竜巻

発達した積乱雲で上昇気流を伴う高速の渦巻きが発生し、それが地上付近にまで伸びたもの

Tornado
850100  2003624PD US NOAA
5 2018

1930[1]

概要

編集

寿 1100

950F42003850[2]

竜巻の定義と種類

編集
 
多重渦竜巻、1957年 アメリカ テキサス州 ダラス
 
水上竜巻、2005年7月 アメリカ フロリダ州 プンタゴルダ
 
雷を伴う、珍しい逆回転性の竜巻

[3]



[4]

multiple vortex tornado



satellite tornado



waterspoutseaspout



landspout

NWSdust-tube tornado

funnel aloft


類似の現象

編集



dust devil

#

winter waterspout

(steam devil)

gustnado












発生のメカニズム

編集
 
 
F3西西


スーパーセルとメソサイクロン

編集

Supercell[1]

down burst

湿10 - 15

Mesocyclone

3

竜巻の発生

編集

メソサイクロンの中では、「上昇気流の領域」や「下降気流の領域」自体も回転している。下降気流は回転しつつ周囲に向かって流れ出しているが、この気流と南東の風とがぶつかると、ガストフロント(Gust front)と呼ばれる、寒冷前線に類似した気流の衝突面が形成される。ガストフロントは、主に強い下降気流さえあれば発生しうる現象であり、スーパーセル以外の発達した積乱雲でも発生することがある。

ガストフロントの先端である前線面は、冷たい下降気流と暖かく湿った上昇気流が衝突している。気流の衝突によって、この前線面では大きな風速差や気流の乱れが生じる。これをウインドシアという。ウインドシアのある状況下では、小規模で短命な気流の渦が多数、現れては消えることを繰り返す。このような多数の渦のうち、ごく少数の渦が発達して上昇気流と結びついて、竜巻に成長するのではないかと考えられている。

ただ、「竜巻のもと」となるこの渦の発達のきっかけについては、詳しく解明されていない部分が多く、現在も気象学流体力学の観点から研究が続けられている。

現在のところ、発達のきっかけとして、「上昇気流が急激に強まること」だという説がある。スーパーセル内でメソサイクロンが発達して中心部の大気中層の気圧が下がると、その下の大気下層では上向きの気圧傾度力が強まって、上昇気流が急激に強まる。この上昇気流と前述の小規模で短命な渦が重なると、渦に対して上向きの吸引力が働き、収束によって渦の幅が狭まると同時に風速も増し、コンパクトで強力な渦が形成されて竜巻となる[注釈 2] という考え方である。このような条件は、メソサイクロンの気流が回転している中心部にできやすいが、これはレーダーや衛星画像で見たスーパーセルの雲の位置的な中心とは異なるため、スーパーセルの雲の端のほうに竜巻ができることも珍しくない。

スーパーセル以外の積乱雲の場合、上昇気流が強まる要因はあまりなく、ウインドシアによって偶然、水平方向に回転する渦が発達すると竜巻になると考えられている。そのため、竜巻の発生域は限られており、発生頻度も低く、勢力もスーパーセルよりは劣るものが多い。ただ、スーパーセルでなくとも被害をもたらすような竜巻は実際に発生しており、同様に注意が必要である。

竜巻の特徴

編集





湿

=



1236

竜巻の発生しやすい天候

編集



 - /

 - 

 - 湿

竜巻の発生地域

編集
 
世界の竜巻多発地帯(1995年、NCDCによる)
 
つくば市竜巻災害(2012年に日本で発生)

1000508[5]



西[6][7]

201991 - 20061310.3 - 0.510.8 - 31[5]F1F2F3[8][9]910[10][11] 1991200818沿[12]

規模の指標

編集
 
F4の竜巻の被害例
 
アメリカオクラホマシティの気象レーダー画像。左下のフック状になっている部分で竜巻が発生した(1999年5月3日)。

一般的に、強風被害を定量的に表す指標としては最大風速最大瞬間風速が用いられる。しかし、竜巻の場合はその指標を観測している観測所を通過する確率が非常に低く、主に被害から推定することしかできない。そのため、いくつかの指標が考案されてきた。現在では、藤田スケール(Fスケール)が広く用いられているほか、TORROスケールなども用いられている。

藤田スケール

編集

藤田哲也シカゴ大学名誉教授が1971年に提唱したFujita-Pearson Tornado Scale(通称:F-Scale、藤田スケールとも)が、竜巻の規模を表す数値として国際的に広く用いられている。ただし、藤田スケールにおける風速に対応する想定被害と実際の被害とのズレが問題となったため、アメリカではこれを改良した改良藤田スケール(EF-Scale)が2007年から使用されている。

TORROスケール

編集

イギリスでは、ビューフォート風力階級を基に竜巻・暴風研究機構(TORRO)の考案したTORRO tornado intensity scale(T-scale, TORRO scale)が用いられる。T0からT11の12段階。T0は風力8~9、T11は風力30以上に相当する。

