阪神8000系電車

阪神8201・8101・8001形電車

阪神8000系電車(はんしん8000けいでんしゃ)は、阪神電気鉄道(阪神)が1984年に導入した優等列車用の電車である。急行・特急運用が主体であるため、急行形車両に分類されることがある。

阪神8000系電車
8000系8211編成 塗装変更後
(2021年1月 山陽塩屋駅 - 須磨浦公園駅間)
基本情報
運用者 阪神電気鉄道
製造所 武庫川車両工業
製造年 1984年 - 1996年
製造数 126両+補充車3両
運用開始 1984年3月31日
投入先 阪神電気鉄道:本線神戸高速線
山陽電気鉄道本線
主要諸元
編成 6両編成 (4M2T)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 阪神:106 km/h
山陽:110 km/h
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
車両定員 先頭車140人
中間車150人(8241F以降および8336・8536を除く)
自重 8001形 34.0t
8101形 34.5 - 35.5t
8201形 28.0t
全長 18,880 mm
8201形 18,980 mm
全幅 2,800 mm
全高 8215Fまで 4,087 mm 4,109 mm
8217F以降 4,160 mm
車体 普通鋼
台車 住友金属工業
FS-390A, FS-090A, FS-525, FS-025, FS-090
主電動機 東洋電機製造 直流複巻電動機
TDK-8170-A
主電動機出力 110 kW
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 81:14 (5.79)
制御方式 界磁チョッパ制御
制御装置 東芝 BS-1403-A
制動装置 MBSA 回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動抑速制動
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS
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なお、本項では解説の便宜上、大阪梅田方先頭車の車両番号 + F(Formation = 編成の略)を編成名として記述する(例:8201以下6両編成 = 8201F)。

概要


198459199576×21126319968129

6[1]

201741619114[2]

19801990[3]

導入の経緯


198030113561306113301350136013701760177011983513153315231100%

198433017861796127861西使

6198330008000[4]

車両概説

本系列は長期にわたって増備され形態が大きく異なるため詳細は後述し、共通項目について述べる。

構造


19m36Tc - M - M326[5]31[1]

 (Tc) 82018001 (M) 8101 (M) 

主要機器


30008000[6]MBSA[4] (SIV) 

8001BS438FNC-DAT110A[7]8101BS-1403-A8201C-2000-LLA1[6]

SU[8]8201FFS-390AFS-090AFS-525FS-025110kWTDK-8170-A4

1

8101[9]8101

形態分類


80003I1II2 - 4III5 - 12IV13 - 2144[10]

211268201F8211F - 8249F
分類 編成 本数 製造年 次数
タイプI 8201F 1本 1984年 1次車
タイプII 8211F - 8215F 3本 1984年 - 1986年 2 - 4次車
タイプIII 8217F - 8231F 8本 1986年 - 1990年 5 - 12次車
タイプIV 8233F - 8249F 9本 1991年 - 1995年 13 - 21次車

タイプI

 
8201 1985年西宮駅(地上駅時代)

198461[10]380139013[11]

[11]

[12]380139015001[10]1t[4]

MAU-13H76[4]

FS-390A, FS-090A[13]38013901SFS-390, FS-090SU

280001[14][4]
8001 1987年西宮駅
8101 1987年西宮駅

タイプII

 
8213 1987年 須磨浦公園駅

19854230613561[15]

[16][17][16]

[18]22[16]

IMAU-13HCU-10H[19]

FS-390A, FS-090ASUFS-525, FS-025

[20][16]

[21]

[16]3[22]

8211F821182128213[16]8211F

11[23][19]8201F800080118011

368215F
8012 1987年西宮駅
8112 1987年西宮駅

タイプIII

 
リニューアル前の8231号車(タイプⅢ)

19861990調

[21]CU-19814[24][19]5cm

II1II

8217 - 822038013901F39047890FS-090[25][2]

8221F調調[24]

8223F[24]

8225F1Y2-1A[24][24]

8227F[24]

8231FIV[24]

1989178223 - 8023 - 8123364[26]

タイプIV

 
8235(タイプIV)
2005年7月 甲子園駅

19918233FII[26][27]

