「アンドレア・シェニエ」の版間の差分
Dinamik-bot (会話 | 投稿記録) m r2.6.5) (ロボットによる 追加: ru:Андре Шенье (опера) |
m編集の要約なし |
||
(21人の利用者による、間の27版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{クラシック音楽}} |
{{Portal box|クラシック音楽|舞台芸術}} |
||
『'''アンドレア・シェニエ'''』(''Andrea Chénier |
『'''アンドレア・シェニエ'''』(''Andrea Chénier'')は、[[イタリア]]の[[作曲家]][[ウンベルト・ジョルダーノ]]による全4幕の[[オペラ]]である。1896年3月[[ミラノ]]・[[スカラ座]]で初演された。[[18世紀]]、[[革命]]前後の[[フランス]]を舞台に、実在の[[詩人]][[アンドレ・シェニエ]](アンドレアは[[イタリア語]]読み)の半生を描き、[[ヴェリズモ・オペラ]]の傑作のひとつとして数えられる作品。 |
||
*原語題名:''Andrea Chénier'' |
*原語題名:''Andrea Chénier'' |
||
*台本:[[ルイージ・イッリカ]] |
*台本:[[ルイージ・イッリカ]] |
||
7行目: | 7行目: | ||
== 作曲と初演の経緯 == |
== 作曲と初演の経緯 == |
||
本作品に厳密な意味での原作は存在せず、台本作家[[ルイージ・イッリカ]](後に[[ジャコモ・プッチーニ|プッチーニ]]の数々の名作オペラを手がける)はジュール・バルビエ『アンドレ・シェニエ』、ポール・ディモフ『アンドレ・シェニエの生涯と作品』などを参考に |
本作品に厳密な意味での原作は存在せず、台本作家[[ルイージ・イッリカ]]︵後に[[ジャコモ・プッチーニ|プッチーニ]]の数々の名作オペラを手がける︶はジュール・バルビエ﹃アンドレ・シェニエ﹄、ポール・ディモフ﹃アンドレ・シェニエの生涯と作品﹄などを参考に、実在のシェニエが綴った詩をもとにアリアの歌詞を書くなど、シェニエの詩歌作品も丹念に研究したうえで台本を執筆している。一方、実在のシェニエが残したコワニーという美女について綴った詩から自由にイメージを膨らませて、シェニエの恋人マッダレーナ・ディ・コワニーのキャラクターを創造、またシェニエに対抗する立場の役として架空の人物カルロ・ジェラールを設定するなど、物語に歌劇的な興趣を盛り込むべく、フィクションもふんだんに取り入れた。
|
||
この『アンドレア・シェニエ』台本は当初、貴族出身の富裕な作曲家[[アルベルト・フランケッティ]]がオペラ化の権利を保有していたが、フランケッティと同じく楽譜出版社[[ソン |
この『アンドレア・シェニエ』台本は当初、貴族出身の富裕な作曲家[[アルベルト・フランケッティ]]がオペラ化の権利を保有していたが、フランケッティと同じく楽譜出版社[[ソンゾーニョ・コンクール|ソンゾーニョ社]]に属する若手であった[[ウンベルト・ジョルダーノ]]が良い台本に恵まれず苦闘しているのに同情したフランケッティが、1894年に無償で権利譲渡したものである。 |
||
ジョルダーノの作曲は1895年11月頃完成したと考えられている。この1895年-96年シーズンのスカラ座ではソン |
ジョルダーノの作曲は1895年11月頃完成したと考えられている。この1895年-96年シーズンのスカラ座ではソンゾーニョ社が劇場運営を担当、同社に属する若手作曲家のオペラ作品を集中的に上演し、[[ジュゼッペ・ヴェルディ|ヴェルディ]]や[[ジャコモ・プッチーニ|プッチーニ]]などライヴァルである[[リコルディ]]社帰属作品を完全に排除するという行動に出て大混乱を極めていたが、1896年3月28日の﹃アンドレア・シェニエ﹄初演はシーズン中で唯一の成功作となった。
|
||
== 主な登場人物 == |
== 主な登場人物 == |
||
33行目: | 33行目: | ||
== あらすじ == |
== あらすじ == |
||
{{ネタバレ}} |
|||
時と場所:1789年から1793年にかけて、[[パリ]]およびその郊外 |
時と場所:1789年から1793年にかけて、[[パリ]]およびその郊外 |
||
=== 第1幕 === |
=== 第1幕 === |
||
47行目: | 46行目: | ||
サン・ラザール監獄、未明。早朝の死刑執行を待つシェニエは生涯最後の詩を朗読する。ジェラールとマッダレーナ登場。マッダレーナは看守を買収し、自分はシェニエと同時に死刑となる、レグリエーという名前の若い女性の身代わりになると言う。ジェラールは「ロベスピエールにもう一度助命を掛け合ってこよう」と言って去る。シェニエとマッダレーナは、愛し合ったまま共に死ねる幸せを歌う。刑執行の時を迎える。看守が死刑囚の名を点呼する。「アンドレア・シェニエ」「私だ」、「イディア・レグリエー」「私です」。2人は誇らしげに馬車に乗り込み、[[ギロチン]]へと向かう。 |
