血液

動物の体内を巡る主要な体液

: blood[1]
血液の写真

概説

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[1] 1/13[1]8%7% 65kg  5kg 

[1][1][1]


主な役割・機能

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100mmHG5mmHg)100%30mmHg18%40mmHg50%80mmHg70%

[1]



100mmHg0.75100mmHg20 - 30mmHg[2]40mmHg





38510-20漿[3]

[1]

[4]

[1]

)

[1]

調[1]

[1]

[1]

[1]



pH調[1]

調[1]

組成・成分

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ヒトの血液成分(Enzyklopädie 1979から[5]
成分 血液100cm3
あたりの量(mg)
赤血球100g
あたりの量(mg)
81000 63000
ヘモグロビン 15000 33000
タンパク質 19000 35000
脂質 560 600
中性脂肪 135 95
リン脂質 245 350
コレステロール 175
グリコーゲン 5
ブドウ糖 90 75
非タンパク質窒素 30
尿素 15
クレアチン 3.9 8
クレアチニン 0.9 1.8
RNA 64
ナトリウム 190 42
カリウム 190 370
カルシウム 7 2
マグネシウム 3.8 6.2
48 100
塩素 290 270
非有機態リン 2.5 4
リン 35 66
重炭酸塩 220

漿[1] 40 - 45:60 - 55[6]96%3%1%漿90%漿7%[6]

血の色

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[7][7][8]

[9][10]

造血

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[11][12][13][1]

[1]

 1.055 - 1.063 1.052 - 1.060

 500/mm3 450/mm3

 5000 - 8000/mm3

20 - 50/mm3

 42% 37%

漿 7% 56%

pH 7.4

尿


赤血球

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様々な脊椎動物の赤血球細胞の比較

7.5µm1 - 2µm[14]1/3[11][14]

430 - 570/mm3380 - 5001/3[15]45%40%[15]

[14]漿[14]

白血球

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55000 - 9000/mm350 - 70%30%5%[16]
細胞の名称 形の特徴 働き
リンパ球 10 - 15µm程で、赤血球よりやや大きなサイズ。 抗体を作り、腫瘍細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃。
好中球 12 - 15µm程で、核が2つから4つに別れることもある。 細菌の捕食、殺菌に役立つ。
好酸球 好中球より僅かに大きい。顆粒がある。 寄生虫を攻撃、アレルギー反応を引き起こしたり、抑制したりする。
好塩基球 好中球より僅かに小さい。顆粒がたくさんある。 詳細は不明だが、アレルギー反応を引き起こすと考えられている。
単球 20µm程で、末梢血の中で最大。 細菌などの異物を捕食。リンパ球に抗体の特徴を伝える。マクロファージは単球から分化したもの。

血小板

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2 - 3µm[17]15 - 40/mm3[18]

[18]

血漿

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血漿は血液の液体成分で、その90%を占める水は物質の運搬を担う。電解質は細胞へミネラルを補給したり、体液の浸透圧や緩衝作用に影響を与える。血漿タンパク質は浸透圧や緩衝作用調整のほかにも、アミノ酸やホルモン・ビタミン類の運搬や、フィブリノゲンが血液凝固に作用したり、抗体として免疫作用に関係したりと、多様な機能を持つ[19]

造血と破壊

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造血

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[1][20]5[20][20]

2AGMaorta-gonad-mesonephros[21]

20[22][20][22]

[22]辿[22]

破壊

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便尿使[23][16][18]寿2 - 14寿[16]

循環

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,  

211





1628

寿120寿

緩衝・平衡

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血液には緩衝液としての機能があり、内部環境(cf. ホメオスタシス)維持のために、様々な平衡を保っている。「主な役割・機能」で述べた事柄は、基本的には内部環境の平衡のためのものと言ってよい。

酸塩基平衡

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血液のpHは 7.35 から 7.45 の間で厳密に調整されている。この調整には、主に次の2つの平衡機構が働いている。

  • 炭酸緩衝系および肺の二酸化炭素排出
  • リン酸緩衝系および腎臓の酸排泄

炭酸緩衝系および肺の二酸化炭素排出

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pH


リン酸緩衝系および腎臓の酸排泄

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調

14尿

糖平衡

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使使

 100 ml  100 mg αβ調

βα

水分量平衡

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尿 (ADH) 