110mm67mm[28]H[26]

823335500[26]

[18][27]

LED[3][29]121[27]

IV550090009300

8237F[26]

8241F[30]西[30]

8249F38249-8049-814938150-8050-825019953[28][31]

阪神・淡路大震災

被災状況

 
8213F、神戸・姫路方4両は旧8217F
 
8502、旧8201の方転改番車

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)により、8000系は当時の在籍車両数6両編成20本+3両の123両のうち半数以上にあたる11編成66両が被災した。被災編成と被災箇所は以下のとおり。

編成 被災場所 被災状況 処遇
8201F 石屋川車庫10番線 脱線 3両廃車、3両復旧
8213F 御影留置線21A線 脱線転覆 3両廃車、3両復旧
8215F 御影留置線22C線 脱線 全車復旧
8217F 石屋川車庫1番線 脱線 2両廃車、4両復旧
8219F 御影留置線22B線 脱線 全車復旧
8221F 石屋川車庫8番線 脱線 1両廃車、5両復旧
8223F 石屋川車庫13番線 脱線 4両廃車、2両復旧
8225F 御影留置線22D線 脱線 全車復旧
8231F 御影留置線22A線 脱線 全車復旧
8235F 御影留置線21A線 脱線転覆 2両廃車、4両復旧
8239F 御影留置線21B線 脱線 全車復旧

被災後の経過




8201F

西82023318001810176[32]81028002820197820185028523F

8213F

 - 81138014331811476821482228221F6158213801381176288118 - 8018 - 82188213F

8215F

33

8217F

8217801733181188018821862181176288213 - 8013 - 8117 - 8118 - 8018 - 82188213F

8219F

8120 - 8020 - 82203228219 - 8019 - 8119421

8221F

8222768221 - 8021 - 81216158122 - 802282146158221F

8223F

8223295西8124802433182247680238123921852338102 - 8002 - 85028523F

8225F

413

8231F

8132 - 8032 - 82325238231 - 8031 - 813165

8235F

80368236[28]48235803581351996123813613081368336 - 85368235F

8239F

8140 - 8040 - 82404128239 - 8039 - 8139513

8000820182138217822182238235F615[33]

震災復旧車


8523833685363[34]+300[18]

8523III83368536IV使83368041[35]

8201F8201810280023820185028102-8002-85023[36]8502[35]8523III8523F33

編成替えと復旧状況

他形式とは異なり6両全車が廃車となった編成はなかったが、編成によって残った車種がバラバラであったため、下表のとおり正常な編成とするためにこれら同士を組み合わせ、不足分は追加新造で賄われることとなった。1996年初めには、8336と8536の代替新造に伴って最後まで残っていた8235Fの復旧が完了、震災後に登場した8249Fを含めると、当初製造が予定されていた6両編成×21本の合計126両から2本12両減となり、6両編成×19本114両の在籍数となっている[35][5]

残存車と代替新造車は、以下のように組成された。色分けは元の編成に対応しており、白文字はタイプIIを、白地は新造された車両を表す。

梅田

元町

Tc 8201 M' 8001 M 8101 M 8101 M' 8001 Tc 8201
8523 8023 8123 8102 8002 8502
8213 8013 8117 8118 8018 8218
8221 8021 8121 8122 8022 8214
8235 8035 8135 8136 8336 8536

改造工事

本項ではリニューアル以外の主な改造工事を記す。

スカート設置

8201Fは当初はスカートを装備していなかったが、1994年に取り付けられた[37]

電気笛設置

警笛類は製造当初は空気笛のみだったが、1995年から1996年にかけて電気笛が装備された[38]。警笛ペダルを軽く踏むと電気笛のみが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る方式である[39][注 4]

直通特急対応改造


19982159000[38]

連結器交換


20062009320[5][6][7][40]

その他の改造


1997211999[38]

2016LED[41]85022017LED[15]

リニューアル工事


12020024[42]9300[43]

改造内容


9300[42]93002,520mm93002,550mm[42][42]1[42]I810293004[42]

[43][43]