竜巻への対策

編集

竜巻は、発生のメカニズムならびに発達のきっかけが詳しく解明されていないことや、発生時間が短く急激に発達・衰退する局地現象であることから、現在のところ正確な進路予測及び発生予知が非常に難しい、という問題を抱えている。また、竜巻の解明に寄与すると考えられる竜巻内部の観測は、非常に危険であるためほとんど行われていない。アメリカでは歴史上たびたび竜巻による壊滅的な被害を受けた例があるため、アメリカを中心として竜巻研究及び対策が進められている。現在、アメリカ中部は竜巻の警報体制や防災設備が世界で最も進んでいる。

観測・警告

編集



(一)湿

(二)



NEXRAD100





Hook echoBow echoDerecho[3]

Storm Prediction CenterSPC"Particularly dangerous situationPDS"Tornado watchTornado warning2Tornado emergencyTornado Hunter



199020002008320105

2468[4] 20161215[13]1NHK1FM西



31

2

3212008 - 2009[14]2014614[15] 

竜巻の予兆・前兆

編集

竜巻対策は即時性が求められるため、専門家のアドバイスや公的機関による情報提供だけではなく、竜巻の通過直前に見られる現象から危険を察知し、避難を行うことも重要だとされている。

まず、日中の目視可能な時間帯であれば、真っ黒な雲や暗緑色に近い雲が現れる、低く垂れ下がった雲や壁のような雲など不気味な形の雲が上空低い所に現れる、空が急に暗くなる、などの予兆がみられることがある。また、風が急に強くなる、風向が急に変わる、雹が降る、木の葉・枝・建物の残骸・土・砂といった飛散物が上空を飛んでいたり自分の周りに降ってくる、といった予兆もある。

竜巻の接近によって気圧が急降下・急上昇すると、キーンという音や耳鳴りといった耳の異常を感じることがあるほか、激しい気流の渦に伴う轟音、飛散物の衝突に伴う衝撃音などもある。

雷も、竜巻の発生しやすい気象条件であることを示しているが、頻度からすれば関連性はあまり強くない。

避難と被害防止

編集



1




主な竜巻被害

編集

記録

編集
 
 

マニクガンジ地区

 

三州竜巻の発生した場所

 

バレッタ

 

サン・フスト

 

キンキン

この節に登場する場所を記した地図。 (地球)

 
2[16][17]
 
2011

歴史上死者最多

編集

アウトブレイク

編集

脚注

編集

注釈

編集


(一)^ 1cell

(二)^ 

(三)^ Serial derechoHybrid derecho

(四)^ 8

出典

編集


(一)^ 132216 12-13p54   1994

(二)^ Julian J. Lee, Timothy P. Samaras, Carl R. Young (7 October 2004). "Pressure Measurements at the ground in an F-4 tornado". Preprints of the 22nd Conference on Severe Local Storms. Hyannis, Massachusetts: .

(三)^  

(四)^ (2014)

(五)^ ab0819 "" 51B2062008.

(六)^ Tornado: Global occurrence Encyclopædia Britannica.

(七)^ U.S. Tornado Climatology National Climatic Data Center, Updated 23 February 2011.

(八)^  >  >  >  201221

(九)^  2010330

(十)^  201257

(11)^  201257

(12)^  201269

(13)^  - tenki.jp2016115

(14)^  20082009201114

(15)^  NHK2014615

(16)^ Tri-State Tornado - History, Facts and Information2020525

(17)^ Maddox, Robert A.; M. S. Gilmore; C. A. Doswell III; R. H. Johns; C. A. Crisp; D. W. Burgess; J. A. Hart; S. F. Piltz (2013). Meteorological Analyses of the Tri-State Tornado Event of March 1925. e-Journal of Severe Storms Meteorology 8(1). http://www.ejssm.org/ojs/index.php/ejssm/article/view/114. 

(18)^ "Tornadoes in Bangladesh". Tornadoproject.com. 20129192010820

(19)^ Lyons, Walter A (1997). The Handy Weather Answer Book (2nd ed.). Detroit, Michigan: Visible Ink press. ISBN 978-0-7876-1034-0. https://archive.org/details/handyweatheransw00lyon 

(20)^ "Research: Tornado Extremes". TORRO. 20078142010820

(21)^ " "A 39 años del tornado en San Justo, el único F5 en toda Sudamérica y Latinoamérica". Uno Santa Fe. 2014318[]

(22)^ National Climate Centre. "Australian Climate Extremes-Storm". BOM. 2009317201293

(23)^ World: Largest tornado Outbreak Archived 26 September 2013 at the Wayback Machine. at the World Meteorological Organization website

(24)^ "Annual Fatal Tornado Summaries". Storm Prediction Center. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2021723

参考文献

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集