サン・ラザール監獄、未明。早朝の死刑執行を待つシェニエは生涯最後の詩を朗読する。ジェラールとマッダレーナ登場。マッダレーナは看守を買収し、自分はシェニエと同時に死刑となる、レグリエーという名前の若い女性の身代わりになると言う。ジェラールは「ロベスピエールにもう一度助命を掛け合ってこよう」と言って去る。シェニエとマッダレーナは、愛し合ったまま共に死ねる幸せを歌う。刑執行の時を迎える。看守が死刑囚の名を点呼する。「アンドレア・シェニエ」「私だ」、「イディア・レグリエー」「私です」。2人は誇らしげに馬車に乗り込み、[[ギロチン]]へと向かう。 |
||
== |
== 著名なアリア == |
||
*「ある日、青空を眺めて」 - ''Un dì all’azzurro spazio'' : シェニエのアリア(第1幕) |
*「ある日、青空を眺めて」 - ''Un dì all’azzurro spazio'' : シェニエのアリア(第1幕) |
||
*「胸像はここに」 - ''Ecco l’altare'' : マッダレーナとシェニエの二重唱(第2幕) |
*「胸像はここに」 - ''Ecco l’altare'' : マッダレーナとシェニエの二重唱(第2幕) |
||
58行目: | 57行目: | ||
== シェニエ役について == |
== シェニエ役について == |
||
[[テノール]]が歌うシェニエの役は全4幕それぞれに[[アリア]]があり、彼にはまた恋人マッダレーナ([[ソプラノ]])との華やかな |
[[テノール]]が歌うシェニエの役は全4幕それぞれに[[アリア]]があり、彼にはまた恋人マッダレーナ([[ソプラノ]])との華やかな[[二重唱]]も2つあるため、『アンドレア・シェニエ』は主役男声歌手の音楽的比重が高い「プリモ・ウォーモ・オペラ」として知られている。シェニエ役は、見せ場が数多く実によく映える役だが、それだけに重厚さと輝かしさをそなえた声、劇的な歌唱、充実した高音域、多くの見せ場をこなすスタミナ、「理想に燃え理想に死した詩人」を観客に納得させられるだけの舞台映えする容姿などが要求される難役となっている。 |
||
== 日本での |
== 日本での上演 == |
||
1961年9月28日、[[東京文化会館]]における第3回イタリア歌劇団公演([[日本放送協会|NHK]]招聘)が日本初演である。シェニエ役に[[マリオ・デル=モナコ]]、マッダレーナ役に[[レナータ・テバルディ]]という豪華キャストは当時話題を呼んだ。[[フランコ・カプアーナ]]指揮、管弦楽・[[NHK交響楽団]]他の陣容であった。 |
1961年9月28日、[[東京文化会館]]における第3回イタリア歌劇団公演︵[[日本放送協会|NHK]]招聘︶が日本初演である。シェニエ役に[[マリオ・デル=モナコ]]、マッダレーナ役に[[レナータ・テバルディ]]という豪華キャストは当時話題を呼んだ。[[フランコ・カプアーナ]]指揮、管弦楽・[[NHK交響楽団]]他の陣容であった<ref>[http://opera.tosei-showa-music.ac.jp/search/Record/PROD-01391 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター]</ref>。
|
||
2013年には、[[宝塚歌劇団]][[花組]]公演で、本作を原作としたミュージカル『[[愛と革命の詩 -アンドレア・シェニエ-]]』を上演。脚本・演出は[[植田景子]]、主演は[[蘭寿とむ]]。 |
|||
{{main|愛と革命の詩 -アンドレア・シェニエ-}} |
|||
== 脚注 == |
|||
{{reflist}} |
|||
{{Normdaten}} |
|||
{{DEFAULTSORT:あんとれあしえにえ}} |
{{DEFAULTSORT:あんとれあしえにえ}} |
||
[[Category:オペラ |
[[Category:1890年代のオペラ]] |
||
[[Category:イタリア語のオペラ]] |
|||
[[Category:ルイージ・イッリカ台本のオペラ]] |
|||
[[Category:ロマン派の楽曲]] |
[[Category:ロマン派の楽曲]] |
||
[[Category:パリを舞台とした作品]] |
[[Category:パリを舞台とした舞台作品]] |
||
[[Category:フランス革命を題材とした作品]] |
[[Category:フランス革命を題材とした作品]] |
||
[[Category: |
[[Category:実在の作家を題材とした作品]] |
||
[[Category: |
[[Category:詩人を主人公にした作品]] |
||
[[Category:1896年の音楽]] |
|||
[[ca:Andrea Chénier]] |
|||
[[de:Andrea Chénier]] |
|||
[[el:Αντρέα Σενιέ]] |
|||
[[en:Andrea Chénier]] |
|||
[[es:Andrea Chénier]] |
|||
[[fi:Andrea Chénier]] |
|||
[[fr:Andrea Chénier]] |
|||
[[it:Andrea Chénier]] |
|||
[[ko:안드레아 세니에]] |
|||
[[pl:Andrea Chénier]] |
|||
[[ru:Андре Шенье (опера)]] |
|||
[[sv:Andrea Chénier]] |