453[43]2[43][43]8211F[43]8211F

[42][42]

編成別の施工状況


18211F200249411[43]5000503093008000[42]20038219F

200438221F3481018215F20058213F20068225FIV8233F8221F8221[8]58211F8219F

2007548523FI380008523F2020131西8502IIII

8523F1000900080002009108229F[44]201138227F[45]98231F[46]8231F1000[47]LEDLED1IIII10

201248233FIV8231F[48]LED8233F108235F201348237F98243F8233F

201438245FSIVGTOIGBT98247F201558249F78241F201538241F48239F8239F510

8239F8000[49]100%

運用

 
沖縄ジャックトレイン(2013年)

8201F19842188201 - 8001 - 8101 - 82024314368102 - 800241985II356130613567 - 35682×119863301

II1985212PRIII2 - 3198935013567 - 356876017801176011991

80001990200078016使

199178011199538249F7801119953800011[50]

199885028523F[51]

2013111812208241F1215[52]20
 
1002023

2022818219F100202412

80008239800020155191219[53][54]

8523F8000[37]201849[55]8523F202021[56][57]

202311620241318211F
 
8211F

編成

竣工時

大阪梅田

神戸三宮須磨浦公園駅

タイプ 竣工[58]
Tc1 M' M M M' Tc2
8201 8001 8101 8102 8002 8202 I 1984年3月6日
Tc1 M' M M M' Tc2
8211 8011 8111 8112 8012 8212 II 1985年3月28日
8213 8013 8113 8114 8014 8214 1985年12月21日
8215 8015 8115 8116 8016 8216 1986年5月13日
Tc1 M' M M M' Tc2
8217 8017 8117 8118 8018 8218 III 1986年12月17日
8219 8019 8119 8120 8020 8220 1987年7月2日
8221 8021 8121 8122 8022 8222 1988年5月18日
8223 8023 8123 8124 8024 8224 1989年1月25日
8225 8025 8125 8126 8026 8226 1989年5月16日
8227 8027 8127 8128 8028 8228 1990年1月5日
8229 8029 8129 8130 8030 8230 1990年5月30日
8231 8031 8131 8132 8032 8232 1990年12月6日
Tc1 M' M M M' Tc2
8233 8033 8133 8134 8034 8234 IV 1991年3月28日
8235 8035 8135 8136 8036 8236 1991年9月10日
8237 8037 8137 8138 8038 8238 1992年1月30日
8239 8039 8139 8140 8040 8240 1992年6月17日
8241 8041 8141 8142 8042 8242 1993年2月22日
8243 8043 8143 8144 8044 8244 1993年11月24日
8245 8045 8145 8146 8046 8246 1994年4月1日
8247 8047 8147 8148 8048 8248 1994年10月1日
8249 8049 8149 8150 8050 8250 1995年3月9日
Tc1 M' M M M' Tc2
8523 代替新造 1995年9月21日
8336 8536 1996年1月30日

震災復旧後


201641[59]#

大阪梅田

神戸三宮山陽姫路

リニューアル[60] 座席 前照灯LED化 注釈
Tc1 M' M M M' Tc2
8211 8011 8111 8112 8012 8212 2002年3月12日 クロスシート4両
8213 8013 8117 8118 8018 8218 2005年4月19日 クロスシート2両
8215 8015 8115 8116 8016 8216 2004年10月6日 クロスシート2両
8219 8019 8119 8120 8020 8220 2003年3月28日 クロスシート4両
8221 8021 8121 8122 8022 8214 2004年3月17日 クロスシート2両
8523 8023 8123 8102 8002 8502 2007年4月16日 クロスシート2両 8523は震災後の代替新造車
8225 8025 8125 8126 8026 8226 2006年4月18日 クロスシート2両
8227 8027 8127 8128 8028 8228 2011年3月28日 クロスシート2両
8229 8029 8129 8130 8030 8230 2009年10月29日 クロスシート2両
8231 8031 8131 8132 8032 8232 2011年9月26日 クロスシート2両
8233 8033 8133 8134 8034 8234 2012年3月23日 全車ロングシート
8235 8035 8135 8136 8336 8536 2012年9月28日 全車ロングシート 8536・8336は震災後の代替新造車
8237 8037 8137 8138 8038 8238 2013年4月9日 全車ロングシート
8239 8039 8139 8140 8040 8240 2015年9月28日 全車ロングシート
8241 8041 8141 8142 8042 8242 2015年7月10日 全車ロングシート
8243 8043 8143 8144 8044 8244 2013年9月24日 全車ロングシート
8245 8045 8145 8146 8046 8246 2014年3月31日 全車ロングシート
8247 8047 8147 8148 8048 8248 2014年9月2日 全車ロングシート
8249 8049 8149 8150 8050 8250 2015年4月28日 全車ロングシート