尿尿尿

温度平衡

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344310 100 


血液の異常による症状

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以上にも述べた通り、血液はホメオスタシスによりその成分・組成・温度などが一定に保たれているが、それらの定常性が乱れると、身体にさまざまな影響・病状が出る。

pH 変動による症状

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pH 7.0 7.7 pHpH

糖尿病

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尿[24]尿[24]

血液量の減少によるショック

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1使1990

73033040440使015304015090

貧血

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貧血は、血液の単位量あたりのヘモグロビン濃度が低下する状態が起こす疾患である。これはそのまま赤血球数の減少と読み替える事ができる[25]病理学的原因は、赤血球の生産力低下(鉄欠乏性貧血再生不良性貧血など)、過剰な崩壊(溶血など)、失血の3つがあげられる[25]

血友病

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血友病とは血液を凝固させる因子が少なくなる遺伝的疾患であり、血が固まりにくい事から様々な不都合が生じる。ささいな傷が筋肉関節内部に血腫をつくり運動障害を起こしたり、歯科治療を困難にしたりする。本来の凝固因子欠乏は男性にしか起こらないが、本来は血友病に含まれない染色体劣性による凝固因子欠乏は男女ともに起こり得る[26]

白血病

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白血病は血液中の白血球数が平常よりも増加する疾患であり、貧血・発熱・感染または血小板の減少などを引き起こす。根本要因は骨髄中の白血球をつくる細胞の暴走であり、その背景にある原因は不明ながらRNAウイルスへの感染や被曝などが推測されている[27]

その他

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特定の疾患を抱えている場合、血液とくに血漿の中に存在する物質や酵素などの存在率に変化が起こる場合がある。血液検査はこの特性を利用した診断法である[1]

血液と病原体

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姿


血液型

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[28]

ABORh1901ABOA,B2漿α,β24ABO32A(AA,AO)B(BB,BO)AB0(OO)4A漿βBαOαβABAαBβ[28]

RhRh (rhesus monkey) ABORhRh-RhRhRhRh+RhRh+[28]

栄養源としての血

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ブーダンフランスのブラッドソーセージ)

血液は高栄養の液体であるため、これを食物とするのは不思議ではない。

人間

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西

1980調1200-1300t300-400t使[29]




昆虫等

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血を吸う蚊

[][?]

動物

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昆虫より大きな動物であれば昆虫や動物の血肉を食料とするため、血のみを食料とする例は少ない。ナミチスイコウモリハシボソガラパゴスフィンチの亜種等に例がある程度である。

文化と血液

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[2]1


宗教

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14

Blóts





11:5



(1417)

使1528, 29 ("Keep abstaining...from blood."漿[30]



53




食用

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本ページ、「#栄養源としての血」を参照の事。

他の用途

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  • 血粉 - 家畜などを食肉処理した際に出た血液を乾燥させたもの。飼料肥料とする。
  • 義兄弟(blood brother) - 血縁関係のない人間同士で兄弟となること。英語圏では、自らの指・手・腕のいずれかに傷を付け互いの傷同士を重ね血を交換して義兄弟となる。別の場所では、血とワインを混ぜて、飲み干すという儀式を行う。このように血によって肉親としての関係性を築いた。
  • 契約書 - 血判状悪魔の契約書など、重要な契約を行う際に使われた。
  • その他、研究用途

数値

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7.7%5.5%5.4%5.0%10%[1]

主な脊椎動物の血液重量比

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脊椎動物において、体重に占める血液の重量比率は動物の種によって大きく異なる。数値は、Bertelsmann 1979, Oppenheimer and Pincussen 1925, Prosser 1973から[31]

