風、流氷、氷河など主として流体の運動によって侵食された谷をいう[1]。侵食谷は成因により河川侵食谷、氷食谷、溶食谷、風食谷、海食谷などに分類される[1]。最も多いものが河川侵食谷︵河谷︶である[1]。
初生谷とは侵食以外の成因によってできた谷である[1]。初生谷も成因により変動成谷︵リフト谷や断層谷など︶、火山成谷︵火山体間谷など︶、集動成谷、堆積成谷などに分類される[1]。
構造谷・氷食谷・浸食谷
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谷は構造谷、氷食谷、浸食谷に分類されることもある[2]。
構造谷︵Tectonic valley︶
地殻面の割目や褶曲などの地質構造が初因となって形成された谷[2]。断層谷、褶曲谷、分界谷に分けられる[2]。
氷食谷
氷河時代の氷河が深い溝となり形成された谷[2]。
浸食谷
主に流水の浸食作用によって形成された谷[2]。
地層の走向との関係による分類
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縦谷︵じゅうこく、Longitudinal valley︶
縦谷とは地層の走向に平行な谷をいう[2]。
横谷︵おうこく、Transvers valley︶
横谷とは地層の走向にほぼ直角な谷をいう[2]。特に山脈を貫通するものは貫通谷という[2]。
斜谷︵しゃこく、Oblique valley︶
斜谷とは地層の走向に斜交する谷をいう[2]。
地形の分類との関係
編集地名
編集比喩としての「谷」
編集脚注
編集出典
編集参考文献
編集- 日本地形学連合 (JGU)(編集)、鈴木隆介・砂村継夫・松倉公憲(責任編集) 編『地形の辞典』古今書院、2017年2月10日。ISBN 978-4-254-16063-5。