脚注

注釈



(一)^ 8211F8211 - 8011 - 8111 - 8112 - 8012 - 8212

(二)^ 390139023904380243802FS-390

(三)^ 

(四)^ 5500

(五)^ 8000900093005500

(六)^ 1000

(七)^ I55002000

(八)^ 

出典



(一)^  8000202010p.24

(二)^ 20178  2017 

(三)^ 202010pp.88-90

(四)^ abcde56

(五)^ ab202010p.19

(六)^ ab (157) 19977197

(七)^ 5144-145

(八)^ 2117

(九)^  8000202010p.26

(十)^ abc 2017201712240

(11)^ ab 8000202010p.27

(12)^ 218

(13)^  8000202010p.28

(14)^ 219

(15)^ ab 2017201712243

(16)^ abcdef (157) 19977198

(17)^ 2113

(18)^ abc63

(19)^ abc62

(20)^ 2116

(21)^ ab537

(22)^  8000202010p.30

(23)^ 2112

(24)^ abcdefg (157) 19977199

(25)^  8000202010p.35

(26)^ abcde (157) 19977200

(27)^ abc 2017201712252

(28)^ abc (157) 19977201

(29)^  8000202010p.37

(30)^ ab 2017201712253

(31)^  8000202010p.38

(32)^ 8101331

(33)^  8000202010p.40

(34)^  8000202010p.41

(35)^ abc980002001291

(36)^ 980002001290

(37)^ ab 2017201712241

(38)^ abc980002001293

(39)^  8000202010p.42

(40)^  8000202010p.44

(41)^  2017201712255

(42)^ abcdefghi80002002796

(43)^ abcdefgh80002002797

(44)^  20109593

(45)^  20119605

(46)^ 80008231 - railf.jp  2011929

(47)^ 20171242

(48)^ 80008233 - railf.jp  201249

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参考文献

  • 阪神電車鉄道同好会「私鉄車両めぐり (157) 阪神電気鉄道」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号(通巻640号、特集:阪神電気鉄道)、電気車研究会。180-207頁。
  • 木下和弘「阪神電気鉄道 現有車両プロフィール2017」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号(通巻940号、特集:阪神電気鉄道)、電気車研究会。211-282頁。
  • 『鉄道ピクトリアル』2020年10月号(通巻978号、特集:さよなら阪神赤胴車)、電気車研究会。
    • 木下和弘「最後の赤胴形式 阪神8000系車両のあゆみ」『鉄道ピクトリアル』2020年10月号、pp.23-44。
  • 鉄道ダイヤ情報』1995年3月号 No.131 「特集:阪神電車の研究」 弘済出版社
  • 『関西の鉄道』No.53 「News:阪神だより」関西鉄道研究会
  • 『サイドビュー阪神』1996年 レイルロード
  • 『車両発達史シリーズ 7 阪神電気鉄道』2002年 関西鉄道研究会
  • 『復刻版 私鉄の車両21 阪神電気鉄道』ネコ・パブリッシング、2002年(原著1986年、保育社)。
  • 『カラーブックス 日本の私鉄 5 阪神』1989年 保育社
  • 『鉄道ファン』2002年7月号(通巻495号) 「CAR INFO 阪神8000系 リニューアル車」 交友社
  • 秦野泰樹「大手私鉄の多数派系列ガイド9 阪神8000系」『鉄道ファン』2001年2月号、交友社。86-93頁。

外部リンク