動物 体重に対する
血液重量比率(%)
変動幅
コウモリ 13.0
シロナガスクジラ 6.5
ネコ 5.6
ウシ 5.2 - 5.7
ニワトリ 7.0
ヨーロッパヒキガエル 5.6 4.7 - 6.3
ワニ 15.4
イヌ 8.6 2.3 - 8.7
カモ 10.2
ウナギ 2.9
オオヤマネ 5.8 5.3 - 6.0
ヤギ 7.3
ヨーロッパヤマカガシ 7.7
モルモット 7.5
ノウサギ 7.5 6.4 - 8.1
ハリネズミ 8.0
ウマ 7.6
ヒト男性 6.5 - 7.1
ヒト女性 7.1 - 7.8
トカゲ 5.8 4.7 - 7.0
ハツカネズミ 5.8 4.6 - 7.0
ホライモリ 2.9
ブタ 4.6 2.3 - 8.7
ラット 7.5
カワラバト 7.8
オンドリ 9.0
サンショウウオ 6.1 5.5 - 6.8
サケ 2.8
ヤツメウナギ 4.9
サメ 7.0
ヒツジ 8.1 6.6 - 10.4
アシナガトカゲ 5.2 3.8 - 7.6
カメ 9.1

脚注

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注釈

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  1. ^ 通常、血液細胞はこの分類がされることが多いが、リンパ球をさらに細かく分類することもある。また組織中の肥満細胞は同じく造血幹細胞から分化し、同じく組織中に存在するマクロファージは造血幹細胞から単球を経て分化するため、これらも広義には血液細胞の1種に数えられることもある。 - 参考文献・巽典之 編集『血液細胞ノート』文光堂、2005年、ISBN 4-8306-1418-8
  2. ^ 」は「平和」を象徴し、「血」は「暴力」を象徴する。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 生化学辞典第2版、p.420 【血液】
  2. ^ 『三輪血液病学』p179
  3. ^ ワークブックで学ぶ生物学の基礎第2版 著:ケント・プライアー、トレーシー・グリーンウッド、リチャード・アーラン p190
  4. ^ 栄養を運ぶ血液 NHK for School
  5. ^ Flindt、p.219
  6. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p22、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (3)血液の成分
  7. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1210 【ヘモグロビン】
  8. ^ 生化学辞典第2版、p.204 【エリスロクルオン】
  9. ^ 生化学辞典第2版、p.1214 【ヘモシアニン】
  10. ^ 生化学辞典第2版、p.1009 【バナドクロム】
  11. ^ a b 生化学辞典第2版、p.425 【血液細胞】
  12. ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.2031-2036
  13. ^ 関正利、他 編集 『実験動物の血液学』ソフトサイエンス社、1981年、pp.13-19
  14. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.24-25、第2章 血液 2.赤血球 (1)形状と機能
  15. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.25-26、第2章 血液 2.赤血球 (2)ヘモグロビン(血色素)
  16. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.29-30、第2章 血液 3.白血球 (1)形状と機能
  17. ^ 生化学辞典第2版、p.430 【血小板】
  18. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.30-31、第2章 血液 4.血小板 (1)形状と機能
  19. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.32、第2章 血液 5.血漿 (1)血漿の成分と機能
  20. ^ a b c d 生化学辞典第2版、p.760 【造血器官】
  21. ^ 血液は体の外からやってきた 独立行政法人 理化学研究所
  22. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.23、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (4)血液blood cellの産出と幹細胞stem call
  23. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.27-28、第2章 血液 2.赤血球 (3)生成と破壊
  24. ^ a b 生化学辞典第2版、p.915 【糖尿病】
  25. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1092 【貧血】
  26. ^ 生化学辞典第2版、p.433 【血友病】
  27. ^ 生化学辞典第2版、p.1007 【白血病】
  28. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.39-40、第2章 血液 7.血液型
  29. ^ 黒崎嘉子, 天野光彦, 栗田吾郎 ほか、「食用に供する豚血液の加工と細菌汚染」『日本獣医師会雑誌』 40巻 2号 1987年 p.108-112, doi:10.12935/jvma1951.40.108
  30. ^ The Watchtower 15 June 2004, p. 22, "Be Guided by the Living God"
  31. ^ Flindt、p.72

参考文献

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2261995ISBN 4-8079-0340-3 

R.Flindt  2007ISBN 978-4-431-10014-0 

 2262009ISBN 978-4-263-23434-1 

関連項目

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 -  -  -  -  -  -  -  -  

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Hemophobia

Blood-injection-injury type phobia





  







  

外部リンク

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