音素

音韻論における基本単位

音素(おんそ、: phoneme)とは、言語学音韻論において、音声学的な違いはどうであれ、心理的な実在として、母語話者にとって同じと感じられ、また意味を区別する働きをする音声上の最小単位となる音韻的単位を指す。

概略 編集




 (: distinctive) 



: segmental phonemes[1]調: pitch: juncture: suprasegmental phonemes[1][2]


 




cat /kǽt/dog /dɔ:g/cat  dog2

pen /pen/man /mǽn/cat - dogcat  dog/n//pe//mǽ/2penman/pe//mǽ/

/pe//mǽ/pen/pe/pen /pen/ - ben /ben/pen /pen/ - pin /pɪn//p//e//mǽ/man /mǽn/ - pan /pǽn/man /mǽn/ - men /men//m//ǽ/

[3]

(一)Phoneme

(二)

(三)

11232

1/p/e.g. 1

Josef Vachek[3]

simultaneoussuccessive

pan /pǽn//p/-/ǽ/-/n/3/p/3

VachekVachekТрубецкой1[3]

(一)Phoneme

 



音声表記 音素表記
記述対象 人類が発するあらゆる言語音 対象とする一言語の、話者が認識している言語音
意図 言語音をありのままに記述し、記述したものから正確に音声を再現できること。
→ 網羅的に、精密に、客観的に。
対象となる言語の音声を解釈・整理し、「話者が認識している音」の連なりとして再構成してみせること。ひいては、その言語の音韻構造、さらには統語構造などに内側から光をあてること。
→ 話者の直観に沿う形で、かつ合理的、体系的に。
記号の定義 国際音声学会により国際音声記号としてあらかじめ定義されている。その数は150個以上。補助記号つきも数えれば、さらに数倍から数十倍になる。 言語ごとに慣例的におおむね決まっているが、研究成果に応じて研究者が改訂を試みることも可能。記号の数は対象言語の音素数に等しい理屈だが、多くの場合たかだか数十個。

日本語 「人格者」
[ʥĩŋ̍kakɯ̥ɕa] - 通常 [ ] でくくって記述する。
※厳密さの度合いなどによって異なる表記もあり得る。
/zinkakusja/ - 通常 / / でくくって記述する。
※解釈の流儀により異なる表記もあり得る。

このように、音声表記がきわめて普遍的な性質をもち、他言語の音声同士を比較するようなことも頻繁に行われるのに対し、音素表記は個々の言語内でそれぞれに定義され完結しているもので、言語同士の比較に耐えるようなものではない。 たとえば日本語の音素表記で /h/長音「ー」の記号として用いられることが多いが、別の言語ではこれが子音 [ħ]音標に使われているとか、日本語、中国語フランス語イタリア語/r/ がそれぞれ全く違う音に聞こえる、とかいったことが起こるが、そもそも他言語の音素表記同士を比較すること自体が無意味なことであると言える。

多数の音標を扱わざるを得ない音声表記が独自の特殊な記号をあらかじめ多数用意しているのに対し、音素表記では記号の数は比較的少数で済むため、特殊な記号に頼る必要が比較的少ない。 日本語の [ɯ][ɾ] をそれぞれ /u//r/ で記述するなど、扱いやすくて直観的にもわかりやすい「普通のアルファベット」を多用するのが一般的である。

音素の認定方法 編集


使

/h//a, e, o/[h]/i/[ç]/u/[ɸ]/h/

[k][kʰ]/k/[k][kʰ]/k/

  [h]  [ŋ] 

日本語の音素 編集


使


母音 /a/, /i/, /u/, /e/, /o/
子音 /k/, /s/, /t/, /c/, /n/, /h/, /m/, /r/, /g/, /z/, /d/, /b/, /p/
半母音 /j/, /w/
特殊モーラ /n/, /q/, /h/

/c/ /j/ y/n/, /q/, /h/ 

/j/  /y//h/  /r/ 使使使

 


 [n, m, ŋ, ɴ, ã, , ĩ, õ, ɯ̃]  /n/  /q/ 

/h/  //  /u/, /i/ []
里親 砂糖屋
/satooja/ /satohja/
/sato’oja/ /satooja/
/satooja/ /satouja/

/c/ 編集


 (tea) /ti/  /ti/ /ci/ /tu/  /cu/  /ca, ce, co/ /cya, cyu, cye, cyo/ 

/kata-/ /kaci//kat/

/c/  /t/  /c/  /w/  // /awa-/ /ai-/  

 


 [ŋ]  /ɡ/  () ()/g/  /ŋ/ 

 


3使使19[4]

使使使使使

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ なお湯川 (1999:46)のように強弱や高低の違いを「超分節的音特徴」や「アクセント」と呼称し、「音素」という表現を用いていない場合も見られる。

出典 編集



(一)^ 1982:55, 64

(二)^ 1982:7274

(三)^ abc1︿1971 

(四)^    19 20091230 ISBN 978-4309762210

 


Bybee, Joan. (2001). Phonology and Language Use. Cambridge: Cambridge University Press.

  (1982).ISBN 4-469-21101-X

, 1999ISBN 4-89476-113-0 

 









 


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